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このところ「断食ダイエット」「ファスティング」が痩せられると人気です。内臓を休ませて体をデトックスする効果があるといわれる断食ですが、実際どのくらいの期間続ければ効果が出るのでしょう? 今回、断食の効果について、横浜クリニックの院長・青木晃先生にお話を伺いました。また、具体的な断食ダイエットの方法や成功した人の体験談、気をつける点等、基本的なやり方をまとめました! 興味があるけどチャレンジする勇気がない…という人はぜひ一度目を通してみてくださいね!

断食ダイエットとは

短時間で確実に結果を出す方法として、注目されているのが「断食ダイエット」。これは食事を断つダイエット。「ファスティング」とも呼ばれます。食事からカロリーをとらなければ痩せるのは当然ですし、「断食」というと厳しいイメージがありますよね。でも安全なやり方で行えば、ダイエットだけでなく体の調子が整う、美容面でもいいことがあるようです。

その名のとおり食事なし

断食ダイエットのやり方は多数ありますが、1日~3日の短期間で取り組むのが一般的です。
短期間に留めることで体に過度な負担をかけません。また1日まるっきり食事を抜くのではなく、1日3回のうち1食だけを食べない、消化のいい食材や野菜や果物を低温圧搾(コールドプレス)したクレンズジュースなどをとりながら行う、あるいは週末だけ断食するゆるやかな「プチ断食」もあります。青木先生が取り組みやすさと、効果の高さの点からおすすめするのが、48時間は固形物を避ける「プチ断食」です。2日あれば可能なので土・日曜を使えば、会社員の人でも人知れず取り組みやすいですね。

夕食だけを食べないプチ断食ダイエットもある

48時間の断食だけではなく、1日3食のうち1食を抜く、あるいは1日10時間以上の空腹時間を設ける「プチ断食」もあります。ただし1日1食を抜かす場合は、体内時計を目覚めさせる意味からも朝食は抜かないほうがベター。抜くなら昼食か夕食がおすすめです。ちなみに夕食を食べ過ぎると太りやすいといわれるのは、夜は日中より活動量が減るので、食べ物を消費しないうちに寝てしまうことが多く、こうして余ったエネルギーが脂肪として蓄積されやすいため。また、人の体には体内時計が備わっており、22時を過ぎるとBMAL1(ビーマルワン)という物質の分泌がピークとなり、脂肪を吸収しようとするのも夜の食事が太る原因です。「断食ダイエット」は、こうした脂肪を溜めこみやすい時間帯に空腹にすることで、太りにくい体に導く目的もあります。ただし、いきなり夕飯を抜くと心身に与えるストレスが大きいので、慣れるまでは温かいスープなどをとる「プチ断食」にしたほうがいいでしょう。

低カロリー食品だけとる方法も

リンゴやヨーグルト、今流行のスムージー、あるいは重湯やおかゆといった消化がよく、比較的カロリーが少ない食品を用いた「プチ断食」を行う人もいるようです。青木先生のおすすめは48時間、固形物を避けるかわりに、1日3回プロバイオティクス・ヨーグルトやダイエットドリンクをとる方法。全く食事を抜くのではなく、必要な栄養素はきちんととる安全な方法です。

断食ダイエットは痩せやすい

断食ダイエットは、痩せ効果が高いダイエット方法です。このダイエットの目的は、単純に体内に取り入れるカロリーを大幅に減らして痩せる、という単純なメカニズムではりません。断食で消化器官を空っぽにすることで、鈍っていた自律神経の活性化したり、糖質のとりすぎをリセットしたりなど、さまざまな効果が期待できます。そのメカニズムを詳しくみていきましょう。

糖質を控え、脂肪をエネルギー源として使う

体のエネルギー源になるのはブドウ糖で、それを効率よくとれるのが炭水化物です。ところが断食により食べ物の供給がストップすると、体は肝臓や筋肉に蓄えられていたグリコーゲンを壊してブドウ糖を作り出そうとします。やがてグリコーゲンが枯渇すると、エネルギー源を供給するために、ケトン体回路が稼働。今度は脂肪から「ケトン体」を作りだし、これをエネルギー源として使います。これが「ケトジェニック」という状態です。つまり脂肪を燃やしてエネルギー源にする「ケトジェニック」になるまでは、2~3日の断食が必要です。

消化器官を空っぽにし、デトックス&自律神経も活性化

通常なら48時間、ひどい便秘の人でも72時間食べ物を入れなければ、胃や腸が空っぽになります。おなかが空くと胃や腸などの消化器官がグルグルとよく動き、やがて排便をもよおし、不要なものが出ていく=デトックスされるというわけです。また胃や腸を空っぽにすることで、年齢と共に鈍くなった自律神経の働きがよくなる効果も期待できます。自律神経は、ダイエットやアンチエイジングのカギを握る大切なもの。なお、流行の糖質制限でなかなか効果が出ない人は、自律神経が鈍っていることがあるので、糖質制限ダイエットを始める前に断食でデトックスをするといいそうです。

オートファジーを働かせ健康的に!

