世界の朝ごパンをランキング!おいしい朝ごパンはどれ?
共働きや単身世帯が増え、朝食をじっくり取る時間が少なくなってきた日本の食卓。手軽に食べられることから、朝食にパンを食べる人はごはんを食べる人の2倍近くまで増えたという調査結果もあるほどです。そんな風潮もあってか「朝ごはんにパンを食べる=朝ごパン」という言葉も広く浸透しつつあります。しかしパンは手軽に食べられるだけに、味やバリエーションが単調になりがち。毎日パンが続くと、ちょっと飽きてしまうという方もいるのでは?
一方で世界にはパンを主食とする国はたくさんあります。世界各国の朝ごパンに目を向ければ、まだ見ぬ朝ごパンに出会えるかもしれません。
そこで本記事では、2012年のオープン以来これまでに50カ国の朝食を提供してきた「ワールド・ブレックファスト・オールデイ」に協力をあおぎ、オーナーの木村顕さんイチオシの朝ごパンをランキング形式でご紹介します!
ワールド・ブレックファスト・オールデイ オーナー/木村顕さん2カ月おきに国を変えて世界各国の朝食を提供する「ワールド・ブレックファスト・オールデイ」を運営。外苑前店、吉祥寺店に続き、2022年3月に銀座店をオープン。一級建築士としてすべての店舗の設計・建築にも携わる。著書に「おうちでつくる世界の朝ごはん」(SPACE SHOWER BOOKs)
オーナーの木村さんは、もともと飲食業に携わったことはなかったそう。それがなぜ世界の朝ごはんに精通するようになったのでしょうか。「古民家を改装した宿泊施設を運営していたとき、たくさんの外国人観光客が訪れてくれました。せっかくだからいろいろとお話を聞きたいと思うのですが、なかなか話が弾まなくて。そんなとき盛り上がったのが食事の話。特に朝食の話題は、相手の文化が垣間見える奥が深い内容でした。
どの国にも共通するのは、朝食は簡単に用意できるもので素朴な味わいを楽しむというもの。飾り気はないけど、だからこそダイレクトにその国の食文化が感じられると思ったんです。以来、お客様にどんな朝食を食べているか尋ねていたら、膨大な情報量になりまして(笑)。日本の皆さんに世界の食文化を少しでも提供できたらとの思いで、今日に至ります。
今回のランキングも、おいしさはもちろん、手軽さやその国の食文化のおもしろさも含めて総合的にぜひ皆さんに知っていただきたい朝ごパンを選出しています。ご自宅で再現できるものはレシピもご紹介するので、ぜひチャレンジしてみてください」
ではさっそく5位から発表です!
5位: パン・コン・トマテ(スペイン)
「パンとトマト」を意味するパン・コン・トマテは、トーストした少し厚めのバゲットににんにくをすりつけ、トマトをつぶしたソースとオリーブオイルをかけて食べる料理。爽やかな味わいは日本人にも好まれる味です。「スペインでは1日に5回の食事があり、朝ごはんは8時頃と11時頃の2回に分けて食べられています。パン・コン・トマテは2回目の朝ごはんによく食べられていますよ。薄くスライスした生ハムをのせて食べると、さらにおいしくいただけます」
4位: ムイエット(フランス)
「ムイエット」という名前が意味するとおり、細長くカットしたバゲットが主役の朝ごパンです。カリカリにトーストしたバゲットを、頭だけ殻を割った半熟のゆで卵にディップしていただきます。「シンプルな調理法と食べ方ですが、フランス版の卵がけごはんとも言えるほど広く親しまれた定番の朝食です。揚げたアスパラガスをそえて、バゲットと一緒に卵にぜひつけてみてください。日本でもよく目にする食材でありながら、組み合わせのおいしさに驚かれるはずですよ」
3位:カルヤランピーラッカ(フィンランド)
カルヤランを意味するフィンランド東部カレリア地方の伝統料理ですが、今では国民的な料理としてフィンランド全土で食べられています。ライ麦のパイ生地でミルク粥を包みオーブンで焼いたピーラッカ(=パイ)は、独特な形が特徴。ライ麦の香ばしい香りとほんのり甘いミルク粥の相性は、味も食感もバッチリです。「卵とバターを混ぜて作る『ムナボイ』をのせた食べ方が、ポピュラーでおいしいですよ。手で成形しているため、家庭それぞれに個性がある独特な形もおもしろいですよね」
2位:タピオカ(ブラジル)
タピオカというと丸い粒状の食べ物をイメージしますが、もともとはブラジル先住民のキャッサバ芋の加工法を指す言葉が由来。北部を中心に先住民インディオも主食としていた伝統的な料理です。「まずキャッサバ芋をすり下ろし、絞った汁から沈殿したデンプンを取り出して粉状にします。水分や油分はいっさい加えず粉をそのままフライパンで焼き、お好みの具を包んでクレープ状にしたものを現地ではタピオカと呼びます。
クセのないモチッとした食感が食べやすく、シンプルにハムとチーズを合わせるのはもちろん、ココナッツやジャムなどを挟んでデザート風にしてもおいしくいただけます。ちょうど6〜7月にお店でも提供している期間限定メニューなので、気になる方はぜひ(笑)」
