温水洗浄便座の使い過ぎは危険って本当? 医師に聞いた「正しい」使い方 - ビューティーガ

時刻(time):2022-05-10 19:33源泉(Origin):δ֪ 著者(author):kangli
排便後の清潔さを保つ温水洗浄便座(ウォシュレットなど) 体にとって重要な臓器である消化管。口から入った食物は消化・吸収され、不要な分は残渣物として排泄されます。肛門はこの大切な排泄部分を担うものです。 肛門の外側は肛門括約筋と呼ばれる筋肉で覆われており、内側は粘膜です。肛門括約筋には2種類あり、自分の意志では動かせず常に締まっている状態の

排便後の清潔さを保つ温水洗浄便座(ウォシュレットなど)

体にとって重要な臓器である消化管。口から入った食物は消化・吸収され、不要な分は残渣物として排泄されます。肛門はこの大切な排泄部分を担うものです。

肛門の外側は肛門括約筋と呼ばれる筋肉で覆われており、内側は粘膜です。肛門括約筋には2種類あり、自分の意志では動かせず常に締まっている状態の内肛門括約筋と、自分の意思で動かすことができる外肛門括約筋に分けられます。外肛門括約筋を動かすことで、スムーズに排便することができます。

肛門の出口部分の粘液にも大切な働きがあり、体内への菌などの侵入を防いでいます。また、大腸内の腸内細菌も、病原体が侵入・繁殖するのを防いでくれています。

このように体内を清潔・健康的に保つようにできている肛門部分ですが、それでも糞便は衛生的なものではありません。大腸菌を含めた細菌がたくさん含まれていますし、皮膚を刺激するインドール、スカトールなどの物質も含まれているため、便が皮膚に付いたままだと皮膚に炎症を起こすこともあります。

そのため、ある程度は工夫して、肛門部分をきれいにしておく必要があります。排便後にトイレットペーパーで便を拭き取るのは世界的にも最も一般的な方法ですが、近年の日本では温水洗浄便座の機能も併用している方が多いでしょう。

ここでは、上記の体の仕組みを理解した上で、正しい温水洗浄便座の使い方・注意点を考えてみたいと思います。

温水洗浄便座(ウォシュレット)の正しい使い方

温水洗浄便座は、ボタンを押すと便器からノズルが出てきて、肛門などを洗浄してくれる機能が付いているものが一般的です。

通常「ウォシュレット」と呼ばれることも多いようですが、ウォシュレットトイレは1980年にTOTOが発売した製品で、TOTOの商標登録名です。一般名称としては「温水洗浄便座」と言います。

温水洗浄便座は、ノズルの角度によって、肛門だけでなく、ビデというボタンで外陰部を洗うこともできます。便は温水だけでもきれいにできますので、トイレットペーパーで拭くだけよりも、この機能を使って洗浄する方がきれいになると言えるでしょう。

水圧、洗浄時間などで洗い方が変わってきますが、洗浄後はトイレットペーパーで水を拭き取ります。正しく使えば、衛生面でも評価できる優れものです。

できれば弱めの水圧で、5~10秒程度の洗浄時間で使用するのが良いとされています。

温水洗浄便座症候群とは……使い過ぎによる肛門のかゆみなど

しかしどんなものでもそうですが、使用方法や回数・時間を適切にすることがとても大切です。

温水洗浄をし過ぎると、本来必要な肛門周囲の皮膚の皮脂まで、過剰に洗い流してしまいます。これにより皮膚のバリア機能が低下し、かぶれやかゆみなどの症状が起こることもあり、正式な病名ではありませんが、「温水洗浄便座症候群(ウォシュレット症候群)」という呼ばれ方もされています。

また、水圧が強過ぎても皮膚を傷めることになりますし、毎回、10秒以上洗浄しているような場合も、肛門周囲の皮膚の皮脂まで取れてしまいます。

温水洗浄便座から病気感染するリスク・気になる安全性

また、排泄物をノズルから出る温水で洗い流すことから、それを介して、感染症になるリスクを心配する方もいらっしゃるようです。

結論からお伝えすると、健常人で正しい使い方をする限り、感染の危険はないと考えられます。しかし、不適切な使い方による感染の危険性は完全には否定できません。

例えば、胃腸炎で下痢をしているような場合、下痢便の中にはノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなどのウイルス、サルモネラ菌、大腸菌、キャンピロバクター菌などの細菌が含まれている可能性があります。

ノズルからの逆流などがない場合でも、強い水圧で洗浄してしまうと、そうした病原体を便器内に通常よりも広範囲で付着させてしまう可能性はあるでしょう。

皮膚炎などの感染を防ぐためにも、ノズルを自動的に洗浄してくれる機能があるものなどは良いかもしれません。最近は便器内を殺菌してくれる便器もあるようです。

ノズルからの菌の逆流がないことなどは各メーカーがサイト上のQ&Aなどでも回答しているようですので、感染リスクが完全にゼロではないとは言え、深刻な持病などがある方以外は、過剰に神経質にならなくてもよいかと思います。

行き過ぎた清潔感は不健康? 適切な使い方・使用上の注意点

温水洗浄便座は、あくまで肛門に付着した便を洗い流すためのものです。それ以外の目的で使用することは避けた方が良いでしょう。

以下は、ひょっとしたらこうした使い方を日常的にされている方には意外に思われるかもしれませんが、NGとされている使用方法です。

・排便刺激のための使用
・腸内洗浄のための使用
・膣洗浄のためのビデ使用

こうした使用をしないためには、そもそも便秘などで悩まないように普段からの生活を整えることが大切です。規則正しい生活、食物繊維を含むバランスの取れた食生活、適切な水分摂取を心がけ、乳酸菌などの腸内環境を整える食事内容を心がけましょう。

当然ですが、便には腸内細菌が含まれており、悪臭の原因であるインドール、スカトールという化学物質も含まれています。清潔な温水で便を洗い流し、肛門を清潔にしておくことは、衛生面でも気持ち的な快適さの部分でも良いことです。

しかし、「無菌にしたい」「完全に便の成分を洗い流したい」「肛門の臭いを完全に消したい」など行き過ぎた清潔観念は、腸内細菌のバランスを変えてしまうことになり、さらに肛門周辺の皮膚に炎症を起こして、肛門のかゆみなどにつながってしまいます。

温水洗浄便座では、あくまでもさっと肛門を洗いトイレットペーパーで水分を拭き取る程度に。適切な使用で、快適さを保ちましょう。

清益 功浩プロフィール

小児科医・アレルギー専門医。京都大学医学部卒業後、日本赤十字社和歌山医療センター、京都医療センターなどを経て、大阪府済生会中津病院にて小児科診療に従事。論文発表・学会報告多数。診察室に留まらず多くの方に正確な医療情報を届けたいと、インターネットやテレビ、書籍などでも数多くの情報発信を行っている。


執筆者:清益 功浩(医師)
(エディタ(Editor):dutyadmin)
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