話題のマンガ『明日、私は誰かのカノジョ』(以下、『明日カノ』)が最終回を迎え、11月10日エピローグ後編が公開されました。

をのひなお『明日、私は誰かのカノジョ』小学館
【インタビュー前編】⇒きっかけはレンタルおじさん?令和を生きる女子たちの生き様を描いた“明日カノ”誕生秘話

読者層の幅広さ
――SNSを見ているとキャラクターたちと年齢の近い10~20代の女性はもちろん、老若男女問わず読んでいる印象があります。
をのひなお:そうですね。最初の段階では若い女性をターゲット層にしていたのですが、ありがたいことに幅広く読んでいただけているなと思ってます。コメントを見ると男性や、「60代ですが読んでます」って言ってくださる方もいて、すごく嬉しいですね。
――特定のキャラクターの話になってしまうのですが、江美は他のキャラクターよりも少し大人のキャラクターですよね。それは、年上の読者もいるから生まれたのでしょうか?
をの:江美に関しては、実はホスト編のゆあという地雷系の女の子がきっかけで生まれました。ゆあがあまりにも人気になってしまって「憧れています」って言われたり、「憧れて風俗始めました」みたいな意見も見かけて、夢中になってくださるのは大変ありがたいのですが、自ら思いもよらないような道に踏み込んでしまうようなことは、それはちょっと意図していない方向だなと思って。
これは一度「その先」を描かなくてはいけないと思って、生まれたのが江美だったんです。だからといって、目的もなく40代まで生きていたらひどい目に遭うぞっていう意味で描いてるわけでもないので、ああいうラストにしたんです。
――「サイコミ」のアプリ内でも常にトップに表示されていた印象です。読者の期待がプレッシャーになったことはありましたか?
をの:最終章に入ってからは「もう終わる」「あとはたたんでいくだけの物語」という意識でした。ただ、ホスト編と配信者編と、菜々美(江美)の話を描いているときは、プレッシャーを感じていました。読者の中には細部まで見てくださっている方も多いので、変なものは描けないし、今まで見ててくれてた方も、「なんかやっぱり連載続いたら面白くなくなっちゃった」ってがっかりさせたくないなって。手を抜けるような仕事ではないので、毎週大変でした。
キャラクター設定のポイント
――読者が共感するキャラクターたちが、作品の魅力の1つだと感じております。それぞれのキャラクターはどうやって作っていったのでしょうか?
をの:女の子に取材することはしないようにしていました。ただ、経験したことがないのでわからない描写があれば、自分でやってみたり、人に話を聞くんですけど、そのキャラの経験とか思考は、誰かに話を聞いてというよりも、今まで生きてきたなかで出会ったいろんな人を交えて描いています。
――本作は実写ドラマ化されましたが、実写化されたときはどんなお気持ちでしたか?
をの:単純に嬉しいですよね。ただ、夢の中にいる感覚というか実感がなかったです。映像が世に出たときに「あ、本当に実写化されたんだ」ってやっと思えたというか。実際にキャスティングに関わることはなかったのですが、本当に皆さんぴったりでしたね。素晴らしかったと思います。
最終章を書き終えて
――最終章で、雪の話に戻るというのは決めていたのでしょうか?
をの:ホスト編のときにはもう最終章までのだいたいの流れを決めていました。縁って良くも悪くも切れないみたいな話を、リナと雪が電話話すシーンがあるんですけど、それは最終章にも続いているので。
――そんな最終章の後、エピローグも前編後編であるんですよね?
をの:はい。最終回はあくまでも7章の完結っていうイメージなんです。だから、私のなかでは、『明日、私は誰かのカノジョ』という物語の“総”締めくくりはできていなくて、エピローグで描くことにしました。各キャラの2024年の話として、未来の話を描くイメージです。
――この作品を通して、先生が伝えたかったことはなんでしょう?
をの:全編通して誰かしらに共感した方、あるいは「こうはなりたくないな」という見方をしている方もいると思います。実際に「このキャラもがんばってるから自分もがんばろうと思いました」って言われたりするとすごい嬉しいですしね。でも、その一方でお説教くさいことを言いたいわけではないんです。「みんなもがんばれよ」と言いたいわけじゃなくて「生きていかなきゃいけないよね」みたいなニュアンスのことを伝えたいなって。「大丈夫、きっとなんとかなるよ」って言いたいです。
――たしかに全編を通してショッキングな終わり方をした回はないですよね。良い意味で、生活は続いている。
をの:そう言っていただけて嬉しいです。私自身、バッドエンドのつもりで描いたエンディングは1つもないので。意外とみんな人生が続いていくし、うまいことやっていくということを伝えたいんだと思います。
<取材・文/於ありさ>
於ありさ
テレビ・ラジオ・映画・アイドル・お笑い・恋愛番組・ガールズムービー…とにかくエンタメ好き!サウナと旅で体を癒しながら、マイメロディに囲まれた自宅でエンタメ漬けの毎日を送っている。
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