「断食ダイエット」の優れている点は、たんぱく質を断つことで、オートファジーという機能を働かせることにあります。このオートファジーとは、簡単にいえば細胞のデトックスのこと。人間は体に入ってきたたんぱく質をアミノ酸に分解して、血や肉を作っています。ところが断食をすると体は代謝を保つために、細胞内に蓄積されている古くなったたんぱく質をアミノ酸に分解し、新しいたんぱく質を作り出します。これがオートファジーで、古いたんぱく質を、キレイなたんぱく質にリサイクルするありがたい作用なのです。10〜12時間ほどの断食によりオートファジーが作用すると、細胞は若返えります。人は老化がすすむと代謝が落ち、太りやすくなりますから、ダイエットの点からも注目したいですね。

ミトコンドリアを増やして、痩せやすい体に!

ミトコンドリアとは、細胞内にある小さな器官でエネルギーを作る、いわば発電所のようなもの。体の中で絶えず働いて、糖と脂質と酵素からエネルギーを作って蓄えたり、逆にエネルギー不足になると脂肪をエネルギーに変えたりする役割があります。ダイエットやアンチエイジングには欠かせないミトコンドリアは年齢と共に減少しますが、断食をすると活性化することがわかっています。

成功する人も多い

食べ物を断ち、摂取カロリーを急激に抑えるので、2~3日、集中して行えば、結果を出せます。短期間で成功するダイットであると同時に、食べ過ぎで疲れていた消化器官を休ませたり、鈍っていた交感神経を整えたりと、健康面やアンチエイジングの点からみてもいい方法といえそうです。ただし、人間の本能は、飢餓に備えて「食べたい!」とプログラミングされているので、断食を行うと空腹感から心身に強いストレスにさらされることも。イベントで急いで痩せる必要がある(ただし、短期間の断食は、体脂肪が落ちるわけではなく、余分な水分が抜けているだけです)、または食べ過ぎた胃腸を意識的に休ませたい場合など、緊急のダイエットや体調維持として、短期間に留めるようにしましょう。

断食ダイエットの危険性

人は日々口にする食べ物から栄養をとり、生命を維持しています。断食ダイエットは即効性のあるダイエットですが、その反面正しい知識で行わないと、心身のバランスを崩すことにもなりかねません。比較的ストレスが少ない「プチ断食」も、完全な「断食ダイエット」も、正しく行わないと結果が出ないばかりか、健康を損なう恐れもあることを知っておきましょう。

リバウンドしやすい

ダイエット終了後、いつもの食事に戻せば、リバウンドしやすいのも断食ダイエットの特長です。断食すれば摂取カロリーが減るので、体内の余分な水分が抜けるので体重もするすると落ちます。しかし、いつものように食事を戻してしまえば、体はそれまでの飢餓状態から抜け出そうと入ってきた栄養を体に溜めこもうとして、その結果、リバウンドすることも。断食ダイエットで肝心なのは、ダイエット前後の食事。特に断食ダイエット後は1週間ほどかけて、ゆるやかに普通食に戻す工夫が必要です。

体調管理に気を使って

断食ダイエットの目的は、体重を減らすだけでなく、消化器官を休め、体の機能を健康的な状態に近づけることです。ですから「プチ断食」ならともかく、断食ダイエットを長期間行うのは大変危険です。面白いように体重が落ちるからといって断食を続ければ、筋肉が落ちたり、貧血や栄養失調で倒れたりすることも。また、普段から糖質をたくさんとっていた糖依存の人は、断食1日目に頭痛がしたり、冷や汗が出たり、だるくなったり、気分が悪くなったり、イライラしたりします。これは一種の糖質断ちによる禁断症状のようなもので、通常はしばらくすると落ち着きますが、症状が強すぎるときは、念のため一旦中止を。糖依存の人は、いきなり糖断ちをするのではなく、医師などのプロ監督のもとで断食を行うか、日々の中で少しずつ糖質を減らし、体を慣らしてから断食に臨むといいでしょう。

