お酒を飲むだけで、楽しい気分になるのはなぜ?【薬学博士・脳科学者が解説】 - ビューテ

時刻(time):2023-06-02 20:26源泉(Origin):δ֪ 著者(author):kangli
Q. お酒を飲むだけで、なぜ楽しい気分になるのでしょうか? お酒が好きな理由として、「楽しい気分になれるから」と答える方は少なくないでしょう。しかしお酒を飲むだけで、なぜ私たちは明るい気持ちになるのでしょうか? わかりやすく解説します。 Q. 「お酒を飲むと楽しい気分になるのは、なぜでしょうか? 普段あまり話さない人ともお酒の席ではうちとけて話せ

Q. お酒を飲むだけで、なぜ楽しい気分になるのでしょうか?

お酒が好きな理由として、「楽しい気分になれるから」と答える方は少なくないでしょう。しかしお酒を飲むだけで、なぜ私たちは明るい気持ちになるのでしょうか? わかりやすく解説します。

Q. 「お酒を飲むと楽しい気分になるのは、なぜでしょうか? 普段あまり話さない人ともお酒の席ではうちとけて話せたり、場が盛り上がったりしますが、考えてみればなぜそんなことが起きるのか、不思議です。」

A. エタノールが交感神経の働きを和らげ、心と体がリラックスするから

まず、お酒には、体と心の緊張を取り除き、リラックスさせる効果があります。

私たちの体の働きは、無意識のうちに自律神経によって調節されています。とくに私たちが活動状態にあるときは、周囲の変化を感じ取って、即座に反応できるように準備しておく必要があります。

そのため主に交感神経が働いて、体を緊張させています。交感神経が働くと、心臓の鼓動は速くなり、血圧は上がり、汗がたくさん出たり、瞳孔が開いたりするなどの変化が現れます。

お酒を飲むと、エタノールが脳に作用し、麻酔薬のように神経の働きを麻痺させます。そのため、特に交感神経を働かせて緊張を維持しようとする脳からの指令が出にくくなります。交感神経の働きが鈍くなることで、心と体はリラックスし、会話もはずみ、楽しい気分になるのです。

もう一つ、お酒を飲むと気持ち良くなる秘密があります。脳内の神経活動を担う神経伝達物質の一つに「ドーパミン」があります。一般に脳内でドーパミンがたくさん分泌されると、「快い」という感情が生まれます。そして、エタノールには脳内ドーパミンの分泌を増やす作用があることが明らかとなっています。

ただし、お酒によるドーパミンの分泌を増加させる効果は、飲みはじめてから20分くらいしか続きません。たくさん飲み過ぎると逆効果になるので、「気持ちよくお酒を楽しむ」ためにも、適量にとどめておくのが賢明でしょう。

阿部 和穂プロフィール

薬学博士・大学薬学部教授。東京大学薬学部卒業後、同大学院薬学系研究科修士課程修了。東京大学薬学部助手、米国ソーク研究所博士研究員等を経て、現在は武蔵野大学薬学部教授として教鞭をとる。専門である脳科学・医薬分野に関し、新聞・雑誌への寄稿、生涯学習講座や市民大学での講演などを通じ、幅広く情報発信を行っている。


執筆者:阿部 和穂(脳科学者・医薬研究者)
(エディタ(Editor):dutyadmin)
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