経験した者にしか理解できないとも言われる出産の痛みや苦しみ。それだけに妊娠中やお産の際に何もしないパートナーに怒りを覚える女性も多く、時には離婚の決め手となるケースもあるようです。
6歳と3歳の2人の男の子を持つ石井舞香さん(仮名・37歳)の夫も、長男妊娠中は仕事が終わっても週の半分は同僚と飲み歩き、へべれけになって深夜帰宅するのがお約束だったといいます…。
妊娠中も同僚としょっちゅう飲み歩いていた夫
「妊娠中、土日は買い物や家事などを代わりにやってくれましたが、平日は協力的には、ほど遠かったです。正直、離婚届を叩きつてやろうと思ったことも何度もありました(苦笑)」
それでも夫は出産時はずっと側にいて、生まれたばかりの子供を前に号泣。その様子を見て許してしまいましたが、しばらく経つとまた飲み歩くようになり、帰宅は午前様に。再び彼女の怒りがふつふつと湧いてきたのは言うまでもありません。
「惚(ほ)れた弱味かもしれませんが、私が甘やかしていたからつけ上がったのかも。家にいる時は子供の面倒もちゃんとしてくれますが、そもそも、ふだんあまりいないですからね。父親としての自覚があるのか疑問でしたし、本当に学習能力がないなとあきれました」
夫が突然の激痛に襲われた
ところが、そんな妻子をないがしろにする態度に罰が当たったのか長男誕生からおよそ1年後のある日、夫は朝から強烈な腹痛に襲われます。
「明け方から具合悪そうにしていましたが、そのときは『しばらく休んでいれば大丈夫だから』って。けど、朝食の支度ができて起こしに行くと明らかにさっきより体調が悪化していて、パジャマも湿るくらいに脂汗をかいていました。
それで私も焦っちゃって近所に住む仲良しのママ友に子供を預かってもらい、市内の大きな病院に連れて行ったんです」

出産の痛みは、尿路結石よりも上?
病院でもすぐに検査へ回され、レントゲンやCT、エコーなどで調べた結果、医師からの診断は尿路結石。そのまま即入院となってしまいます。
舞香さんは入院中に必要な着替えやタオル、日用品などを取りに一度自宅に帰り、すぐ病院に戻りましたが、夫はこれまでは通院経験もほぼ皆無。風邪もほとんど引いたことがなかったらしく、これが初めての入院でした。そのせいか病院のベッドで横になる彼は、今までとは別人のように不安げな表情を浮かべていたそうです。
「痛み止めのお薬を投与してもらい、『かなり楽になった』と話していましたが一週間前後は入院が必要と言われてショックを受けていました。だから、勇気づけようと励ましたのですが、『お前はあの痛みを知らないからそんなことを言えるんだ……』って。
本当に心配してたのにそんな口を叩くから私も頭に来ちゃって、『女の出産なんてね、尿路結石なんかと比べ物にならないほど痛いのよ!』って口走っちゃったんです」

このとき夫は「えっ、あれよりも痛いのかよ……」と驚いた様子でつぶやいていたとか。ちなみに彼女はどっちが痛いのか知らなかったそうで、完全に口からでまかせだったそうです。
「実は、後でネットで調べたら『瞬間的な痛みは尿路結石のほうが大きい』って書いてあったんです。あちゃ~とは思いましたが、これは誤解させたままにしておいたほうがいいなと思い、訂正はしませんでした。
そんなわけで夫は今でもお産の痛みのほうが強烈だと勘違いしているはずです(笑)」
もちろん尿道結石も出産も痛みの強さには個人差があり、一般化してどちらが強いと決めることはできないでしょう。それに、出産の痛みとは別に、父親が自分の子の育児をするのも当然のこと。ですが、この件で夫に変化が起きました。
退院後は毎晩早く帰るようになった夫
それは、予定通り1週間で退院した後、それまでとは一転して夜は基本的に7~8時に帰宅。それまでのアルコール摂取量の多さは医師から注意されたこともあり、夫の帰宅が夜中になることはほとんどなくなったといいます。
「以前は月の小遣いを飲み代で使い果たした夫に拝み倒され、1万円、また1万円と追加で小遣いを渡して結構な出費になっていたんです。それもほとんどなくなったので出費も減り、家計を預かる身としては助かっています」
尿路結石も放置しておくと命にかかわることもあり、夫には災難でしたが妻である彼女にとっては夫が家事や育児について考えるいい機会になったはず。この時、口からでまかせで言ったのは結果的には正解だったのかもしれませんね。
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<文/トシタカマサ イラスト/ただりえこ>
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トシタカマサ
一般男女のスカッと話やトンデモエピソードが大好物で、日夜収集に励んでいる。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。
(エディタ(Editor):dutyadmin)
