6つに割れた腹筋、いわゆるシックスパックに憧れる人は多いでしょう。もちろん簡単に手に入るものではありませんし、絶対に効くトレーニング方法というものも存在しません。
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しかし、同じ時間を費やすなら、腹筋を鍛えるには腹筋トレーニングとして一般的な「シットアップ」と、体幹トレーニングで人気の「プランク」、どちらが効果的なのでしょうか?
「シットアップ」と「プランク」、どちらが腹筋を鍛えるか
結論を先に述べると、プランクがよさそうです。もちろん、シットアップにも腹筋を鍛える効果はあります。しかし、それより短所の方が勝っているかもしれないのです。
なぜ腹筋運動の王道・シットアップより、体幹トレーニング・プランクのほうがおすすめなのか。その理由を説明します。
シットアップの限界とは
シットアップが持つ限界として、腹筋を鍛えることはできても、体幹を構成する他の多くの筋肉にはあまり効果がないことが挙げられます。シックスパックを作り上げるものは腹筋なので、そこを集中的に鍛えるのも理にかなっています。
しかしシックスパックを浮かび上がらせるには、腹筋を鍛える前に、まず腹部の脂肪を薄くするダイエットの方が重要です。
また、トレーニングの目的としてスポーツパフォーマンス向上に目を向けると、あらゆるスポーツに重要な体幹全体の筋力と機能向上に対する効果が小さいことは、致命的な弱点であるとも言えるでしょう。
シットアップを多回数行うときの落とし穴とは
一般人がシットアップをたくさん行おうとすると、一定の筋トレ効果は上がるかもしれない反面、別の弊害も出てきます。それは、当たり前のことですが、回数をこなすうちに腹筋が非常に疲労するということです。
「鍛えているのだから筋肉が疲労しても良いのでは?」と思うかもしれません。しかし問題は、疲労した腹筋以外の部分を使って、シットアップ動作を形だけこなそうとしがちなことです。
シットアップをたくさんこなしているように見えて、実は股関節まわりの筋力だけを使って体を起こしているということはよくあります。
シットアップの後、腹筋は筋肉痛にならないのに、腰や足の付け根が痛くなった人は、股関節まわりの筋肉で体を起こしている可能性が考えられます。
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シットアップが招きやすい故障のリスク
効果が小さいだけならよいのですが、シットアップは正しい方法で行わないと、故障のリスクが高くなります。そして回数をこなしていくうちに、フォームも崩れていくものです。
通常のシットアップの姿勢は、背中と腰を地面や床に押しつけるため、本来なら自然に湾曲している脊柱に過大な負荷がかかります。その結果、腰痛を引き起こす可能性が大きくなります。
また、椎骨間に強い圧力がかかり、その部分のディスク(椎間板)に悪影響が及ぶことも。それを避けるためには、BOSUやバランスボールなどの器具を利用してシットアップを行うのも方法のひとつです。

BOSUの上で行うシットアップは脊柱への負担が軽くなる
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また、シットアップによって首の痛みが起こることもあります。
回数をこなすうちに、勢いをつけようと頭部を前後に振る動きになるためです。頭部は人体でもっとも重い部分。それを細い首で支えているわけですので、その負担に耐えられなくなるのです。
続いて、「プランク」が腹筋強化にオススメである理由について解説します。
「プランク」が腹筋強化にオススメな理由
プランクは、シットアップに比べると格段に安全度が高いエクササイズです。なにしろじっと同じ姿勢で動かないわけですから、意図しない動きをして無理な負荷を体に強いることはありません。
それだけではなく、プランクは体幹部分における広範囲の筋肉へ作用します。脊柱への負荷を軽減しながら、肩、背中、太股、臀部、腹筋、背筋も同時に鍛えることができるのです。シットアップに比べてトレーニング時間がはるかに短時間で済むこともメリットのひとつです。
もちろん、正しいフォームを保たないと効果がないのは、他の筋トレ種目と同じです。プランクの正しいフォーム、そしてバリエーションについては下の記事を参照してください。
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[筆者プロフィール]
角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。IT関連の会社員生活を25年送った後、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー部監督を務める。また、カリフォルニア州コンコルディア大学にて、コーチング及びスポーツ経営学の修士を取得している。著書に『大人の部活―クロスフィットにはまる日々』(デザインエッグ社)がある。
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<Text & Photo:角谷剛>