みなさんはどんな時にマッサージに行きますか?肩こりや腰痛がつらいとき、疲れやだるさが抜けないとき、脚のむくみがひどいとき。ダイエットや小顔のためにマッサージに行く人もいるでしょう。
気持ちがよくて、毎日でも受けたいマッサージですが、お金もかかるし、時間もないし、いつでもできるわけではありませんよね。
体が重い、疲れが抜けない、なんだか痛い…。そんな未病状態が続くと、運動もおっくうになり、食生活も乱れやすくなります。
“動かない体”はすぐに“動けない体”に変わります。5年前より太りやすくなった、痩せにくくなった、むくみやすくなった、疲れやすくなったという人は、要注意。
経絡って何?ツボってどうして効くの?マッサージとあん摩と指圧ってどう違うの?
健康にもダイエットにも役立つ経絡・ツボ・マッサージの基本とコツを中国医学の専門家が徹底解説します。

マッサージ、按摩、指圧の違いについて
この原稿は「経絡マッサージについて」というテーマをいただいて書いているのですが、専門家としては、実はちょっと困っています。
手技三法といわれる「マッサージ」「按摩(あんま)」「指圧」にはそれぞれ違いがあります。
マッサージとは
■ヨーロッパ発祥の手技
■皮膚や筋肉に直接触れ
■圧をかけながら
■求心性(末端から心臓・体幹へ)の流れで
■筋肉をゆるめ、血液やリンパの流れを改善
するもの
按摩は
■中国が発祥の手技
■「按」は押す、「摩」はさする・なでるという意味
■ツボを押したり、筋肉を揉んだりすることで
■主に中心から末梢へ向かう遠心性の方向で
■気血の流れを改善
するもの
指圧は
■中国から伝わった按摩が日本で発展した手技
■もんだり、叩いたりせず
■指や手のひらで圧を加える技法
■中心から末梢へ向かう遠心性の方向で行い
■筋肉をゆるめ、体液の循環を促進
するもの
治療としては、それなりに違いが出てくるのですが、
一般的には、揉んだりさすったり、ツボを押したりという“体に物理的な刺激を加えるもの”をまとめて“マッサージ”と言っていますよね。
ちょっと悩んだ末、ここではあまり小難しいことは言わず、一般的な意味でマッサージという言葉を使うことにします。
ちなみに、マッサージは「肌に直接触れる」、按摩と指圧は「服や布の上から」ことになっているので、治療を受けるときの参考にしてくださいね。
経絡って何?気って何?
さて、最近よく目にする“経絡(けいらく)”という文字。これって何のことだかご存知ですか?
中国医学の基本となる考えのひとつが“気”。
気は人が生きるための根本的エネルギー。
気にはいくつかの種類があります。
たとえば“元気”。
これは中国医学では医学用語のひとつ。
元気は命の根元の気。生まれる時に親からもらう“先天の気”であり、最も根本的なエネルギー。これが減少することで老化が起こり、なくなった時に生命が尽きると考えられています。
五臓六腑にもそれぞれの気があります。
気がきちんと体を巡っていると、脳や内臓がきちんと働いて、生き生きと活動することができます。
逆に、気が不足したり流れが悪くなると、痛みが出たり、病気になったり、老化が進んでしまうのです。
たとえば
■“脾胃”の気が滞ると、筋肉が衰え、脂肪が溜まりやすくなる
■“肺”や“大腸”の気が弱まると、便秘や肌荒れが起こる
■“腎”や“膀胱”の気が弱まるとむくみやすくなる
といった具合です。
鍼灸、あん摩、漢方薬や薬膳などは、全て気の不足を補ったり、滞った気の流れを改善するための手段。
“気が正しく流れていれば健康でいられる”。
それが中国医学の考え方。
そして、その気の通り道が“経絡”なのです。
経脈(けいみゃく)+絡脉(らくみゃく)=経絡
この項目はちょっと専門&うんちくを語るので、めんどうな方は飛ばしてしまっても大丈夫です(笑)。
「経絡」という言葉は、経脈(けいみゃく)と絡脉(らくみゃく)を合わせた言葉です。
「経」は「経度(けいど)」「経糸(たていと)」などの言葉で使われるように「たて」という意味。
つまり、経脈は人の体を縦方向に流れる、大きな流れ。
人の体には「肝・心・脾・肺・腎・心房」の六臓と「胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦」の六腑に対応する十二正経(じゅうにせいけい)という経絡と、奇経八脈という、20本の大きな流れがあります。
「絡」は「連絡」「絡める」などでわかるように、「つなぎ合わせる」という意味。
絡脉は幹線道路のような大きな経脈と経脈をつなぐ、小道の様なもの。
気の通り道である経脈と絡脉は、血液の通り道である大動脈と毛細血管のように、全身をくまなく網の目のように覆い尽くしています。
経絡とツボの関係
“経絡”という言葉を知らない人も、“ツボ”は知っていますよね。
ツボは“経絡上にあるポイント”。
さきほど、六臓六腑に対応した12本の経絡があるとお話しましたね。
たとえば肺の経絡(肺経)は、胸、肩、ひじの内側を通って手の親指まで続くライン上に11個のツボがあります。
咳が出るときによく効くツボのひとつが、「尺沢(しゃくたく)」。ひじの内側の横じわの上にあるツボです。胸回りならまだしも、なんでひじにあるツボが咳に効くのでしょうか?
