ネットの世界ではある日突然、バズることがある。
5年前のある日突然ツイートが2万リツイート・5万いいねを記録し、ネット記事やまとめ記事などでも数多く取り上げられたコスプレイヤーの鷹村アオイさん。
彼女は今、どのように過ごしているのか。バズった経緯、5年経った今の心境を聞いた。
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「結婚当初はオタクが受け入れられる世の中では…」
鷹村アオイさんは19歳の時にコスプレを始めた。きっかけは自身が描いた同人誌の即売会。しかし、28歳で結婚、31歳で出産し、一時期コスプレからは離れていたという。当時は夫にも趣味がコスプレであることについては話していなかった。

「当時は、今ほどオタクが受け入れられる世の中ではなかったので(笑)、夫にもコスプレのことは隠して結婚していました。ただ、32歳の時にたまたま見にいった東京ゲームショウで、ベヨネッタ(アクションゲーム『ベヨネッタ』の主人公)に出会い”またコスプレしたい!”という想いが再燃したんです。夫にも打ち明けました」
鷹村さんの夫は驚いたものの、衣装も自作しているアオイさんに対し「すごいことをしているんだね」とポジティブな反応。再びアオイさんはコスプレ活動をするようになった。
隠していた年齢、公表するきっかけは「20代でババア」
しかし産後の体型の崩れから衣装を着こなせないと感じたこともあり、アオイさんはコスプレ映えするカラダづくりに励むように。
努力の末、年齢を感じさせないビジュアルを手に入れた。

「再開してしばらくは、コスプレイヤーは若い子が多いことを気にして自分の年齢を隠していました。でも38歳の時に、まだ20代のコスプレイヤーの子が自分を『ババア』と言っていたのを目にして。気にしなくていいんだよと言いたくて自分の年齢を公表してみました」
38歳以降、何度か自分の年齢とコスプレ写真のツイートをしていたものの、42歳だった2018年に「コスプレは1番のアンチエイジング」とつづったツイートがたまたまバズった。
このツイートがたまたまバズった理由について、当時『アンチエイジング』という言葉が流行っていたからではないかとアオイさんは分析する。
当時は「コスプレイヤー=若い人しかできないもの」という固定概念も根強く、20代ですら後半に差し掛かると年齢を隠す人が多かった。そのため、この投稿に勇気づけられたコスプレイヤーたちからは感謝のコメントが殺到。さらにアオイさんと同世代のコスプレイヤーの中でも年齢を公表する人が増えたというから大きな影響を与えたといってもいい。
今も年齢は「足かせじゃない」、目標は飽きるまでコスプレ

ツイートがバズってから5年。アオイさんは47歳になったが今でも年齢を気にせずコスプレを楽しんでいるのだろうか?
「最近はアンチエイジングではなく、ファンエイジング、今の年齢を楽しむようになってきました。むしろ早く50歳になりたいです!」
えっ、なぜ?
「『ジョジョの奇妙な冒険』にリサリサという50歳のキャラクターがいるのですが、そのコスプレをリアル50歳のときにやってみたいんです。そのためにはもう少し鍛えなきゃと思っていますが」
さらなる目標を掲げ、年齢を重ねることをポジティブに捉えているのはすごい。
次の世代への思いも
「若くても年齢を重ねてもできるのがコスプレなので」とさらなる夢を教えてくれた。
「おばあちゃんになったら今度はその年齢に合ったキャラクターをやりたいと思っています。たとえば『BLACK LAGOON』という作品にはヨランダという武器を持ったシスターのキャラクターがいるんですけど、恐らく70~80代ぐらいのキャラなのでちょうどいいかなと。おばあちゃんなんだけど片手でマグナムを打つんです(笑)。私、強いキャラが好きなので」
アオイさんの想いは5年経っても変わらない。「私が年齢を重ねてもコスプレを楽しんでいることで、『まだやってもいいんだ』と次の世代の子たちに思ってほしいな」という使命感もある。
「年齢は足かせではないと思っています。私はたまたまコスプレでしたけど、好きなものを一生懸命やっていると同じ熱量の人たちとお友達になることができたりしてすごい楽しい。そういうことが多くの人に少しでも伝わったらいいなと思います」
その変わらない信念のもとアオイさんはポジティブに年齢を重ね、コスプレと共に日々努力し続ける。

【鷹村アオイ】1976年生まれ。19歳からゲームキャラクターのコスプレを始め、現在もレイヤーとして同人誌即売イベントなどで作品を発表している。プライベートでは2児の母。
<取材・文/松本果歩>
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バズった鷹村アオイさんの画像
(エディタ(Editor):dutyadmin)






