ダイエットエクササイズや体幹トレーニングなどでよく聞く、「インナーマッスル」という言葉。
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腹筋を鍛えたい、下っ腹を引っ込めたい、お腹まわりを引き締めたいというとき、インナーマッスルを鍛えることが重要という意識は持っているものの、詳しいことはわからないという人は意外と多いものです。
今回は、インナーマッスルの部位や働き、鍛え方のポイントなどを解説するとともに、「インナーマッスルを鍛えれば痩せる」などといったウワサについても、プロトレーナーが検証していきます。
インナーマッスルとは
インナーマッスルとは、カラダの深部にある小さな筋肉たちのことを指します。
関節の安定性を高め、呼吸にも関わるなど、大きな力を発揮することはできないものの重要な働きを担う部位です。
インナーマッスルとはどこの筋肉?
代表的なインナーマッスルは以下です。
棘上筋・棘下筋・肩甲下筋・小円筋肩関節まわりにあります。まとめて「回旋筋腱板=ローテーターカフ」とも言います。

お腹の横にあります。

股関節まわりにあります。

お尻にある小さな筋肉です。

インナーマッスルを鍛えるトレーニングメニュー
インナーマッスルを鍛えるトレーニングメニューを解説していきます。
プランク 両肘を床につけ、うつ伏せになる。足は腰幅に開き、腰を浮かせる その姿勢のままキープする
動画でもチェックしてみましょう。

肘を曲げないハイプランクも、体幹強化のほか腕や肩の筋持久力向上におすすめです。60秒ほど行いましょう。

ハイプランク
注意ポイントは、「お尻を高く上げない」「頭・肩・腰・膝・カカトは一直線になるよう姿勢をキープする」「頭は常に床の方向を見て、動かさない」です。
プランクの効果を高めるポイントは以下の通り。
頭からカカトまで、横から見たとき常に一直線になるように意識する 腹筋を中心に、全身に力を入れるのを意識する 20秒×3セットを目安に行う
プランクで耐えられる時間を伸ばして、負荷を高めようとする人がいます。しかし長時間できるということは、負荷が少ない可能性が高いといえます。
アライメントをしっかり意識して全身に力を入れるように行うと、長くても30秒程度しかキープできないはず。
なお、プランクは毎日行ってOKです。
ワンレッグプランク(片足プランク)「ワンレッグプランク」は、プランクの姿勢から片足を浮かせるエクササイズ。足を浮かせたときにしっかり腹筋を意識し、カラダの一直線を保ったまま行なうことがとても大切です。


