筋トレで効果を出すためには、トレーニングの負荷が適切でなければいけません。
- 筋トレ後に起こる「超回復」とは。筋肥大のメカニズムと、筋肉を大きくする1週間トレーニングメニュー
- 筋トレの効果を引き出す「トレーニングの3原理&5原則」とは
- 筋トレ効果を高める時間帯とは。朝・夕方・夜いつ?食事タイミングとの関係は?専門家に聞いてみた
負荷が低すぎると筋肉は成長しませんし、負荷が高すぎると正しく動作できない、フォームの崩れが起き、筋トレ効果が低くなる可能性もあります。また、怪我のリスクも高まります。
そのため、筋トレの強度を考えるうえで重要なのが「頻度・回数設定」と「負荷・強度設定」です。
ここでは筋トレ初心者に向けて、トレーニング頻度と負荷設定のやり方を徹底解説します。
筋トレの頻度の決め方
「筋トレの頻度は週2回がオススメ」は本当?強度設定の次に考えたいのがトレーニング頻度です。よく「筋肉には休息が大事なので週2回がおすすめ」といった話を聞きますが、これは本当でしょうか。
週2回がよいという理由は、超回復の理論をもとにしているようです。
超回復とは、トレーニング後に48~72時間の休養をとることで筋繊維が修復されて太くなり、トレーニング前よりも体力や筋力が向上するというメカニズムを指します。
トレーニングや練習を行うことによって起こる、エネルギーの枯渇や筋線維の損傷あるいは蓄積する疲労など、カラダにさまざまなストレスがかかることで、一時的に体力は低下します。その後、適切な休息をとることで筋肉が回復していき、その結果として筋力の向上や筋肥大などの成果が現れるのです。トレーニング後に起こるこの現象を「超回復」といい、その理論を超回復理論と呼びます。
筋トレ後に起こる「超回復」とは。効率よく筋肉を作るトレーニングの頻度・休む期間・1週間メニュー例 より
そう聞くと、確かに週2回くらいが最適と思ってしまうかもしれません。しかし実のところ、一度にどれくらいの部位を鍛えるかによって、トレーニング頻度は変わります。

毎回筋トレで全身をハードに鍛える場合、疲労や筋肉痛から回復する間隔を考えると、確かに週2回がちょうどよいと言えます。
全身を毎日鍛えても、筋肉の修復・回復が間に合わないため、筋肥大には逆効果と考えられます。1回のトレーニング時間も長くなるうえ、疲労感や筋肉痛が大きく、蓄積するとオーバーワークになる可能性が高いでしょう。
モチベーションや目標を高く持つのは良いことですが、やればやるほど効果が出るものでもありません。
部分ごとに鍛えるなら毎日行ってOK基本的なトレーニング部位は、「胸」「背中」「肩」「腕」「下半身」に分けられます。一回ごとに部位を分けて鍛える方法であれば、週に4~5回行うことができます。
筋トレを週4~5回行う場合週4~5回など高頻度でトレーニングできる人は、以下のような組み合わせがあります。
A:胸+腕(上腕三頭筋) B:背中+腕(上腕二頭筋) C:肩+腕(上腕三頭筋) D:下半身+腕(上腕二頭筋)このように部位を細かく分けて順番に行うことで、オーバーワークを防ぎながら高頻度でトレーニングを行うことができます。
筋トレを週2回行う場合週2回など、あまりトレーニングを行う時間が取れない場合は、以下のように分けて交互に行うとよいでしょう。
A:上半身(胸・背中・肩・腕) B:下半身上半身・腹筋・下半身といったように、トレーニング部位を3つに分けた場合、同じ部位を次に行うタイミングは最短でも3日後です。
回復期間をしっかり置き、筋肉を修復しながら無理なくトレーニング頻度を増やすことが可能です。
まずは、自分が週に何回トレーニングできるか考えてみましょう。それによって、トレーニングメニューの組み方が変わってきます。週2回しかできない人もいれば、週5回できる人もいるはずです。
ちなみにMELOS公式YouTubeチャンネルに出演している社会人アスリート・MIHOさんの場合、週3~4の頻度の場合、うち2~3回は筋トレ、残りの回は好きなスポーツ(痩せるのが目的の場合は有酸素運動、ストレス解消の場合はヨガやストレッチなど)を入れるそうです。

