安い肉がおいしくなる。

こんにちは、食文化研究家のスギアカツキです。『食は人生を幸せにする』をモットーに、食トレンド、スーパーマーケットやスタバ、ダイエットフード、食育などの情報を“食の専門家”として日々発信しています。
突然ですが本日11月29日は、「いい肉の日」。
高級肉を選べば間違いはないものの、普段スーパーで買うような安いお肉がおいしく食べられたら最高ですよね。そんな都合の良い簡単テクニックがあったら……。そこで今回は、「安い牛肉をとびっきりおいしく食べる!」を目指して、焼肉専門店のプロに極意を聞いてまいりました。
お話を聞いたのは「焼肉うしごろ」など全国21店舗の焼肉専門店を運営する(株)サングの総料理長である鳴海博之さん。家庭でも失敗なく楽しめる牛肉料理は、ズバリ焼肉!安いお肉でも工夫をすれば驚くほどおいしく食べられると断言してくれました。
結論から言いますと、おいしさの決め手は3つに集約されます。そこで、多くの人がやってしまいがちなNG例を3つ紹介しながら、すぐに改善できる簡単テクニックをご案内していきたいと思います。
焼肉でやってしまいがちなNG法とは?
どんなに肉質が良い牛肉であっても、扱い方を間違えるとおいしくなくなると、鳴海さんは言います。
逆に、リーズナブルな輸入牛肉であっても工夫次第で十分おいしくなるとのこと。おいしい肉を味わうために重要なのは、「焼き方6割、選び方2割、下準備2割」と考えてよいそうです。それでは具体的にNG例を紹介していきましょう。
NG例①:厚い肉を選ぶ
牛肉をおいしく食べるために最も意識したいのは、「いかに柔らかく食べられるか?」ということ。スーパーでよく見かける焼肉用の牛肉を上手に焼くにはテクニックが必要となるため、もっと薄い肉を選ぶほうが上手に焼けるそうです。
厚切りは見栄えもよいので選んでしまいがちですが、ぐっとこらえましょう。具体的には火が入りやすい1.5ミリ程度の極力薄い肉がオススメです。
同じ10gであれば、表面積の広い薄肉を選ぶのが正解。肉の表面が茶色く色付き、香ばしい香りが生まれるメイラード反応が起こりやすくなります。
【その他のチェックポイント】
・加工日が新しいものを選ぶ
・発色の良いものを選ぶ
・ドリップが出ていないものを選ぶ
NG例②:そのまま焼く
次に下準備について。これは安い肉の場合は特に重要なステップになります。
かたい繊維をほぐすために、たんぱく質分解酵素を含む「生麹」などで漬け込むのが効果的だそうですが、もっと手軽な方法としては、焼く前にタレに漬け込んで、冷蔵庫に入れ30分程タレを浸み込ませる方法(薄い肉の場合)。タレの中にリンゴや玉ねぎなどのすりおろしが使われているとさらに効果的です。
焼く際には常温に戻すことも、大事なポイントです!
NG例③:焼き色がつくまでしっかり焼く
そして最後は、大きなカギを握る「焼き方」について。
ほとんどの人は焼き過ぎているそうで、焼き色が付くように両面をしっかり焼いてしまうと、肉に含まれる水分が飛んでパサついた仕上がりになってしまいます。
フライパンやホットプレートは高温状態にして、両面をさっとあぶる感覚で短時間焼きましょう。おいしいサインは、ロゼ色。ほのかにピンクがかった色味がふっくらとろける食感の証で、赤身肉ほど差がはっきりわかります。
専門店の肉は、何が違うのか?
最後に、焼肉専門店で扱う牛肉について聞いたところ、「肉選び、下準備、タレ、焼き方、食べ方のすべておいて妥協を一切しないところでしょうか」とのこと。
スーパーでは多く出回らない産地や部位もそろい、焼き方のアドバイスもしてくれる、片付け不要などの観点でも魅力的ですから、お家焼肉とは別の選択肢として使い分けるのが賢明でしょう。
<取材・文・撮影/食文化研究家 スギアカツキ 取材協力/うしごろバンビーナ 恵比寿ヒルトップ店>
スギアカツキ
食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。ビューティーガール連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)好評発売中。著書『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)が発売中。Instagram:@sugiakatsuki/Twitter:@sugiakatsuki12
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