ハードな運動はNG

断食中は消化器官を休める期間と心得て、ゆったりと過ごしましょう。断食をすることは、すなわち血糖値が下がってる状態ですから、体重を落としたいばかりにハードな運動をすると最悪、倒れる場合もあるので避けましょう。軽く汗ばむ程度のストレッチやウォーキングなどの有酸素運動は代謝を高めるので問題ありません。運動の際は、くれぐれも水分補給を忘れずに。

こんな人は断食NG

断食ダイエットは、もともと太り気味であったり、食べ過ぎていたり、若さや健康を維持したい人に向くダイエットです。そもそも痩せている、持病がある、体調が悪い人はダイエットをするべきではありません。命に関わる病気を患っている、重い糖尿病があって医者にかかっている人はもちろん、たくさんの栄養を必要とする成長期や妊娠中の人は行わないでください。

断食ダイエットの方法

やみくもに断食すると、心身に負担がかかり、挫折するばかりか体調を崩してしまうことも。安全に行う方法として取り入れて欲しいのが、完全に食事を断つのではなく、夕食だけ抜く「プチ断食」です。ここでは2日間の短期間の断食ダイエットとしてヨーグルトを用いた具体的な方法を紹介しますが、あくまでも健康的な人を基準にしています。

前日の準備

いきなり断食してしまうと、胃が「あれ? 食べ物が少ないな…。どうしたんだろう。」と思い、空腹のサインをたくさん出してしまいます。そうするとダイエットがつらくなってしまいます。断食ダイエットをする前日は、朝から晩にかけて徐々に食事量を減らしたり、消化のいい和食などに切り替えたり、食事を控えめにして体を慣らしておくといいそうです。アルコールも控えてくださいね。

断食中

1日3食は、整腸作用があるプロバイオティクス・ヨーグルト(1回あたり120g)と栄養補助ドリンク(1食置き換え式のダイエットドリンク。なければ野菜ジュース&豆乳)にします。デトックスを促すためにも、水を1日2リットル以上飲みましょう。普段から食べ過ぎている人ほど断食がつらく感じますが、時間が経つに従い、不思議なくらい空腹感がなくなり、落ち着いてきます。空腹がつらいときは、気持を紛らわすため、ゲームやショッピングなどの自分が好きなことをやるのもおすすめです。

口にしていいもの

断食ダイエット中でも、水分は積極的に摂取しましょう。ただし、お水やお湯、お茶、紅茶、玄米茶などカロリーゼロのものにします。白湯もいいでしょう。ブラックコーヒーもカロリーがゼロですが、空腹に飲むと胃に負担がかかることもあるので、なるべくなら控えたほうが賢明です。

リバウンドを防ごう! 断食ダイエットのあとに

2~3日断食ダイエットを乗り越えると、余分なものがデトックスされ、驚くほど体が軽くなっているのを実感できるはず。体重が減って痩せるのはもちろん、消化器官の動きもスムーズになる、元気になる、自律神経が整い五感がクリアになる人も。そして断食ダイエットはここからが正念場。ダイエット後のベストな状態を維持するには、徐々に食事を戻す「回復食」を慎重に行う必要があり、断食ダイエットの成功は、この期間が握ってるといえます。

通常の食事にすぐには戻さない

断食明けがうれしいからといって、いきなり普段の食事に戻してはいけません。いきなりこってりしたものを食べると胃がビックリするばかりか、体は久々に入ってきた栄養をとり込もうとするため、気をつけないとせっかくのダイエットの苦労も水の泡となってしまいます。揚げ物などはもってのほかです。

胃腸にやさしいものから食べ始めよう

2~3日の断食のあと、徐々に食事を戻す「回復期」は、最初は重湯、次におかゆや具なしのスープ(コンソメスープ)といった消化のいい固形物を含まないスープ、そして雑炊などの和食といった具合に、徐々に量を増やしていきます。断食後1週間は脂っこい食事は避けましょう。血糖値が急激に上がらないよう、ゆっくりよく噛むことも大切です。

それまでの食生活に完全に戻さない

断食ダイエットのあとは、体にやさしい食事を続けることが大切です。この体にやさしいとは、脂っこいものやジャンクフードを避け、体にいいものを食べること。断食で胃腸がリセットされたことにより、以前よりも食が細く、脂っこい食事を受け付けなくなっていますから、食事やカロリー量を減らすことができます。

断食ダイエットの期間は?