続いて、筋トレの負荷強度(キツさ)と、回数の決め方についてです。
筋トレの負荷強度と回数の決め方
強度設定は「過負荷の原則」に従って考える強度設定を考えるとき、男性・女性問わず覚えておいてほしいのが、トレーニング5原則における「過負荷の原則」です。
これは、ずっと同じ刺激量ではカラダは成長せず、より多くの負荷を与えることによって成長していくという理論です。
日常生活以上の負荷をカラダに与えなければ、トレーニングの効果は現れません。これを「過負荷の原理(オーバーロード)」といいます。また、トレーニングをしていてもいつも同じ負荷では、カラダが刺激になれてしまうため効果が現れにくくなります。
筋トレをもっと効果的にする、トレーニングの3原理&5原則とは より
たとえば、5回で限界になる10kgの重量を使っていたとしましょう。しかし同じ10kgの重量を使い続けていても、効果は現れなくなってきます。カラダを成長させるためには、たとえ自重トレーニングであっても負荷を増やし続ける必要があるのです。
まずは、どのような筋トレを行う目的を考えてみましょう。「筋力を向上させたい」「筋肉を大きく(バルクアップ)したい」「細マッチョになりたい」「ダイエットでカラダを引き締めたい」など、それぞれの目的に合わせて強度を決める必要があります。
重量と回数設定から見ていきましょう。
どれくらいの重量と回数にすればいい?初心者の場合、今まで使用していた重量が軽く感じられるようになっても、重量を変更せずに回数を多くする人が多いようです。
たとえば腕立て伏せ。腕立て伏せは加重せず、どんどん回数を増やしていく方が大半ではないでしょうか。
回数を多くすることでも負荷は高まりますが、目的の効果が得られないかもしれません。回数を増やすのではなく、ダンベル追加やフォームを変えるなど“重量”を増やしていく必要があります。
筋力向上が目的の場合
「重いものを持ち上げられる体力をつけたい」「競技スポーツのパフォーマンスアップのために筋力を向上させたい」といった“筋力向上”が目的の場合は、3〜7回程度で限界を迎える負荷設定を行う必要があります。
筋肥大が目的の場合
「バルクアップして細マッチョになりたい」「カラダを大きくしたい」というような“筋肥大”を目的とする場合は、8〜12回程度で限界を迎える負荷設定で行いましょう。ダイエットのために筋肉を増やして脂肪燃焼を促したい場合も、この重量設定で行うのがオススメです。

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筋持久力が目的の場合

「同じ動作を繰り返し長時間行えるようにしたい」「疲れにくくしたい」といった “筋持久力”を目的とする場合は、13~20回程度で限界を迎える負荷設定が効果的です。
先述した回数を増やしていく筋トレのやり方は、この筋持久力を高める方法になってしまい、筋力や筋肥大効果は大きくありません。
逆に筋持久力を高めたい人は、回数をどんどん増やしていく方法でもよいでしょう。
ちなみに重量以外に負荷強度を高める方法は以下です。
セット間の休憩時間を短くするセット間の休憩を短くしてみましょう。普段2分以上休んでいるのであれば、それは休み過ぎです。10~30秒くらいで設定してみてください。
セット間の休憩時間を短くすることで、1回のトレーニング時間を短くすることが可能です。また、休憩中の心拍数の低下を防ぐことができ、ダイエットにも効果を発揮します。
可動域をできるだけ大きくする
可動域(関節が動く範囲)をできるだけ大きくすることによって、筋肉全体に負荷がかかり、力を発揮している時間も長くなるため、筋トレの負荷が高まります。
可動域が狭くなってしまう原因として多いのは、重すぎる重量を使っている、もしくは可動域を大きく動かすメリットを理解していない場合です。可動域を大きく使うために、筋トレ前にはウォームアップを行うようにしましょう。
動作スピードをゆっくり行う
動作のスピードを意識的にゆっくりすることでも、筋肉への刺激を大きくすることができます。とくに筋肉が引き伸ばされながら力を発揮するエキセントリック局面で、ゆっくり行うように意識するとよいでしょう。
具体的には、スクワットの腰を下ろす動作やバーベル・ダンベルを下ろす動作時は、ゆっくり行うと負荷が高まります。

