
もう8月も終わりを迎え、甘くてジューシーで最高に美味しかった桃のシーズンもおなじく終わりを迎える...と思いきや、じつはそんなことはなかった。
東京五輪でも話題になった「福島県の桃」
東京五輪でも話題になった「福島県の桃」は、じつはまだまだシーズン中なのだ。福島県の中でも有数の桃王国・伊達市が開設したサイト「一桃一会」の桃の旬カレンダーを見ると、なんと9月以降も楽しめる品種もあることが判明。
しかも福島県の桃は長く楽しめるだけでなく、非常に甘い。記者は日本全国の桃を食べ歩いてきたが、福島県の桃は糖度13度を超えるものも多く、ずば抜けて甘いと感じた。しかし、福島県の桃はいったいなぜこんなに甘いのだろうか?
その理由を確かめるべく、「一桃一会」を制作した伊達市と市内の桃農家「斎藤果樹園」に取材を申し込んだところ、快くお受けしてくれた。
福島県の桃が甘い理由

福島県の桃が甘い理由としてさまざまな要因が考えられるのだが、斎藤果樹園のご主人いわく「お盆前までの品種は『袋かけ』をしない場合が多いこと」が理由として挙げられるという。
袋かけとは桃の色付けや病害虫防止に役立つのだが、袋かけをしてしまうと糖度が下がるため、どうしても味が落ちてしまう。そのため、袋かけをしない無袋栽培のほうが最終的な味は良くなるとのこと。
また、伊達市は袋かけをせずとも桃にしっかり色がつくほど日照量の多い地域。日本全体で見ても、桃の栽培に最適な地域と言えるだろう。伊達市をはじめとした福島県の桃が甘いのにはきちんとした理由があったのだ。
桃全国産出額第4位の伊達市
伊達市の産業部商工観光課にも話を伺うと、
「伊達市は盆地特有の寒暖差が大きい気候と肥沃な大地を有し、桃は全国産出額(※)が第4位です。栽培している品種も20品種以上と大変多く、7月初旬から9月下旬まで長期間、様々な味のおいしい桃を味わうことが出来ます。伊達市の桃を待っていただいている県内外の消費者の皆様のために、農家の皆さんがおいしい桃を丹精込めて一粒一粒作っております」と、農家の方の努力や気候が桃の美味しさを高めてくれていることを教えてくれた。
ちなみに福島県を代表する品種の「あかつき」は、蕾の時期から収穫直前まで、7回ほどに分けて少しずつ間引き作業をしなければならない手間のかかる品種。それほど時間と手間をかけて育てた桃が美味しいのは、当然なのかもしれない...。
※出典:農林水産省「令和2年度市町村別農業産出額 データベース」
「一桃一会」の効果も高い
また、伊達市が公開した桃のPRサイト「一桃一会」の効果も高く、「生産者の桃にかける思いが伝わったので伊達市の桃を購入したい」「生産者の顔が見えるから安心できる」など全国から多くの反響があったという。
福島県の桃というとやはり福島市が有名なイメージだが、市内の生産者やJAと連携した伊達市産の桃を紹介するPRサイトを作成したことにより、伊達市の桃の注目度も高まってきているのかもしれない。
ちなみに、サイトの名称である「一桃一会」については、ことわざ「一期一会」より。
一つの桃から一生に一度の出会いが生まれることを期待し、桃生産者と全国の方々が「伊達の桃」によりつながる縁や出会いを大切にしたいという思い、さらには「伊達の桃」をより多くの方々に知っていただきたいという思いが込められているそうだ。
伊達市に注目してみて
夏休みが終わってもまだまだ終わらない福島県の桃のシーズン。伊達市では紅葉の時期にも楽しめる桃の品種があるそうで、桃と紅葉を同時に味わえる贅沢な体験も可能だ。
また、伊達市が誇る紅葉の名所・霊山は東北の秀峰としても名高い、市のシンボルとしても知られている山。その強く、美しい風景は必見である。
最高に甘い桃を長く楽しめる伊達市は、観光にも最高の場所なのかもしれない。桃好きの人も旅行好きの人も、ぜひ伊達市に注目してみてほしい。
参考リンク:一桃一会
(取材・文/Sirabee 編集部・熊田熊男)