1位:ハチャプリ(ジョージア)
ジョージア語で「ハチャ」はチーズ、「プリ」はパンを意味する、ジョージアを代表するチーズパンです。地域によってさまざまな種類のハチャプリがありますが、こちらの舟形はアジャリア地方でよく見られる特にユニークなもの。舟形のパンをちぎりながら溶けたチーズと卵にディップしていただきます。「高カロリーなひと品ですが、そのためジョージアでは朝ごはんによく食べられます。日本のしょうゆともいえるミックススパイス『フメリ・スネリ』との相性がよく、お好みでかけて食べる人も多いですね。過去にお店で提供したときは、大きな反響がありました」
おうちで簡単再現!フランスの朝ごパン「ムイエット」のレシピ
調理時間:10分フランスの朝食に、特にパンは欠かせないといいます。クロワッサンやパン・オ・ショコラなど甘いパンを朝食によく食べるフランスにおいて、唯一甘くない朝食がこの「ムイエット」です。
「作り方は至ってシンプル。細長くカットしたパンをトーストし、ゆるく仕上げた半熟卵を用意するだけで完成します。材料も日本で簡単に手に入れられますし、ぜひ自宅でフランスの朝の風を感じてみてください!」
材料
・バゲット(長さ約20cm)……1/4本・卵(常温に戻したもの)……1個
・バター……お好みの量
・塩……少々
必要な道具
・エッグスタンド「卵をかなり半熟に仕上げるので、立てて置いておけるエッグスタンドがあると便利です。なければ、クシャクシャにしたアルミホイルの上に立てたり、卵の底を軽く割って立てたり、工夫してみてください」
作り方
1. お湯を沸かして卵をゆでる
水を入れた鍋を火にかけ、お湯を沸かします。沸騰したら卵を入れ、4~5分ゆでます。「鍋はミルクパンのような小さなもので問題ありません。半熟具合が非常に重要になるので、しっかり沸騰させたお湯に卵を入れます。卵をゆでている間も、お湯がフツフツと泡立つ状態をキープするのがポイントです。菜箸で時折かき回すと、卵の黄身が中心にきて綺麗に仕上がります。
お湯が沸くまで時間がかかるので、火にかけている間にパンをカットする工程まで進めてから卵をゆでてもOKです」
2. パンを細長くカットする
バゲットを8〜12等分ほどの細さにカットします。「かなり細くカットするので、ブレッドナイフで切るとボロボロと崩れてしまいます。普通の包丁のほうが綺麗に切れるので、おすすめですよ。
バゲットの厚さは購入したときの大きさによりますが、ゆで卵にさせるくらいの大きさを意識してカットしましょう」
3. バゲットをトーストする
カットしたバゲットをトースターに入れ、こんがり焼きます。「焦げないように様子を見ながら、濃いめのきつね色になるまでしっかり焼きましょう」
4. ゆで卵の頭をカットする
ゆで上がったら、ゆで卵をエッグスタンドにのせます。頭の部分にテーブルナイフを軽く当て、卵を回しながら殻を叩いてヒビを1周入れて頭の部分を外します。「ゆで卵は冷水につける必要はありません。卵はとがっているほうを下にしたほうが、口が広くなりバゲットがディップしやすくなりますよ」
5. バターや塩で仕上げる
お好みで、ゆで卵の黄身に塩を少々振り、バゲットにバターを塗ります。ゆで卵とバゲットをお皿に盛ったら完成です。調理のポイント
・卵は沸騰したお湯にいれ、ゆでている間もフツフツと沸騰した状態をキープ・バゲットは普通の包丁で薄めにカット
・卵はとがっているほうを下にして、上の部分をテーブルナイフで叩いてカット
世界にはまだ見ぬ朝ごパンがたくさんあふれている!
「ベスト5の朝ごパンは、これまで当店が提供してきた朝食の中でも人気が高かったメニューばかり。材料が特殊でレシピが紹介できないものもありましたが、オンラインストアで購入できるパンもありますよ。限られた個数しか製造できないのでなかなか皆さんにお届けできないこともありますが、不定期で販売しているのでチェックしてみてくださいね」
WORLD BREAKFAST ALLDAY/オンラインストア
「ワールド・ブレックファスト・オールデイ」がこれまで提供してきた約50カ国もの朝ごはんは、どれも好評で人気のメニューばかり。何を隠そう筆者も同店に足繁く通う隠れファンのひとりです。オーナーの木村さんも、その中からベスト5を決めるのはなかなか試行錯誤されたそう。「今回は朝ごパンということもあり、ギリシャやブルガリアのパイ料理やメキシコのトルティーヤを使った朝ごはんは入りませんでしたが、どれもおいしい料理ばかりです。
世界の朝ごはんはただ味わうだけでなく、生い立ちや歴史を知ることが醍醐味のひとつ。マンネリ化しがちな朝ごパンの新しいアイデアやアレンジ方法をもたらしてくれるかもしれません。普段は忙しくてむずかしくても、週末の朝食だけでも楽しめる時間を作ってもらえたら嬉しいです」と木村さん。
世界には約200カ国近い国々が存在しています。まだ見ぬ世界の朝ごパンに出会ったとき、見慣れた朝の食卓の景色が変わるかもしれませんよ。
取材・文/鎌上織愛
撮影/植松富志男