
焼鳥の名店で修業した料理人が、注目の「水炊き専門店」をオープン
焼鳥の名店で修業を積んだ料理人が、独立して新たな焼鳥店を出すケースは多い。だが2018年11月5日にオープンした『鳥とみ』は、店主が焼鳥の名店『鳥しき』『鳥かど』出身でありながら、焼鳥ではなく「水炊き」を看板に掲げている珍しい店だ。

『鳥とみ』は、そんな街に溶け込むように、しっとりした佇まいを見せている。


自分が感動した「水炊き」を、多くの人に味わってもらいたい

水炊きの店を出そうと思ったのは、修業していた和食の店で水炊きを担当していた時に、「水炊きって本当においしいな」と心から感動したことがきっかけだという。
自分が感動した水炊きを多くの人に味わってもらえる店を出したいと思いながら、物件探しで苦労してなかなか実現せず、その間いろいろな焼鳥店で修業をしたという。
「その経験が今の料理に生きています。回り道をしたことが、結果的によかったのかもしれません」(土屋さん)。
ちなみに同店では、焼鳥にも水炊きにも、『鳥しき』で使用していた福島の銘柄鶏・伊達鶏のみを使用している。「臭みがなく、脂も皮もおいしいんです」と土屋さん。
「鳥とみのコース」で、名店仕込みの焼きと新たな鶏のおいしさを体感
現在は土屋さん一人で切り盛りしているため、当面メニューは「鳥とみのコース」のみ。


やや甘めのこっくりした胡麻酢の味つけが、その食感に絶妙にマッチしている。

ワサビの鮮烈な刺激が、脂身のこっくりした甘みをさらに強く感じさせてくれる。
名店仕込みの焼鳥を、国産クラフトジン使用の「山椒ハイ」とともに
冷菜2品の次は、名店仕込みの焼鳥3本が供される。
使用しているのは、プレミア焼酎として知られる「晴耕雨讀(せいこううどく)」を造る鹿児島の酒蔵『佐多宗二商店』製の国産クラフトジン「AKAYANE CRAFT SPIRITS 山椒」。
アルコールベースに焼酎を用い、山椒、ゴボウなど和食材の香りも加えている独特の製法。ピリリとした刺激とキレのある後味で、さっぱりと焼鳥の脂を洗い流してくれる。



引き立てられた肉のうまみを感じつつも、レモンの酸によって脂が流れ、水炊きへの準備が完了する。
主役の「水炊き」、15時間以上かけて仕込む鶏スープは、深いコクがあるのに驚くほど淡麗!


スープの煮込み時間は約6時間ほどだが、最初の段階で鶏ガラを漬け汁に浸しては洗い、浸しては洗いという作業を数回繰り返すため、トータルの仕込み時間は15時間以上もかかっているという。
そうした下準備を徹底しているからこそ、淡麗で上品な味わいに仕上がるのだ。
肉だけを味わう、超シンプルながらも奥深い「水炊き」の世界!
同店の水炊きは、鍋料理でありながら野菜や豆腐、葛切りなどは一切入らない。水炊きの元祖といわれる『玄海』もこのスタイルであり、「じつは『玄海』の水炊きにヒントを得て、自分なりに工夫を加えました」と土屋さんは話す。
鶏肉だけをシンプルに味わうことで、一片の肉のなかにもさまざまな味の変化があることに気づく。


ご飯に染みこむことで、さらに鶏のうまみが鮮烈に感じられる。

「おいしい店の情報は、あっという間に広がる」ということを改めて実感できる。

「こじつけですが、『鳥味(とみ)』『鳥実(とみ)』『富』など、おいしい鳥で豊かな実りをもたらしたいという願いもこめて、この名前にしました」(土屋さん)。
今は設備上の理由で焼鳥を焼ける本数が限られているが、追々改修し、焼鳥メニューも増やしていきたいとのこと。そうなればこの店を訪れる楽しみが、さらに増えそうだ。
【メニュー】
鳥とみのコース 6,000円
瓶ビール(中瓶) 650円~
山椒ハイ 700円
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税別です。
鳥とみ
〒154-0001 東京都世田谷区池尻1-11-8 ワコーハイム 10503-6805-5283
18:00~24:00
日曜

この記事の筆者:桑原恵美子(ライター)
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