それは「尺沢」が肺の気の通り道である「肺経」のツボだから。尺沢への刺激が経絡を通って、肺に伝わり、肺の働きを整えるからなのです。
あ、そこ!のツボ「阿是穴(あぜけつ)」
ツボを正確に刺激するのって、結構難しいんです。
私は中国の鍼灸の資格をもっているのですが、ツボを探す試験では、5mmズレたらアウトでした。
じゃあ素人にはムリじゃない?と思うかもしれませんが、それは他人に治療をする場合のこと。
セルフメンテナンスだったら、経絡のおおざっぱな場所と「阿是穴(あぜけつ)」を使えば、効果をしっかり出すことができます。
ツボは中国語で「穴」「穴位」と書きます。
「阿是穴」の「阿」は「あ!」
「是」は「それ!」「そう!」という意味。
つまり「阿是穴」は思わず
「あ!それ!そこ!!効く〜〜〜!」
と言ってしまうポイント。
ツボは決まった位置だけでなく、その人の体調によって、表れる場合があり、それが特効の治療点にもなる。それが「阿是穴」なのです。
脚をスッキリさせる経絡マッサージ
今回は、脚をスッキリさせる経絡マッサージをご紹介します。
①筋肉に対するマッサージによって、血液とリンパの流れを改善し、脚の疲れとむくみを解消
②脾経に刺激を加え、脾胃の働きを整えることで、胃腸の働きや体の水分代謝を改善。むくみの解消&予防、便秘や下痢などの消化器系のトラブルを改善。体と心の重だるさを改善します
経絡マッサージ〜脾経編
A.
①床に座り、あぐらを組むような角度で片足を曲げる
②くるぶしの骨のすぐ横に親指をあて、ゆっくりと圧を加える
*手や腕の力で押すのではなく、体を軽く前傾させて、体重で押すのがコツ
③親指一本分ずつ上にずらしながら、スネの骨のすぐ脇に指をあて、骨の下に指を潜らせるような感覚で、ゆっくりと押していく
④膝のすぐ下までくり返す
⑤強く響いたポイントを重点的にくり返し刺激する
ツボの場所を覚えていなくても、親指一本分ずつずらすことで、自然にツボにあたる方法です。決まったツボ以外の「阿是穴」を見つけることもできて、一石二鳥!
B.
①床に座って片足を立てる
②スネの骨の前で両手を組み、手のひらの付け根でふくらはぎをはさみ込んで圧をかける
③下から上までふくらはぎ全体を5〜6回に分けて揉み上げる
C.
①床に座って片足を立てる
②両手を軽く握り、ふくらはぎを両脇から同時に軽く叩く
③基本は下から上に。疲れや痛みを感じる部分を重点的に行う
③手首を楽にして、ランダムに軽く叩いて終了
まとめ
疲れも痛みも溜めるほど、治りが悪くなります。
脾経の経絡マッサージは、胃腸の働きを整え、脚を軽くスッキリさせるのにとても効果的。
テレビを見ながら、お風呂上がりのボディケアと一緒になど、毎日の習慣にぜひ取り入れてください。