
創業100年以上。東大の学生に愛されてきた定食店
東京大学駒場キャンパスの最寄り駅・京王井の頭線の駒場東大前駅から徒歩数分。閑静な住宅街にありながら、1日300人が訪れ、行列ができる人気の定食店『菱田屋』。ボリューム満点の定食を、リーズナブルな価格で味わえると評判だ。

東京大学専門の仕出し弁当屋から始まり、地域に愛される街の定食屋へ!
――まずは『菱田屋』の歴史を教えてください。菱田:「明治時代の頃、東京大学の教授たちに向けた仕出し弁当屋として営業していたのがはじまりと言われています。“明治の頃”というだけで詳しい資料は残っていないのですが、現在の場所で100年以上続いていると伝えられています」


1975年生まれ。高校卒業後、寿司職人を志して料理の道へ進み、中国料理へ転向。渋谷の名店『文琳』で5年間経験を積み、『菱田屋』5代目として妻の優子さん、義父で4代目の憲昭さんとともに繁盛店へと成長させている。

菱田:「現役の学生というよりは、大学院生が多いですね。それから仕事帰りの人。最近は、ご近所の年配の方が一人で来たり、週末は家族連れで客席が埋まることもあります。一昨年、出版した本の影響もあってか、最近は遠方からわざわざ食べに来てくれる人もいます。営業時間が長いので、うちはランチよりも平日の夜のお客様が多いんですよ。とはいえ、夜も落ち着いて飲む雰囲気ではないので、定食をメインに召し上がる方がほとんど。お酒を飲む人もビールを1杯程度飲んで、定食を食べて帰る感じです」

中国料理の名店で修業した経験を、町の定食店に生かす
――アキラさんは、もとは中国料理の修業をしていたのですね。菱田:「最初は、寿司職人を目指して寿司店で修業していたのですが、当時はなかなか握らせてもらえなくて。すぐに仕事をさせてくれる中国料理に転向したところ、面白くてのめり込んでしまったんです。渋谷の『文琳』で5年間修業しましたが、その間に妻と出会い、27歳のときに婿養子として『菱田屋』に入りました。当時の『菱田屋』は2つの店に分かれていて、昼は定食、夜は隣でスナックを経営していましたが、2002年に改装して一続きの店にしました。それまでは外から店内が見えなかった店をガラス張りにしたので、最初は常連さんに『落ち着かない』と嫌がられましたね(笑)。最近はみんな慣れてきて、何も言われなくなりました」

菱田:「私が入った頃は、刺身もいまほど種類はなくて、マグロの中落ちとかぶつ切りとか、アジのたたき、イワシのたたきとか、それくらい。あとは煮魚、とんかつ、おでんなどが定番でした」




――たくさんメニューがありますが、なかでもとくに人気のメニューはありますか?
菱田:「メディアでもよく取り上げていただいているのは、『豚肉の生姜焼き定食』ですね。もち豚の肩ロースを250g使用しており、数量も限られているので、早い時間に売り切れてしまうことが多いです。『豚肉味噌漬焼き定食』も、ロングセラーでよく出ているメニューです。最近、よく出るのは、マグロと揚げ物のセット。お刺身と揚げ物の両方を食べられると好評です」

菱田:「ほかに、『特大あなごフライ定食』(写真上)、和牛のモモ肉を使った『牛かつ』、『れんこん肉詰めフライ定食』なども人気です」
値頃感とボリュームを強みとしながら、素材と手づくりの味にもこだわる!
――『菱田屋』の料理は、どれもご飯にあうものばかりですね。菱田:「私が目指しているのは『おふくろの味』。料亭の味とかではなくて、どこか懐かしい、ほっこりする味です。子どもの頃から食べていたような味を、ちょっとプロの仕立てで整えてあげるだけで、難しいことは何もしていません。料理を作るうえで一番大事にしているのは、『作りたてを出す』ということ。デパ地下とかおしゃれな店はいまたくさんありますが、手づくりの味を作りたてで食べられるお店って、あまりないような気がします」


――親しみやすいメニューだからこそ、他との差別化が難しそうです。
菱田:「そうですね。その意味では、寿司店で習った魚の扱い方や、中華の火入れのテクニックなど、今までの経験すべてがいまに生きているように思います。お刺身なんかは、もとの魚が同じなら、味はどこもそこまで大きくは変わらないですよね。だからどこで差をつけるかと考えて、他では味わえないような大きさや厚みにしているんです」



菱田:「せっかくこうした仕事をしているので、もっといろいろな食材を使いたいという気持ちがあります。昨今は市場離れが進んで、八百屋さんなどの専門店もモノが売れない時代になっています。だから、うちがたくさん買うことで、彼らも幸せになれるような流れを作りたい。そしてお客さんには、うちに来てお腹いっぱい食べて、幸せな気分になってもらいたいです」
【メニュー】
▼ランチ
日替り定食 700円
豚肉生姜焼き定食 1,050円
豚肉味噌漬焼き定食 1,050円
特大あなごフライ定食 1,250円
生ラムジンギスカン定食 1,350円
まぐろぶつ切りと海老コロッケ定食 1,050円
▼ディナー
まぐろ中とろ刺身 1,050円
刺身2点盛900円、3点盛1,350円
煮魚(かれい)850円
牛カツ 1,450円
自家製焼餃子 350円
肉野菜炒め 750円
ごはんセット 300円
※内容は日によって変わる
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税別です
菱田屋(ひしだや)
〒153-0041 東京都目黒区駒場1-27-1203-3466-8371
月~金11:30~14:00(L.O.13:50)、18:00~23:00(L.O.22:00)/土18:00~23:00(L.O.22:00)
日・祝

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この記事の筆者:笹木理恵(フードライター)
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