仰向けで両手を後ろにつけ、腰を持ち上げる動きを行います。腹筋を中心に、下半身にも負荷をかけるトレーニングです。



お腹のインナーマッスル、腹横筋をメインに鍛えるトレーニングです。プランク姿勢で身体を前後に動かします。



インナーマッスルを鍛えられるトレーニングとしておすすめのドローイング。腹式呼吸をしながらお腹を凹ませていきます。


インナーマッスルを鍛えるにはやはり「筋トレ」
実のところ、インナーマッスルは普通に筋トレをすれば鍛えることができます。ベンチプレスや懸垂(チンニング)、スクワット、デッドリフト。どれも、インナーマッスルが鍛えられるエクササイズです。
より効率よくインナーマッスルを刺激したいのであれば、エクササイズのメニューをチョイスしましょう。
レッグエクステンションやレッグカールなどカラダが固定されて末端部を動かすエクササイズよりも、スクワットやデッドリフトなど、末端部は地面に接して力を発揮しているエクササイズのほうが、インナーマッスルをより刺激できます。
なお、前者のような運動連鎖のエクササイズは「OKC(Open Kinetic Chain:オープン・キネティック・チェーン)」、後者のようなエクササイズは「CKC(Closed Kinetic Chain:クローズド・キネティック・チェーン)」と呼ばれ、すべての筋トレはどちらかに分類されます。
OKCのエクササイズ例 チェストプレス(胸) ショルダープレス(肩) ラットプルダウン(背中) レッグエクステンション(太もも前) レッグカール(太もも裏) などインナーマッスルをより強化したいと考える人は、以下のようなCKCのエクササイズを中心に行うとよいでしょう。
CKCのエクササイズ例 プッシュアップ(胸) ディップス(肩) チンニング(背中) スクワット(下半身) ランジ(下半身) カーフレイズ など参考:「開放運動連鎖(OKC)」と「閉鎖運動連鎖(CKC)」とは?筋トレ用語を解説 より
インナーマッスルにまつわるウワサを解説
インナーマッスルについてはいろいろな情報が流れていますが、ここでは誤解しやすいウワサについてご紹介しましょう。
インナーマッスルは重要、アウターマッスルは鍛えなくていい?インナーマッスルとは逆に、表層にある比較的大きな筋肉たちのことを「アウターマッスル」と呼びます。胸の「大胸筋」や背中の「広背筋」、お尻の「大臀筋」や太ももの「大腿四頭筋」などはアウターマッスルです。
このアウターマッスル、あまり鍛えなくていいという噂があります。インナーマッスルという言葉が一般的に広がったときによく聞いた内容です。
インナーマッスルをしっかり鍛えていれば、アウターマッスルはそれほど鍛えなくてもいい。それは、本当でしょうか。
もちろん、これは正しい情報とはいえません。たしかにインナーマッスルは重要ですが、それと同様にアウターマッスルも同じくらいの重要性を持ちます。
インナーマッスルが流行ったときには、プロのアスリートを指導するトレーナーでさえインナーマッスルの方が重要だと語っている人も多かったようです。
しかし、それはあくまでも、自分が教えているプログラムの効果の高さをアピールする意味合いが強かったのではないでしょうか。
もし「アウターマッスルは使えない筋肉。動けるカラダになるためにはインナーマッスルが重要」などというトレーナーがいれば、要注意です。
負荷の高いエクササイズではインナーマッスルを刺激できない?インナーマッスルをピンポイントで刺激するためには、軽い負荷で行う必要がある。これも、インナーマッスル人気が高いときによく聞いた言葉です。しかし、実際はそうではありません。
高負荷のトレーニングでも、しっかりインナーマッスルを刺激できます。むしろ、そちらの方が刺激されるでしょう。アウターマッスルだけ刺激される、インナーマッスルだけ刺激されるということはないのです。
インナーマッスルもアウターマッスルも、双方が力を発揮することでカラダがスムーズに動きます。
インナーマッスルを鍛えれば痩せる?インナーマッスルを鍛えることによって代謝が上がり、痩せることができると紹介されているダイエットグッズがあります。しかし、これは大いに疑問です。
インナーマッスルは小さい筋肉です。そんな小さな筋肉を鍛えることでどれだけ、本当に代謝量が増えるのでしょうか。代謝量を増やしたいなら大きな筋肉を鍛える方が効果的であることは、ダイエット経験者であれば誰もが知っているはずです。
インナーマッスルが刺激され、代謝量が増えてダイエットに効果的などと謳っている時点で、信用できないと個人的には感じてしまいます。
インナーマッスルトレーニングに役立つ器具
バランスボールバランスボールは不安定な性質を持つため体幹部にかかる刺激が多くなり、筋肉のバランスを整える効果が高まります。
また、バランスボールの弾性を活用することによって、床の上ではできない動作が可能となり、筋肉を刺激する範囲もそのぶん広がります。
また、ボールの上に寝そべるだけで、腹筋や背筋を気持ちよく伸ばすことができます。
関連記事:バランスボール、乗るだけで痩せる効果はある?メガロストレーナーが解説

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BOSU(ボス)
「BOSU(Both Sides Up:ボス)」は、通常のバランスボールとは異なり、半円形となっています。
バランス感覚の向上と体幹強化が期待でき、バランスボールが難しくて扱えない初心者にオススメのアイテムです。
関連記事:半円形バランスボール「BOSU(ボス)」の効果的な使い方と、体幹トレーニング5種目

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\もう一度動画でおさらい/
[筆者プロフィール]
和田拓巳(わだ・たくみ)
プロスポーツトレーナー歴16年。プロアスリートやアーティスト、オリンピック候補選手などのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療院での治療サポートの経験もあり、ケガの知識も豊富でリハビリ指導も行っている。医療系・スポーツ系専門学校での講師のほか、健康・スポーツ・トレーニングに関する講演会・講習会の講師を務めること多数。テレビや雑誌においても出演・トレーニング監修を行う。現在、さまざまなメディアで多くの執筆・監修を行い、健康・フィットネスに関する情報を発信している。日本トレーニング指導者協会(JATI-ATI)の認定トレーニング指導者
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<Edit:編集部/Text:和田拓巳、編集部>