
熱い想いを胸に秘め、串カツ屋の店長からシャルキュトリーのオーナシェフへ


壁面のメニューを見渡すと、串カツ類もあるが、パテやテリーヌなど、本格的なシャルキュトリーもお目見え。

しんちゃんは幼い頃から料理好きで、すでに小学校の卒業文集で「コックさんになりたい」と宣言するほど。調理師学校を卒業していくつかのフランス料理店で修業を重ねるうち、他の人と違うことをやりたいと強く思うようになる。

思い立ったが吉日、と日本を離れて単身渡仏。1年間本場のシャルキュトリーで働き、その魅力にさらに惹き込まれた。その後シャルキュトリーを開くに当たって肉の勉強は不可欠と、帰国してすぐに名古屋市内の精肉店へ入社。
肉のイロハを学んでいたところ、隣接する直営の串カツ屋を手伝ってくれないか、とオーナーに持ちかけられた。それが地元密着・立ち飲みスタイルの『串カツまんもちゃん』だ。

その流れに乗って今こそ次のステップへ踏み出す時と、オーナーに「この場所で自分の店を開きたい」と直談判。快諾を得て、晴れて『マルブラード』のオーナシェフとして門出を果たした。
本場フランスにリスペクトの思いを込めた店名
店名の『マルブラード』は、フランス南西部に伝わるシャルキュトリー名で、豚の頭部の肉類を使ったゼリー寄せのようなもの。しかし現地でもそれを知る人は少なく、消滅が危惧される存在だ。そこで未だ見ぬ古典的なシャルキュトリーにリスペクトの思いを込め、この名を引用。

「フランス」と「パテ・アンクルート」を愛する、しんちゃん渾身のシャルキュトリー
シャルキュトリーを始めるにあたって、スペシャリテとして掲げたのが「パテ・アンクルート」。しんちゃんに、何をしている時が一番幸せかと質問を投げかけると、迷いなく「パテ・アンクルートを作っている時」と返すほど思い入れが強い。
しかしこの料理、途方もない手間ひまを要する。
外側のブリゼ生地(砂糖を入れないパイ生地の一種)、内側の詰め物であるファルス、そして焼成後にブリゼとファルスの間に注ぎ込むコンソメジュレ作り…と、いくつもの工程を経ないと完成しない。
これを嬉々として作る彼のことを、”シャルキュトリーの申し子”と呼んでも差し支えないだろう。

そのままでも十分おいしいが、途中でピューレを添えたり、ピクルスで小休止したり、最後まで変化をつけながら楽しみたい。
フランス人の食に対する探究心と、しんちゃんのパテ・アンクルートへの愛情が存分に感じられる一品だ。

さらにアクセントとして駆り出されるのが、ピマン・デスペレット。フランスはバスク地方の郷土料理に欠かせない香辛料で、香りと刺激的な辛さが持ち味だ。これによって、肉感のあるテリーヌに複雑な要素が加わり、全体の輪郭がビシッと整う。


シャルキュトリーや串カツをたらふく食べても、別腹に難なく収まる軽やかなスイーツだ。
『まんもちゃん』時代の定番料理も引き続き提供。半熟うずら卵はマストな一品!
そして、忘れてはいけないのが『まんもちゃん』時代から受け継ぐ、揚げもの類。


この価格でこの満足度をもたらしてくれる技術と心意気に脱帽だ。

今の形態でシャルキュトリーの魅力を伝え、いつかはシャルキュトリーのみで勝負したいと語る。
ロゴマークが印字された包装紙からシャルキュトリーが取り出され、食卓に笑顔が溢れるシーンに思いを馳せながら、今日も幸せを噛みしめて「パテ・アンクルート」を作っていることだろう。
【メニュー】
鴨と豚のパテアンクルート りんごと生姜のピューレ 850円
炙り豚舌のテリーヌ ねぎ塩のレモンソース 800円
温かいファーブルトン バニラアイスと梨のキャラメリゼ添え 600円
串カツ(ヒレ)100円
メンチカツ 150円
うずら(3個) 100円
※価格はすべて税込
フランス惣菜と串カツ CHARCUTRIE marbrade
〒460-0007 愛知県名古屋市中区新栄2-15-7 プラザ新栄1F090-4086-9279(※営業時間内は対応不可の可能性あり)
17:00~23:00(L.O.22:00)
水・日曜日

この記事の筆者:露久保瑞恵(ライター&編集 料理・酒・旅探求人)
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