土曜ドラマ『Dr.チョコレート』(2023年/日テレ系列)で“ティーチャー”こと野田哲也を演じた坂口健太郎が、2023夏ドラマでも引き続き主演を務める。
台湾で大ヒットしたドラマを原作にした『CODE』(2023/読売テレビ系列)で演じるのは、暴力団対策課の刑事・二宮湊人だ。
ドラマでは『イノセンス 冤罪弁護士』(2019年/日テレ系列)で演じた黒川拓や、『競争の番人』(2022年/フジテレビ系列)で演じた小勝負勉など、クールで影のある役柄が多い坂口健太郎。しかし、映画では『ヘルドッグス』(2022年)でサイコパスキラーな役に挑戦するなど、着実に幅を広げている。
確かな知名度と表現力で主演ポジションを不動に

『Dr.チョコレート』公式サイトより
坂口健太郎演じる“ティーチャー”・野田哲也が、白山乃愛演じる“Dr.チョコレート”・寺島唯とともに、どんな医療でも救えない難病の患者を類まれなるテクニックで救っていく……という、完全オリジナルストーリーの医療もの。仲間愛あり、ミステリー要素あり、恋愛模様ありと、多様性あふれる物語だった。
野田は、もともとは笑顔を見せながら穏やかに話す青年だったが、唯(白山乃愛)をめぐる“とある事件”をきっかけに、ぶっきらぼうな性格に。野田を演じる坂口を見ていると、やはり、常に重い荷物を抱えているような一癖ある役柄が似合うと思わせられる。脚本、演出に難ありと感じても、坂口目当てに完走した視聴者も多いのではないだろうか。
確かな表現力で主演クラスを不動のものに
塩顔・ソース顔といった容姿の区分けはとっくに陳腐化しつつあるだろうが、塩顔のなかでも唯一のポジションを担ってきた坂口は、その確かな表現力と裏打ちされた知名度で主演クラスを不動のものにしてきた。引き続き『CODE』でも違った顔を見せてくれると期待してしまう。
30代の坂口健太郎が目指す先は?

『25.6』(集英社)
30代に入り、『ヘルドッグス』や『サイド バイ サイド 隣にいる人』(2023年)で一風変わった役柄に挑戦している。これから先、役者としてどんなロードマップを描いているのだろうか。
指標となる田中圭、綾野剛、の存在目指す先は?
参考となりそうなのは、やはり同じ事務所の田中圭、綾野剛、そして、社長に就任した小栗旬だろうか。
それぞれ2023年現在で30代から40代へ歩みを進めようとしている。
タイミングは違えど、三者三様に王道の青春ものやラブストーリーで地盤を固め、サスペンステイストな作品で引き出しを増やしつつ、新たな挑戦に躊躇せず向き合っている。
同事務所にこれだけのロールモデルがいるのだから、30代の10年間だけを切り取ってみても、いくらでもトライアンドエラーを繰り返せるだろう。坂口健太郎という役者には、それが許されるだけの力と支援者がついている。
『ヘルドッグス』で新たな地平を切り拓いたあと、『Dr.チョコレート』や『サイド バイ サイド 隣にいる人』などでは評判が数値に表われなかった面も否めないが、役者人生を長いものにするなら多少の波はあったほうがいい。
私たち視聴者が直近で期待できるのは、やはり『CODE』で演じる暴対の刑事・二宮が、どれだけ坂口の枠にハマるか。これからの活躍も見守っていきたいと思わせてくれる、新たな代表作となることを望む。
<文/北村有>
北村有
葬儀業界を経て2018年からフリーランス。映画やドラマなどエンタメジャンルを中心に、コラムや取材記事を執筆。菅田将暉が好き。
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