
熟成肉ブームよりもはるか前から「熟成料理」を極めていた名ビストロ

熟成肉ブームが落ち着いた後も確実に顧客の支持を集め、2020年の11月で創業12年目を迎える。


使用する食材は、味だけでなく育て方や環境に納得できる生産者から仕入れたものばかり。同店のメニューにも、産地や農家、牧場名などが記載されている。そして料理は、素材の良さを引き出すシンプルな調理を施す。その手法の一つとして「熟成」を取り入れているというわけだ。
「野菜の前菜3種」+「お肉の前菜4種」で1人前1,800円!
料理のコンセプトは「寝かせることで旨味が増し味が熟れる」で、店名の通りフレンチベースの熟成料理をメインに扱う。ディナーメニューは、野菜の前菜3種と肉の前菜4種で構成される「あとはメインを選ぶだけ。コース」(1人前1,800円)が基本。それにお好みでメイン料理を追加すれば、自分好みのオリジナルコースの完成だ。そのほか、チーズやパン、デザートも数種類あるので、お腹の空き具合に合わせて楽しみたい。
どれも季節感を取り入れるために毎週のように食材や調理の趣が変わるため、訪れるたびに違った味を楽しめるようになっている。


塩をふりオーブンで火入れしたセミドライトマトは味が濃く、酸味もまろやか。とろとろ食感のストラッチャテッラチーズがミルキーな味わいを添え、バジルソースが清涼感を与えてくれる。これだけで冷えたシャンパーニュが飲みたくなってしまう。

ひんやりと冷たいムースはとうもろこしの優しい甘さがあり、芯を煮込んで作っているからかほんのり苦みを感じるジュレ、そして程よい塩気とうまみのアンチョビソースのハーモニーが爽やかだ。

プラムの皮は弾けるようなパリッとした食感で、甘さがありつつも酸味は強く、サラダの主役として堂々たる存在感。穏やかな酸味のホワイトバルサミコ、そして穂じその清涼感ある香りが鼻に抜ける、これまた夏にぴったりの料理になっている。
「お肉の前菜」は、10種類から4種類をチョイス

名物はじっくり時間をかけてうまみを引き出した「最低二週間熟成 岩中豚の田舎パテ(パテ・ド・カンパーニュ)」(写真上・右手前)。豚の喉肉、レバー、ロース、背脂などを、それぞれの食感が生きるよう粗挽きにしてパテにしており、部位による味わいの違いが楽しめて面白い。


燻製された豚バラと一ヶ月熟成した短角牛のリエットは、上質な脂のうまみが感じられつつも、しっかりと豚肉と牛肉それぞれの良さが生きている。

時間をかけて素材のうまみを引き出す、自慢のメイン料理

「継ぎ足し鴨脂でじっくり火を通した 北海道産鴨もも肉のコンフィ 香ばしくぱりっと焼き上げて」(写真上)は、長年この料理を作り続けたことで集まった「鴨脂」で鴨もも肉をコンフィ(オイル煮)にしている。
70℃で長時間コンフィしたのち、さらにオーブンで焼き上げることで、外は香ばしくパリッパリ。中は継ぎ足し鴨脂が染み込みしっとりジューシーで、ホロホロとほどけるほど肉がやわらかい。
「キリッと冷えた白ワインとも合いますよ」と雨宮さん。鴨肉の滋味深い味わいが堪能できるよう、味付けはシンプルに塩だけという潔さもいい。

岩手県「田村牧場」で飼育された短角牛を、食肉市場として知られる芝浦の倉庫で一ヶ月吊るして熟成。表面に焼き目をつけてからゆっくり火入れしてステーキにしている。


産地を問わず、常時70種類ほど揃う自然派ワイン


グルナッシュならではのラズベリーやプルーンのような甘い果実味がありつつも、シルキーでなめらかな口当たりと上品な味わいを両立させた「L'INSOLENT 2018 FRANCOIS ECOT」が、熟成牛の魅力を引き出してくれる。

今も昔もブレずに使用する食材にこだわり、素材の良さを引き出すために時間を惜しまず熟成という技法を続けてきたからこそ、『下北沢熟成室』は長くこの地で愛されているのだろう。
【メニュー】
▼コース
・「あとはメインを選ぶだけ。コース」 一人1,800円
▼アラカルト
・「継ぎ足し鴨脂でじっくり火を通した 北海道産鴨もも肉のコンフィ 香ばしくぱりっと焼き上げて」 2,400円
・「岩手県産 田村牧場より「一ヶ月吊るし熟成牛」 赤身「カタサンカク」のステーキ・フリット」 量り売り150g〜 2,800円〜
▼ドリンク
・グラスワイン800円〜
・ボトルワイン 3,800円〜
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。また、価格はすべて税別です
撮影:岡崎慶嗣
下北沢熟成室
東京都世田谷区北沢2-33-6 飯嶋ビル2F050-3313-1404(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
土・日・祝
ランチ 11:30~15:00
火~金
ディナー 18:00~24:00
(L.O.23:00)
土
ディナー 18:00~24:00
(L.O.23:00)
日・祝日
ディナー 18:00~22:30
(L.O.22:00)
※御予約頂ければ平日も17:00〜営業いたします。
月曜日
※祝日の場合は翌火曜

この記事の筆者:中森りほ(ライター)