
超人気カレー店『カルパシ』が、ジェラート&カレー専門店を下北沢にオープン
星の数ほどあるカレー専門店の中で、“日本一予約が取れない店”として有名なのが、2016年、千歳船橋にオープンした『Kalpasi(カルパシ)』。
何から何まで異色尽くしなのに、黒澤さんが生み出す衝撃的なカレーには、多くの熱狂的なファンがつき、予約開始と同時に満席になる店として知られている。
そんな黒澤さんが2020年6月21日、下北沢にオープンさせたのが、ジェラート&カレーの専門店『Curry Spice Gelateria KALPASI(カレー スパイス ジェラテリア カルパシ)』。
“カレー界の鬼才”が作ったジェラートは、一体どんなものなのか。

ディープな雰囲気漂う路地奥にオープンした商業施設『サウスウェーブ下北沢』の1階が『Curry Spice Gelateria KALPASI』。話題の飲食店が集中している同施設は、下北沢の新たな食の発信拠点として注目されている。

ジェラートは「2種盛り」でオーダーするスタイル



ここでは内田さんオススメの組み合わせで、全種類をご紹介。
【1】強烈な刺激を求めるなら「実山椒ブルーチーズショコラーデ」×「焦がしマスタードシードココナッツ」

「実山椒ブルーチーズショコラーデは、まず実山椒入りのチョコレートを作り、そこにブルーチーズを混ぜて練り上げています。固くて練るのにものすごく強い力が必要なため、作るのが一番大変なジェラートです」(内田さん)
口に含んだ瞬間に強烈な山椒の香りが炸裂…! その刺激に驚いていると、チョコの香りとほろ苦さ、ほのかな甘みがゆっくり広がり、ブルーチーズのコクと塩気がうまみとなって追いかけてくる。ジェラートという言葉で単純にくくれないほど斬新な味わいで、確かに『Kalpasi』のカレーに通じるものがある。
実山椒の刺激で痺れた舌を癒してくれるのが、ココナッツ特有の甘い香りが嬉しい「焦がしマスタードシードココナッツ」。だが食べ進むうちに、炒って黒くなるまで焦がしたマスタードシードの香りと辛みがジワジワ迫ってくる。種のプチプチした食感もクセになりそうだ。

実山椒とマスタードシードの刺激が見事に融合! 新感覚な刺激の変化を、ぜひ体験してみてほしい。
【2】清涼感のシンフォニー!「カルダモンピンクグレープフルーツ」×「セージミルク」

「カルダモンピンクグレープフルーツ」は、柑橘類の皮やミントのような清涼感があるカルダモンが、ピンクグレープフルーツの清涼感を増幅! 舌に乗せた瞬間、生のグレープフルーツを食べている以上の鮮烈な果実感が広がる。
「セージミルク」はミルクの自然な甘みを楽しんでいると、その奥からふんわり、青草のような爽やかな香りが広がってきて、それがどんどん強くなる。

【3】カレーと最高に合うのはこれ!「レモングラスヨーグルト」×「レモン胡瓜ミント」

「レモングラスヨーグルト」は、甘酸っぱいミルク感の中にレモングラス特有の柑橘系の香りがあり、確かにカレーの後に欲しくなる、ほどよい甘さと爽やかさ。
対して「レモン胡瓜ミント」は、清涼感が殴りかかってくるような爆発的な衝撃!ほのかに塩のうまみも感じるが、塩は入れていないとのことなので、キュウリが持っている自然の塩分なのだろう。
「材料はレモンの皮と汁、ミントの葉とキュウリ。それをミキサーで、クリーミーになるまで攪拌しています」(内田さん)

【4】一番の問題作⁉「マサラチャイ」×「ホワイトアスパラガスエルダーフラワー」

一方、「ホワイトアスパラガスエルダーフラワー」(同・左)は上級者向けの味といえるかもしれない。ホワイトアスパラガスの風味が濃厚で、ジェラートというより、フレンチのソースのよう。
なのにジェラートとしても成立している。その不思議な味わいの秘密を追い求めて食べれば食べるほど、不可解な魅力にハマりそうになる。

