ヨガを始めるきっかけやヨガスタジオに通い続ける動機に、“ダイエット” を考える方もいらっしゃると思います。
最近では短期間のダイエットプログラムの中にヨガが組み込まれることもあり、あらゆる場所でダイエットをキーワードとした広告なども見受けられるようになり、「ヨガにはダイエット効果がある!」と思われている方も少なくないのではないでしょうか。
しかし、果たして本当にヨガにはダイエット効果があるのでしょうか?
実は、2006年に行われた調査で、ヨガを行うだけでは基礎代謝率は “上がらない” ということがわかったのです。

ヨガで基礎代謝率は上がらない?
2006年、インドの生理学者であるマサンドラ・S・チャヤによって行われた調査により、ヨガを行うことで、「基礎代謝率は低下する」ということがわかりました。
この調査は、平均33歳の男女100名を対象にしたもので、対象者には、12種類のヨガポーズ(アーサナ)を半年間決められた手順で行うというもの。
その結果、基礎代謝率が平均13%低下したというのです。
この結果だけを見ると、なんだ、これまで一生懸命ヨガでダイエットに励んでたのに…なんてがっかりしてしまうかもしれませんが、実はこの調査から、ヨガを行うことによって、“ある別の効果” が得られることがわかったのです。その “ある効果” がうまく身体に作用することで、ヨガによるダイエット効果が見込めるというもの。その “ある効果” とは?
ヨガのダイエット効果とは?
この調査からわかったヨガの本当の効果とは、ヨガを継続することで「リラックス効果が得られる」ということ。その理由には、“自律神経” が大きく関わっています。
自律神経は交感神経と副交感神経からなり、身体の中心にある脊柱を通りながら全身を巡り、内臓や血管などをコントロールして身体の恒常性を維持しています。私たちの意思とは別に、交感神経と副交感神経という相反する作用が互いに働きあうことで、無意識のうちに身体のバランスを保ってくれているのです。
交感神経と副交感神経の特徴は
交感神経と副交感神経の特徴は、例えばイライラや心配事があるなどストレスがたまっているとき、運動をしているときなどは、交感神経が優位に働いている状態で、逆に、眠りにつくときやお風呂に入っているときなど、心身がリラックス状態にあるときは、副交感神経が優位に働いている状態です。
この調査から報告された「代謝の低下」とは、自律神経のうちの副交感神経が優位に働き、身体がリラックス状態になっているということ。このことから、ヨガを継続すると、「リラックス効果が得られる」、という側面がわかったというわけです。
自律神経は交感神経と副交感神経がお互いにバランス良く作用してはじめて身体が正しく機能するため、どちらか一方が優位になり過ぎても良くありません。
特に現代生活はあらゆる情報に溢れ、24時間照明は明るく、交感神経が優位に傾きやすい環境となっているため、積極的に副交感神経を優位にさせることが大切です。
では、なぜ「ヨガにはダイエット効果がある」と言われ始めたのでしょうか?
ヨガでダイエットが成功する本当の理由
ヨガは有酸素運動と言われますが、実のところ、その運動量は散歩程度だという報告も。ですが、ヨガをする人はスリムな人が多いと思いませんか?それは一体何故なのでしょうか?
その理由には、「ストレス」が関係しています。
ストレス太りの原因は?
人はストレスがあるとき、別の欲求を満たすことで解決策を見つけようとします。「ストレス太り」とはその最たるもので、ストレスがたまると、それほどお腹が減っているわけでもないのに無意識に何かを食べてしまったり、ホルモンバランスが崩れるため、満腹感がなかなか得られずについつい過食になってしまうなどして、食事量のコントロールがきかなくなってしまうのです。
ところがこの調査結果からもわかるように、ヨガを継続することによってリラックス効果が得られ、ストレスが低減されると、食事量を含めて、物事を客観的に見つめられる余裕ができます。身体と心は食べたものでできています。
ヨガをしていると、身体的な健康だけではなく、精神的な健康を求めるようになるため、ヨガ実践者の中にオーガニック食品やスーパーフード、アーユルヴェーダやマクロビオティックなど、食事内容や食事法について考える人が多くなってくるのはこのためではないでしょうか。
日々、心身の変化に敏感になるからこそ、いま身体が本当に必要としているものは何なのか、その量や質などに客観的に意識を向けることができるため、自然と適正体重を維持できるようになるのです。
ダイエット効果を高めるヨガの呼吸法
自律神経のバランスが、やがてはダイエットに繋がるということがわかりましたが、その自律神経を整える方法のひとつに、ヨガの呼吸法があります。
普段は無意識に行っている呼吸ですが、吸う息は交感神経、吐く息は副交感神経が働いており、意識的にゆっくりと深呼吸を繰り返すことで、自律神経が整いやすくなります。
ヨガの呼吸法はさまざまありますが、簡単な方法は、吸う息と吐く息を同じ秒数かけて行う方法です。まずは3秒で吸って3秒で吐く、慣れてきたら5秒で吸って5秒で吐く…というように、徐々に秒数を長くしていきます。
座っているときや、仰向けになっているときなどは特に心身が落ち着きやすくておすすめですが、立っているときなどでもいつでもできます。少しずつ心がリラックスしている感覚がわかるかと思います。
ダイエット効果を高めるヨガポーズ
さらに自律神経を活性化させてダイエット効果を高めるためにおすすめのヨガポーズは、脊柱を意識したこれらのポーズです。
「プールヴォッタナーサナ (上向きの板のポーズ)」

1. 脚を前に伸ばし、脚の内側同士をぴったりとつけて座ります。
2. 指先をお尻に向けて、手のひらをお尻の10cmほど後ろの床につきます。手首が肩の真下に来るように調整します。
3. 息を吸いながらお尻を持ち上げます。
4. 足の甲を伸ばしてかかとからつま先までぴったりと床につき、脚の内側同士をぴったりと引き寄せあいます。
5. 3~5秒間呼吸を繰り返し、息を吐きながらゆっくりとお尻を床に落として元の姿勢に戻ります。
「ブジャンガーサナ(コブラのポーズ)」
1. うつ伏せになり、手のひらを胸の横につきます。
2. 両足の甲と太ももをしっかりと床につきます。
3. 息を吸いながら恥骨と手のひらで床を押すようにして上体を反らします。あごを引くようにして、首は自然な位置に置きしましょう。脚の内側と臀部を引き締める意識で行います。
4. 3~5秒間呼吸を繰り返し、息を吐きながらゆっくりと上体を元の姿勢に戻します。
ヨガは呼吸法がとても大切。
呼吸法を意識しながらポーズをとることで自律神経が整い、ダイエット効果を高めることができます。
何千種類もあるヨガのポーズは、基本姿勢である「タダーサナ(山のポーズ / 骨盤や背骨・脊柱を意識してまっすぐと立つポーズ)」を曲げたり捻ったりしてできているので、自ずと自律神経が通る脊柱を意識します。
背面を意識すると、自然と姿勢も良くなるため、内臓機能が整い、便秘改善などにも繋がりやすくなります。心身の美容と健康を考えるなら、これからは毎日の隙間時間に、ヨガの呼吸法やヨガポーズをとってみてはいかがでしょうか。