普段は都市部で生活をしていると、隣人の顔も知らないことが当たり前になっていますが、まだまだ田舎では“近所付き合いをしない選択”をとるのは難しいようです。

写真はイメージです。(以下同じ)
自宅にピアノを置きたくて地方移住
「私は中国地方の出身なのですが、都市部に住んでいたので煩わしい付き合いは親世代まで。地元で結婚した妹は親とは別世帯だし、親戚づきあいも今は家族だけ集まる程度。だから関東出身の夫の実家も、そんな感じだと思っていたんです」
朱莉さんは息子にピアノを習わせていたため、ピアノが置ける夫の実家に引っ越すのを決意したと言います。
「夫の実家には、夫が子どもの頃に弾いていた大きめのピアノがあったんです。ずっと祖母が業者に調律を頼んでいたおかげで、今でも弾けるほど良い品質でした。都心に住んでいると中学受験なども盛んな地域で大変かと思い、引っ越したんです」
しかし、近所づきあいが少ないと言う予想は、外れてしまいました。
「義母は、ご近所さんの分もお墓参りをしたり、野菜のおすそ分けなども頻繁に行っていたんです」
実はその兆候は、結婚前からあったそうです。
「結婚式に、まったく関係のない苗字の高齢女性が来ていて、誰かと思うと近所に住んでいる義母の友達でした。キャンドルサービスでテーブルに行った時に、その女性が“〇〇ちゃん、優しいから大丈夫よ”と、義母の名前を親し気に呼んでいたので、親類と勘違いしていました」
義母に服装や外出にまで口に出される…

80代になる義母は、近所をやたらと気にするのに困っています。
「私の親はまだ60代なのですが、義母と私とはジェネレーションギャップも大きい。出かける時に、雨戸やシャッターをすべて閉めるのですが、義母が“ずっと雨戸を閉めたままだと、あの家はこのご時世に旅行に出かけているって言われてしまう”と言って、家族旅行にも出かけられないんです。確かに、コロナ禍なので旅行は行きづらいですが、このままずっと旅行ができないと思うと気が重いです」
朱莉さんは、黒髪にニットなど目立つ服装ではないですが、義母が服装にも口出しをします。
「出かけるときの服装にもうるさいんですよね。スカートを穿いていたら、“独身みたいよ”って言われたり……。悪気はないみたいなので、言い返すのも面倒で。あとなぜか美容院も、義母が行っている店にしか行けないんです。義母が行っている美容院だったら、子どもを見ててくれるからと……」
近所付き合いが“密”な義母の信じられない言葉
周りからの評判を気にしているようですが、あることが原因で義母の態度が一変したのには驚いたそうです。
「それだけ周りを気にしているのに、法事や祝い事のとき、義母が相手の家に包んだ額よりもご近所さんが少ない額を返してくると、“あの人は、こんなものしかくれなかった! 二度と付き合わない”って言い出すんですよ。大事にしているのか、よく見られたいだけなのかよくわからなくて」
朱莉さんは、持ち家率が高い地域での生活は息苦しいといいます。
「家族でドライブをしていると、クリーニング屋さんを見て“あれは同級生の〇〇君の家”とか、なにか関りのある人が多いんです。休日に近所のファミリーレストランや回転寿司に行くと、必ず息子の同級生家族や、夫の顔見知りに会うので落ち着かなくて。家が広いのは良いですが、東京での暮らしが懐かしくなる時もありますね」
このように、ずっと同じ地域に住んでいると、ご近所さんを意識するあまり、親世代の見栄や近所づきあいに巻き込まれて大変だと。もしも地方に移住する時には、事前に短期間、滞在してみると良いかもしれませんね。
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<取材・文/池守りぜね イラスト/ズズズ@zzz_illust>
(エディタ(Editor):dutyadmin)