みなさんは葛根湯を“かぜのひき始めに効く”単なるかぜ薬だと思っていませんか?
実は葛根湯は、感冒、肩こり、頭痛、筋肉痛、頸椎病やじんましん、結膜炎やにきび等々、幅広いトラブルに効く便利な漢方薬なんです。
ただし、かぜのタイプが違ったり、飲むタイミングをはずしてしまったりすると、まったく効果が出ないということも。
冷えはダイエットの大敵。葛根湯は冷えを散らして巡りを良くする漢方薬。かぜはもちろん、肩コリや頭痛にも効く葛根湯を上手に使って、巡りの良い体を手に入れましょう

葛根湯は何に効く?
まずは「葛根湯医者」という小噺をひとつ。
「今日はどうしたんだい?」
「どうにも頭が痛えんです」
「そりゃ、頭痛だな。葛根湯を飲んどきなさい」
「お前さんは?」
「お腹がしくしく痛むんです」
「そりゃ、腹痛だな。葛根湯を出しておくよ」
「お次は?」
「目が悪くってねえ」
「そりゃいけない。目は大切だ。葛根湯をやるからちゃんとお飲み」
「そっちはどうした?」
「あっしは兄貴の付き添いでさぁ」
「そりゃご苦労なことだ。葛根湯を飲んでおくか?」
漢方を知らない人が聞くと、なんて適当なやぶ医者なんだろうと思うでしょうが、実はこの先生、なかなかの名医の可能性があります。どういうことだと思いますか?
冷えが招く症状、あなたのタイプは?
西洋医学では、高血圧には降圧剤、糖尿病には血糖値を抑える薬といったように、“病気”によって薬が決まります。極端なことを言えば、病気の本人がいなくても、病名さえわかれば薬を処方することができるわけです。
これに対して漢方では“病気”ではなく、“症状”と“体質”によって薬が決まります。
たとえば急に寒くなって、外で体を冷やしてしまったとき。あなたはどうなることが多いですか?
①かぜをひいて、熱がでる
②熱はでないが、咳が出たり喉が痛くなったりする
③お腹が冷えて下痢をする
④頭痛がする
⑤肩こりがひどくなる
⑥手足の冷えがひどくなる
西洋医学での対処は
①総合感冒薬、解熱剤
②咳止め、消炎剤
③下痢止め
④頭痛薬
⑤シップ
⑥方法なし
といった感じでしょう。
症状の違いと体質の違い
漢方では、これらは全て寒さという邪気“寒邪(かんじゃ)”にやられた状態だと考えます。
症状が違うのは、呼吸器系が弱い人、胃腸がもともと弱い人、血流が悪いことで頭痛や肩こり、冷え性などを抱えている人といった、もともとの体質の違いによるもの。
そこで処方されるのが「体を温めて寒邪を追い出す漢方薬」。
その代表のひとつが葛根湯なんです。
葛根湯ってどんな漢方薬?
葛根湯は7種類の生薬で作られています。
葛根:発汗 解熱
麻黄:発汗 寒邪を払う
桂枝:発汗 体を温める 気の流れをよくする
生姜:発汗 体を温める 胃腸の働きを助ける
白芍(芍薬):養血 筋肉の緊張を緩める 痛みを緩和する 過剰発汗を調節する
大棗:養血 胃腸の働きを高める
甘草:筋肉を緩める 痛みを緩和する 胃腸の働きを高める
復習しましょう。葛根湯の効果・効能は
感冒の初期(汗をかいていないもの)、鼻かぜ、鼻炎、頭痛、肩こり、筋肉痛、手や肩の痛み
漢方的な見方をすると「寒邪が体の表面に取り付いて、体表の気の巡りが悪くなり、汗をかけなくなっている状態」です。
ポイントになるのは葛根湯の“発汗”と“筋肉を緩ませ、痛みを緩和する”働きです。
タイミングが重要!葛根湯ってどう効くの?
漢方では、寒邪(かんじゃ)や風邪(ふうじゃ)といった外邪が、体に入り込むことで、かぜをひくと考えています。秋冬の寒さや、夏でもクーラーの冷気にやられることで、寒邪によるトラブルが発生するわけです。
寒邪が体の表面に取り付くと、体は寒気を感じて緊張し、気の流れが悪くなって違和感を感じます。
これが「かぜをひきそうだな」「ひいちゃったかも」と感じる段階。
この時に、すばやく葛根湯を飲めば、2〜3時間で治ってしまいます。
その段階を過ぎると、血の巡りが悪くなって、頭痛、肩こり、首すじの痛み、手や肩の痛みといった症状が表れます。寒邪は体の中に入り込みはじめ、寒気がだんだん強くなってきます。体の免疫が寒邪と闘うことで、だんだん熱っぽくなってきます。
これもまだ葛根湯が効く段階。
発汗によって邪熱を下げ、体を温め、筋肉の緊張をゆるめ、血液の流れを促すことで、症状を解消していきます。
寒邪は首の付け根から体内に入ると考えられています。
そのため、肩こりや首の痛み、頭痛(とくに後頭部の緊張性頭痛)などに、葛根湯はよく効くのです。
汗には、熱を発散し、毒素を排出する働きがあります。
そのため汗をかけなくなると、邪熱がたまって、じんましん、結膜炎、赤にきびといった、熱毒によるトラブルが発生します。
葛根湯の強い発汗作用は、このようなトラブルも解決してくれるのです。
汗が出たら葛根湯はNG〜葛根湯の副作用
葛根湯は汗をかかせることで、もろもろの症状を解消する漢方薬です。
つまり、すでに汗が出ている人には、葛根湯は効きません。
むしろ、汗をかくことで体力が消耗してしまうため、病気の回復が遅くなってしまいます。
これが「かぜのひきはじめに」といわれる理由のひとつです。
「体力が中等度以上の人」ってなに?
但し書きに「体力が中等度以上の人に」というのも同じ理由です。
体が弱っている人が葛根湯を飲むと、汗で体力が失われ、本来の自然回復力の妨げになってしまうのです。
一般的に、かぜが長引くと体力が消耗します。
葛根湯は「長引くかぜ」ではなく「ひきはじめのかぜ」に使う漢方薬だと言われるのは、そのためなのです。
葛根湯まとめ
さて、みなさん、葛根湯ってどんな時に使う漢方薬だかわかりましたか?
■汗がでない
■背中や首すじに寒気やこわばりがある
■体力が落ちていない
これが葛根湯を使う人の目安。
急な体の冷えを感じたらすぐに飲む。
冷えによってコリや痛みがひどくなったら試してみる。
葛根湯はそんな薬です。
葛根湯を上手に使って、元気な巡りのよい体を手に入れましょう!