「ざっくり混ぜた時」と「均一になるまでよく混ぜた時」とで、香りに変化が現れるのも意外な発見! かき混ぜることでジェラートの温度が上昇するので、気化しにくいハーブ系の穏やかな香りが後から出てくるのだろう。
ジェラート自体の甘みが最小限なことも、口中の微妙な変化をドラスティックに感じられる理由だ。
「8種類全部を食べる人もいます」と店長の内田さんに聞いた時は驚いたが、いざ食べてみると、他の味が気になって食べるのをやめられなくなる気持ちがよくわかる。
さらに、『Kalpasi』のカレーが予約なしで食べられるのも魅力!
同店のもうひとつの大きな魅力は、本店では予約至難な『Kalpasi』のカレーを予約なしで味わえること。実際、ジェラートよりもカレー目当てで訪れる人も多いという。
「ぶっ飛んでいるようで見事にまとまっている。相反する特色が同居する、不思議なカレーなんですよ」(妹尾さん)
「この店が『Kalpasi』への入り口になって欲しい」という想いから、『Kalpasi』のカレーの魅力は大事にしつつ、食べやすさも考えてアレンジしている。

副菜は右から「チャナマサラ(ひよこ豆のカレー)」、「ゴーヤのアチャール(漬物)」、「キャベツのサブジ(炒め煮)」、「人参のアチャール」。ご飯の上のトッピングはレモンのピクルス。





3種類とも強い個性があり、ワンプレートで『Kalpasi』同様、変化に富んだフルコースのような満足感を味わえる。しかも『Kalpasi』の半分ほどの価格。さらに予約なしで『Kalpasi』のエッセンスを体感できるのは、ありがたい。
料理店の勤務経験がゼロだから、“繁盛するカレー店の常識”のすべて逆を攻めた
そもそも、予約の取れない本店『Kalpasi』はどのように生まれたのだろうか?“カレー界の鬼才”の異名を持つ『Kalpasi』オーナーシェフの黒澤功一さん(写真下)にお話を伺った。

「プロは味がぶれてはいけない、というのが常識なのに、僕のカレーは日々変化するから、いつ来てもブレブレ(笑)。おいしいから通うというよりも、『心配でつい来ちゃった』という人が多かったような…(苦笑)。でもお客さんはそのアバウトさを楽しんでくれたような気がします。僕の店のお客さんはいろいろな店で食べているすごい方々が多くて、僕はそういうすごいお客さんたちに育ててもらったんです」(黒澤さん)
ジェラートにすることで、スパイスとハーブの可能性をもっと広げたい
意外にも、黒澤さんはもともと甘い物に全く興味がなかったそう。しかし『Kalpasi』はコース形式のため、必要に迫られ、独自に考案したジェラートをデザートとして提供することに。そのうち、常連さんたちから「新しい味!」と喜ばれ、ジェラート作りが楽しくなったという。
もうひとつの理由は、『Kalpasi』の常連の年齢層が高めなことから、「若い人にも『Kalpasi』のカレーを知ってほしい」と考えたから。そこで、若い層が好きなジェラートを目玉にした店を思いつく。目指したのはズバリ、“カレー屋のジェラート”。
「そもそもカレーとは、簡単に言えば、スパイスやハーブを使って作る液体。それを温めてご飯にかけるか、冷たく凍らせてジェラートにするかの違いだけなんです。湯気も立たず、香りも広がらない氷点下のジェラートでも、カレーの刺激は表現できると思っています」(黒澤さん)
古くからの友人で、2019年8月、京都で人気のジェラート専門店『PICAROEIS(ピカロアイス)』をオープンした西川ヒロアキさんともアイデアを出し合い、完成させたのが『Curry Spice Gelateria KALPASI』のジェラートというわけだ。
「僕とスタッフのカラーを融合させて、新しいカラーにしていきたい」(黒澤さん)
黒澤さんは「今はこの店もまだ僕のカラーが強いけど、だんだんスタッフ独自のカラーを付けていってほしい」と語っている。
この店のテーマカラーであるパープルが、熱いカレーを象徴する暖色と、冷たいジェラートを象徴する寒色が融合した色であるように、2つの店の個性が融合した時、全く新しい魅力が生まれることだろう。

<ジェラート>
・ジェラート2種盛り 530円
<カレー>
・カレー2種盛り 1,200円
・カレー3種盛り 1,390円
・カレー2種盛りジェラートセット 1,680円
・カレー3種盛りジェラートセット 1,870円
<トッピング>
・パクチー 150円
・レモンピクルス 100円
・青唐辛子ピクルス 100円
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。また、価格はすべて税込みです
Curry Spice Gelateria KALPASI (カリー スパイス ジェラテリア カルパシ)
東京都世田谷区北沢2-12-2 サウスウェーブ下北沢 1D11:30~19:00(平日カレーのイートイン・テイクアウトは16:00まで)
木曜

この記事の筆者:桑原恵美子(ライター)