雨の日に憂うつになる人、必見!天気とメンタルの科学的な関係・対処法【脳科学者が解説

時刻(time):2023-06-19 20:23源泉(Origin):δ֪ 著者(author):kangli
Q. 天気が悪いと、気持ちも沈んでしまいます。天気は心の状態に影響しますか? 晴れた日は気持ちも明るくなるけれど、どんよりとした曇り空の日や雨の日は、何となく元気が出ない……。そんな経験はありませんか? 天気は実際に心の状態に影響するのか、解説します。 Q. 「天気が悪いと、気持ちもどんよりしてしまいます。雨や晴れなどの天気は、メンタルの状態に影

Q. 天気が悪いと、気持ちも沈んでしまいます。天気は心の状態に影響しますか?

晴れた日は気持ちも明るくなるけれど、どんよりとした曇り空の日や雨の日は、何となく元気が出ない……。そんな経験はありませんか? 天気は実際に心の状態に影響するのか、解説します。

Q. 「天気が悪いと、気持ちもどんよりしてしまいます。雨や晴れなどの天気は、メンタルの状態に影響するのでしょうか?」

A. 心身に負担がかかって疲れを感じるのは事実。「気の持ちよう」も大切です

メンタルの状態は、脳のはたらきによって変わります。脳は、外界の変化を感じ取り、それに体をうまく対応させることで、全身の健康を保つのが本業とも言えますから、温度や湿度、気圧などを含めた天候の変化に影響を受けます。極端に言えば、天気の変化によって心が影響されるのは当然のことで、生きている証です。

私たちの体が正常に機能するために、体の内部環境を一定に保つ「恒常性(ホメオスタシス)維持」というしくみがあります。

私たち恒温動物にとって、最適な体温は36~37℃です。そのため、暑くても寒くても、体温をその範囲内に保てるように、自律神経系やホルモンが機能します。

温度だけでなく、湿度や気圧が変化したときも、それらの外部環境の変化によって体内環境まで乱されないように、脳は体を整えようとします。大きな寒暖差や天気の変化があると、それに対応するのは大変です。大きなエネルギーを使うため、肉体的にも精神的にも疲れを感じやすくなります。

また、天気が悪いと、外出が負担になったり、本来したかったことができなくなったりすることもあるでしょう。それらがストレスになり、気分の落ち込みにつながることもあります。

雨のせいで楽しみにしていた予定が中止になったり、災害や事故にあったりという経験があれば、その記憶によって「雨は嫌なものだ」「風が強いのは怖い」といった嫌悪反応が生じ、心が沈みやすくなることもあります。

しかし、天気の悪さは、必ずしも心に悪影響を及ぼすとは限りません。気持ちの持ちようでカバーできることもあります。雨が強くて外出できなくなった休日は、普段できなかった家の片づけをしてみたり、静かに音楽を聴きながら読書をしてみたりと、気分転換ができるように、ちょっとした工夫をして過ごすのもいいのではないでしょうか。

阿部 和穂プロフィール

薬学博士・大学薬学部教授。東京大学薬学部卒業後、同大学院薬学系研究科修士課程修了。東京大学薬学部助手、米国ソーク研究所博士研究員等を経て、現在は武蔵野大学薬学部教授として教鞭をとる。専門である脳科学・医薬分野に関し、新聞・雑誌への寄稿、生涯学習講座や市民大学での講演などを通じ、幅広く情報発信を行っている。


執筆者:阿部 和穂(脳科学者・医薬研究者)
(エディタ(Editor):dutyadmin)
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