パリに暮らして22年のフリーアナウンサー、中村江里子さんがほんとうにご贔屓にしているお店だけを紹介したパリ・ガイド『セゾン・ド・エリコ Vol.17』が注目を集めています。
パリでも注目を集める「日本人ならではの誠実な仕事ぶり」
今回は、パリジャンの間で大人気の日本人経営のお店に注目! 日本人ならではの丁寧で繊細な手仕事、誠実な仕事ぶり、それらがパリの豊かな食文化と融合することで誕生したお店は、この街で暮らす日本人にとって「ただ懐かしい」というものではないようです。
日本からの旅行者にも“わざわざ”でも訪れてほしい、そんな存在のようです。中村さんにお話をうかがいました。

「シンヤ・パン」。開店30分前には行列ができ、2時間で完売することも! 稲垣信也さんが一人で切り盛りするお店。吟味した材料で丁寧に作られている。パンにはうるさいフランス人が郷愁を覚えるほどの昔ながらのパンも大人気

「うちのパンは子どもたちには買いにくいだろうから、せめてクッキーでも、と思って……」というレモンの皮入りクッキーは1枚0.80€(1€=150.6円/2023年5月1日現在)。両の掌にあふれる信也さんの優しさ
思わずほっとする「日本語でのやりとり」
──紹介されているお店の中には、日本の方がオーナーをなさっているお店も何軒か出てきますね。
「そうなんです。またまた、私も家族も大好きなお店ばかりです。定期的に買い出しに行ったり、子どもたちから『きょうはあれが食べたい!』と、リクエストされたり(笑)。
その土地の料理をあれこれ味わうのは旅の楽しみの一つ。でも何日か続くと、ちょっと日本の味のものが食べたいなとか、歩き回って疲れてしまったから、レストランではなく、テイクアウトでおいしいものを調達して、滞在先のアパルトマンやホテルでのんびりしたい……なんてこともあると思います。
日本語でやりとりしてほっとしたいということだって、きっとありますよね。ご紹介したお店はそんなときに、ぴったりです。でもそうじゃなくても、“わざわざ”でも、ぜひ(笑)」

日本を感じる「ヒサダ」オリジナルシリーズ。一番上とその右がモッツァレラを桜の葉で包んだもの、以降時計回りに、シェーヴルに日本の高級ウイスキーが隠し味になっている抹茶、ほうじ茶、ごまをまぶした3種、わさびとフレッシュシェーヴル、炒ったそばの実をまぶしたチーズ、シェーヴルチーズとみそ、みりんの旨味が合体したチーズ、中央はゆずとシェーヴル
パリで活躍する日本人のシェフやパティシエ
──日本人はもちろん、パリの人々にも大人気のお店だとか?
「ええ。つねに長い行列ができていたり、開店何時間かで売り切れてしまったり。店内に日仏英……いろいろな言葉が飛び交い、グローバルな熱気にあふれているところもあります。どのお店も“食”にはうるさいフランス人に人気で、ちょっと鼻が高い(笑)。
商品そのもののたたずまいやお料理の盛り付けは美しいですし、接客はホスピタリティにあふれていて、日本人らしさを感じます。でも、お店の内装や雰囲気からはパリのセンスも感じられて……」
──それは足を運んで、自分の目で確かめてみたくなりますね。
「はい。ご存じの方も多いと思いますが、パリでは和食や日本の調味料、お菓子などが人気ですし、武道などの文化、伝統工芸品や台所用品、そして、“日本語”そのものも注目されています。
日本人のシェフやパティシエの方もたくさん活躍されていて、コンクールで賞をとっている方も多いです。ちょっと大げさかもしれませんが、いずれのお店も、パリの中で息吹く日本や日本人のエネルギーを感じていただけるお店かなと思います」

日本人シェフ手嶋竜司さんが彼の一つ星レストラン「パージュ」の隣に開いたカジュアル版のお店「ソンセーズ・パージュ」。モダンな印象の店内。無垢の木のテーブル、抑えた照明にも温かみがあって、リラックスした雰囲気の中でおいしい時間を過ごすことができる

定番、その日のスペシャルとメニューの数は多い。写真は一例。右上からフライドポテト、以降時計回りにイベリコハム、特製のつくね、まぐろのタルタル、からあげ、中央左は丸ごとフライのブロッコリー、右は3週間熟成させた牛肉ステーキ、上段左から特製ソースのアボカドサラダ、焼きおにぎり、えびの天ぷら
中村さんが自らの経験で紹介しているお店は、お腹はもちろんのこと、なんだか心も豊かにしてくれそうです。
<撮影/武田正彦 現地コーディネート/鈴木春恵 文/女子SPA!編集部>
(エディタ(Editor):dutyadmin)