どれくらい断食を行えば痩せられるか、気になりますよね。短期間で結果を出す「断食ダイエット」なら2~3日、夕食だけ抜くような「プチ断食」なら30日くらい行うのが一般的のようです。断食がどれだけきついかによって、期間も異なるようです。

2~3日にとどめる

青木先生が教えてくださった、ヨーグルトを用いて48時間固形物を避る「断食ダイエット」であっても、2~3日にとどめるようにしましょう。もともと人類には飢餓の長い歴史があり、それに備える本能から食べ物をとろうとします。そのため、食事を抜く期間が以上長いと、健康に悪影響が出るだけでなく、ストレスを溜めこんでしまい、ドカ食いを引き起こすことも。またこの「断食ダイエット」は月に1回で十分ですが、もし効果を上げたいなら、2週間に1度くらいチャレンジしてみましょう。

1週間以上の断食

断食ダイエットに慣れてくると「1週間でも平気!」という人もいますが、健康のことを考えれば、2~3日に留めるべきです。それ以上断食したい場合は、医師や管理栄養士などプロの監督のもとやるのが安全です。また上で紹介したような、ヨーグルトを用いた断食であっても、体が慣れないうちは厳しいので、最初は週に3~4回、1日3食のうち1食を抜く「プチ断食」をし、慣らすといいでしょう。普段から玄米菜食をとり入れて、体にやさしい食事をしている人ほど、つらくないようですよ。

体重が落ち始めるのはいつから?

断食ダイエットで、どれくらい体重は落ちるのでしょう? 個人差はありますが、3日で2~3㎏落ちることが多いようです。短期間の断食で脂肪を落とすには限界がありますが、ダイエットを終えた後も食生活を改めることで、体重を落とす人もいます。

家族に相談しておこう

家族の理解と協力なしの断食ダイエットは精神的につらくなるので、同居している人は、始める前に相談しておきましょう。ちなみに断食ダイエットは、成長期の人は向きません。期間は短めに設定し、目的はあくまでも、食のリズムを整えたり、満腹になる感覚を正常に戻したりする、健康的な体に導くためのダイエットであることを理解してもらいましょう。

体重が落ち始めるのは2日目から

1日目のほとんどが水分や便が排泄されることによる体重の減少です。体重が減ったように見えて、減っているのはほとんど水分なのです。エネルギー源として脂肪が使われるのが2日目から。ここからようやく脂肪の燃焼が始まります。

お風呂・サウナ

断食ダイエット中でも、お風呂は問題ありません。体を温めて血行をよくすると、デトックス効果が高まります。ただし、お湯はぬるめに設定してください。もし、途中で気分が悪くなったらすぐにあがるようにしましょう。一方温度が高いサウナは、体に負担をかけるので、あまりおすすめできません。

運動

サッカー、テニス、格闘技など激しい運動はしないほうがいいでしょう。断食中はできるだけのんびり過ごします。ウォーキング、ストレッチといった軽い運動なら問題ありません。

断食ダイエットの体験談&クチコミ

結果が早く出て、健康的な体に導く「断食ダイエット」。安全でリバウンドしない成功の秘訣を、クチコミから探ってみましょう。

もともと太り気味の人には効果が出やすいのが、断食ダイエットです。胃腸を休めることにより、満腹になる基準が下がって、食事量やリズムが適正になってくるのもメリットのひとつ。ただし長期間の断食はおすすめしません。2~3日の断食を1ヵ月に1回の割合で取り入れてみましょう。

固形物を避け、胃腸を空っぽにすることを目的としたダイエットなら、甘みのある酵素ドリンクを取り入れてもいいでしょう。ゆるめのプチ断食にしたことで、空腹の限界までガマンしなくてもすんなりダイエットができたようですね。ダイエットは無理のない範囲でやることが大切ですから、体調が悪いと感じたときは、念のため中断してください。

断食ダイエットは計画的に!

短期間で確実に結果を出す「断食ダイエット」は、ダイエットに弾みをつけてモチベーションを上げたいときはもちろん、自律神経を整え、オートファジー作用やミトコンドリアを活性化させるなど、アンチエイジングの点からもメリットがたくさんあるようです。今までの食習慣をリセットし、健康を見直すいいきっかけにもなる反面、計画的に無理なく実行しないとリバウンドや心身のバランスを崩す恐れもありますので、ストイックになり過ぎないように注意しましょう。完全な断食は、医師などのプロ監督のもと、行うようにしてください。

取材・文 平川恵