美しいフォルムと香ばしい焼き上がりで人気の羽根付き餃子。その発祥は大田区の蒲田とされている。東京の餃子の聖地とも言われる蒲田で、餃子の名店を訪ね、夏バテを吹っ飛ばしてきた。
聖地・蒲田に集う餃子の有名店をゆく。夏バテを吹き飛ばす名店の羽根付き餃子
食べる気がしない……でも、食べなきゃ体が持たない。夏バテはなんとも厄介だ。そんな夏バテにピッタリな食事として、この時季になると注目されるのが餃子だろう。餃子は炭水化物、肉、野菜、そしてニンニクやショウガなどのスタミナのもとが一度に取れるスグレモノなのである。
電車に飛び乗り向かったのは、大田区蒲田。線路沿いに100軒以上の飲み屋が軒を連ねる呑ん兵衛の街としても有名だが、蒲田には餃子の街というもう一つの顔がある。それもただの餃子ではない。パリッとした香ばしい“羽根”を纏った羽根付き餃子発祥の地なのだ。
最初に訪れたのは「ベンヴェヌート」。はて、餃子の店なのに、この店名は……と驚くことなかれ。実はこちら、蒲田では知らぬ者はいないとも言われる羽根付き餃子の人気店「歓迎(ホアンヨン)」の系列店なのである。

【ベンヴェヌートの歓迎(ホアンヨン)の羽根付き餃子】蒲田の名店、歓迎の系列店として昨年オープン。歓迎と同じ羽根付き餃子がイタリアンと一緒に味わえる店として人気に。バジルソースも人気だが、酢とコショウでシンプルに味わうのも人気。350円
店長のオススメは餃子にバジル?
店長の本宮巧さんに聞いた。
「餃子は職人が手包みした歓迎本店と同じものを出しています。タレも本店と同じニンニク醤油もあるのですが、白ワインと合わせるならオリジナルのバジルソースがオススメです」
さっそく、本宮さんオススメのバジルソースをかけていただく。羽根のパリッとした食感に続いて、プチュッと勢いよく肉汁が飛び出す。この肉汁に爽やかなバジルの香りが、絶妙にマッチする。キリリと冷えた白ワインがたまらなく旨く、瞬く間に空になる。
ワインと相性がいいのは、餃子の餡に秘密がある。豚肉だけでな鶏肉も使用し、ニンニクを使っていないためにサッパリとした味になっている。そこにバジルソースをかけることで、白ワインとの相性が深まっているのだろう。
「夏場は凍らせたレモンをスパークリングワインに入れたカチ割りレモンスパークリングもオススメですね。白ワインだけじゃなくて、軽めの赤ワインやロゼも相性がいいんですよ」
多い日は一日100食も出るという。羽根つき餃子をワインで楽しむスタイルは、これからもっと広がっていくのかもしれない。

ビールと餃子、王道の楽しみ方
続いて訪れたのは蒲田羽根付き餃子の老舗「金春新館」。こちらはべンヴェヌートとは異なり、中華の“王道”な雰囲気が漂う。
「何か特別な味つけはあるの?って聞かれるけど、ウチは至ってシンプル。豚肉にキャベツと白菜、そして豚骨ベースのスープを入れて餡を作っているの。こだわりというわけじゃないけど、季節によって白菜とキャベツの割合を変えるくらいかな」
店主の八木誠さんが餃子とビールをテーブルに置きながら、笑顔で話をしてくれた。
「でもね、皮は大事。機械で作ってみたこともあるんだけど、“ウチの餃子”じゃなかった。たぶん、普通の人が食べてもそんなに感じないかもしれないけど、味も歯応えも違うんだ。一口食べただけでダメって思った。だから自分でやんなきゃって」
香ばしく色づいた羽根がなんとも食欲をそそる。たまらずに頬張る。ジュワリッ! 熱々の肉汁がほとばしり、口を焼く。たまらん! ジョッキを摑むと無我夢中でビールを流し込んだ。
フーッ。半分以上あいたジョッキを見つめながら、余韻に浸ってしまった。そしてまた、もう一つ、また一口と餃子とビールが進む。餡自体も旨いのだが、ニンニクの入った特性のタレが後を引く。
「餃子にはニンニクは入れてないの。ショウガをちょっと入れるくらい。ニンニクはタレだね。醤油に刻んだニンニクを2日ほど漬けて、発酵する手前で出すんだ」
店を出ると熱風が吹き抜けた。餃子でスタミナがついたのか、熱風すらも心地よかった。

羽根付き餃子はなぜ蒲田発祥か?
蒲田には蒲田駅を中心に20軒以上の餃子の店がひしめいており、宇都宮や浜松にも引けを取らない”餃子の街”なのである。
蒲田の餃子の特徴は、今回紹介した羽根。その元祖と言われる店は「您好(ニーハオ)」。店主の八木功さんが友人たちをもてなすために作った餃子が評判となり、その後研究を重ねて羽根付き餃子が生まれたと言われている。
そして、この八木さんの親族が「歓迎(ホアンヨン)」や「金春(コンパル)」を出店。蒲田羽根付き餃子の礎を築いたとされているのだ。

<取材・文/野中ツトム、武馬怜子(清談社) 撮影/渡辺秀之>
(エディタ(Editor):dutyadmin)


