登山時は、野生の熊に気をつけなければいけません。

しかし、野生動物よりも怖いのは、もしかしたら人間なのかも……。


愛知県在住の鈴木アカネさん（仮名・28歳／OL）には、大学時代から仲のいい男友達、山本正和（仮名）がいました。

大学時代、同じアウトドアサークルに入っていた2人ですが、仲が良く社会人になってからも度々会っていたそう。

「山本くんはわりと無口なんですけど、聞き上手ですし、余計なことを言わないのでなんだかんだ関係が続いています」


そんな関係性の2人が久々に会った際、山本くんはクマに遭遇したエピソードを話したそう。

「大きな熊に遭遇したんだけど、焦って逃げると気づかれて追いかけられる可能性があるから、ゆっくりクマに目を離さずに後退したんだよね」と山本さん。

そこで話が終われば「良かったね。安心した」と終わらせれたのですが……山本さんはニヤニヤしながら思いもよらない発言をしたのです。

一通り話が終わった後で山本さんは、突然ニヤニヤ。笑みを浮かべながら嬉しそうに話を続けたそうです。

「実は前から、このYouTubeチャンネルを見てて。実際に人がクマに襲われると、こんなに血まみれになるんだよ。

この動画を見て『クマに襲われるのはやばい』と理解できたんだ。逃げるコツ、クマの生態についても紹介されていたので、逃げるときの参考になったんだよね」と山本さん。

しかし、鈴木さんはそのYouTubeチャンネルを見て驚愕。複数人の人間がクマに襲われて、血しぶきをあげているようなグロテスクな内容だったのだそうです。

「助かったのは嬉しいものの、人がクマに襲われて血しぶきをあげているような動画を見て、ニヤニヤと笑っていられるだなんて引きました。山本さんの素顔は、もしかしてサイコパスなのかな？と思ってしまったんです」


普段は「大人しくて、話を聞いてくれるいい男友達」という認識で山本さんを見ていた鈴木さん。

しかし、この出来事から「本当は人が困っているのを見て、楽しむサイコパスかもしれない」と思ってしまい、何も話せなくなったそうです。

今では山本さんにも彼女ができて、彼女と一緒に山登りに行っていることを風の便りで聞いている鈴木さん。山本さんに彼女がなかなかできなかったので、恋人ができたと聞いた時は自分のことのように嬉しかったのだとか。

「でも、山本くんがサイコパスだったらと思うと、その彼女さんのことが心配でたまらないそうですけどね」

そう語る鈴木さんは、あくまでも一線を引きながら2人の幸せを願っていると教えてくれました。

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＜文／みくまゆたん＞