続いて、筋トレを行うタイミングについて解説します。
筋トレを行うベストタイミングとは
筋トレに効果的なタイミングというのはあるのでしょうか。
日本体育大学体育研究所助教授で健康科学・スポーツ医科学を研究する鴻﨑香里奈さんによる解説記事「筋トレ効果が大きい時間帯はいつ?朝・夕方・夜のどれ?食事の前と後では?専門家に聞いてみた」によると、「筋トレにオススメの時間帯は、実は未だ明らかとなっていないのが現状」とのこと。
午前中に筋トレを行うことで最大の効果が得られる人もいれば、午後や夜の方が効果を得られる人もいるのだそうです。これは概日リズム(サーカディアンリズム)が、個々人の生活背景や生活環境に大きく依存されるものであるからだそう。
ヒトの概日リズムの中で、最も筋力が高まる時間帯は午後2~6時で、最も低い時間は午前6時と夜の10時ということがわかっていて、比較すると最大で6%も向上し、ケガのリスクも減少するそうです。
しかし、先述の通り概日リズムは個々人の生活リズムに依存され、本能的に快適な時間帯をそれぞれ持っているため、筋トレのタイミングはそれほど神経質にならなくてもよさそうです。

筋肉を効率的に鍛えるためのルール5つ
ルール1 「大きな筋肉→小さな筋肉」の順で鍛えるエクササイズの順番を考える際、大筋群(大きな筋肉)のエクササイズから始めるのが一般的です。大筋群は大きな力を発揮することができ、高重量を扱うことができるエクササイズが多い部分。しかし大きな力を発揮するためには、多くのエネルギーが必要です。
また、高重量を扱うことによるケガを防ぐためには集中力が必要となります。そのため、心身ともに疲労が少ない状態のうちに、しっかり行っておきたいところです。
たとえば胸と腕を鍛える日の場合、大きい筋肉である胸を先に鍛えて、その後に小さい筋肉である腕を鍛えるという流れになります。腕を先に鍛えてしまうと、胸をエクササイズのときに腕が疲労していて大きな力を入れることができません。すると、胸に対する刺激量が少なくなってしまうのです。
ルール2 エクササイズ種目は「多関節→単関節」の順で鍛えるエクササイズは、2つ以上の関節が動き動作を行う「多関節種目(コンパウンド種目)」と、ひとつの関節しか動かない「単関節種目(アイソレーション種目)」に分けられます。
胸を鍛えるエクササイズの場合 多関節種目:ベンチプレス、ダンベルベンチプレス(肩関節と肘関節が動く) 単関節種目:ダンベルフライ、バタフライ(肩関節しか動かない)多関節種目は複数の筋肉が同時に力を使うことになるので、大きな力が発揮でき、高い刺激を得ることができます。一方で単関節種目はひとつの筋肉で動作を行うため、多関節種目に比べ扱える重量は少なくなります。
しかし、鍛えたい部分を集中して刺激することが可能です。エクササイズを選ぶ際は多関節種目を先に行い、ある程度大きな刺激を与えた後に単関節種目で限界まで追い込むのが効率的でしょう。
ルール3 トレーニングは「フリーウエイト→マシン」の順で鍛える筋トレ初心者を卒業するためにも、慣れてきたらバーベルやダンベルを使って行うフリーウエイトをメニューに取り組んでいくようにしましょう。
フリーウエイトはマシントレーニングに比べ、動作を行う上でメインとなる力を発揮する筋肉だけでなく、姿勢を保つための筋肉やバランスをとるための関節まわりの小さな筋肉など、多くの部分を同時に鍛えることが可能です。
しかし、マシンに比べて不安定性があり、動作が難しいというデメリットがあります。そのため、疲労が少ないトレーニング序盤にフリーウエイトを組み込むとよいでしょう。

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後半は疲れが溜まっているためマシントレーニングがおすすめ
疲労が蓄積してくるトレーニング後半では、姿勢を安定させて行えるマシントレーニングがオススメです。
重量を簡単に変えることができたり、反動を使いにくくストリクトで動作を行うことができるので、最後の追い込みに最適なのです。
ルール4 前半は「高重量×低回数」、後半は「低重量×高回数」筋持久力の向上を目的としている場合は別ですが、筋力向上や筋肥大を目指しているのであれば、トレーニング序盤は「高重量×低回数」で行い、トレーニング後半は「低重量×高回数」で行うようにしましょう。
前半は5~10回が限界になる程度の重さで行う他メニューの組み方と同様、トレーニング序盤の疲労が少ないときは、できるだけ筋肉に大きな刺激を与えた方が効果的です。
5~10回程度で限界になるよう、エクササイズの重量を設定して行ってください。
後半は重量を軽くし、回数を増やすトレーニング後半では疲労の影響もあり、重い重量を扱えなくなります。また、疲労が溜まった状態で高重量を持ち上げようとすると、反動を使ってしまい効果が低くなったり、ケガのリスクも高まります。
ラストスパートは12~20回ほど行える重量で、できるだけ反動を使わずに筋肉を追い込みましょう。
参考:毎日筋トレするなら“部位別”に鍛えよ。トレーニング効果を引き出すメニューの組み方
なお、目的としている部位を事前に疲労させておいてから、メインとなる種目に取り組むトレーニングメソッドを「事前疲労法」といいます。
たとえばベンチプレスで胸を鍛えたい場合、ベンチプレスよりも先に上腕三頭筋が疲れてしまい、胸を鍛える前にトレーニング動作が続けられなくなるということがあるでしょう。そういった際に事前疲労法を使います。
まずは上腕三頭筋を使わず、大胸筋だけを使って行うダンベルフライなどのエクササイズを行います。その後、ベンチプレスを行うという流れです。
ルール5 トレーニング後の栄養補給も大切また、トレーニング後はプロテインなどの栄養補給も欠かせません。タンパク質や糖質といった栄養を忘れずに摂取することで、筋肉量の増加につながっていきます。
なお、トレーニング後は消化吸収に優れているホエイプロテインがおすすめです。傷ついた筋肉の修復・回復の手助けとなります。急いで摂取する必要はありませんが、運動後に飲むとベストと言われています。

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トレーニング直後は筋肉の修復、成長機能が高まるゴールデンタイムと言われています。このタイミングでは、筋肉の材料であるたんぱく質の必要量が高まるため、プロテインで速やかに補給することが重要になります。ちなみにトレーニング前や最中は消化能力が鈍るので、1~2時間ほど前に摂取すると、トレーニング中の身体の栄養状態を高めることが期待できます。
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[著者プロフィール]
和田拓巳(わだ・たくみ)
プロスポーツトレーナー歴16年。プロアスリートやアーティスト、オリンピック候補選手などのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療院での治療サポートの経験もあり、ケガの知識も豊富でリハビリ指導も行っている。スポーツ系専門学校での講師や健康・スポーツ・トレーニングに関する講演会・講習会の講師経験も多数。そのほか、テレビや雑誌でも出演・トレーニング監修を行う。日本トレーニング指導者協会JATI-ATI。
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<Text:和田拓巳/Photo:Getty Images>