
喉ごしも楽しめる十割そば! 料理人ならではの感性が随所に活きる料理の数々
人気のレストランが軒を連ね、アパレル関連のショップやオフィスも多い渋谷区神宮前エリア。おしゃれで洗練された街でありながら、緑が多く四季を感じられるこの地域に、2018年11月、手打ち十割そばの店『神宮の蕎麦』がオープンした。
店を手掛けるのは、『ミシュランガイド東京』で二つ星を冠する日本料理店の店主。そばを出す割烹料理店で修業し、そば打ちを習得した店主は、自身の店でも“箸休め”としてそばを提供。そのそばがお客に好評で、満を持して専門店を開業することになった。
店主は、食材の生産地に足繁く通い、探求を欠かさない料理人。こちらの店でも素材に妥協せず、料理人ならではの技や発想を活かして「そば店のそば、ではなく、そこに付加価値を持たせた『料理人が作るそば』を提供したい」と言う。

しかし、この店の十割そばは喉ごしの良さにもこだわっている。
つなぎなしでそばを打ち、さらに喉ごしの良さを実現している要素のひとつは、そば粉の粒子の細かさだ。現在使っているそば粉は、北海道石狩沼田(雨竜郡沼田町)産のキタワセ種。大型の石うすで超微細に挽いた粉を仕入れる。




魚臭さやえぐみがなく、すっきりしたうまみのあるクリアなだしが理想だという店主。鰹節のうまみを100%引き出そうとすると余計な部分まで出てきてしまうため、90%を目指し、濁らずアクも出ないように、煮出す時間を短くとどめる。返しに使う醤油は、自然なコクがあり、大豆の味がしっかりと活きたものを選ぶ。

店主のこだわりは、料理だけではなく器にも反映されている。そばを盛る籠は、竹編みの職人が一つひとつ手作りした作品。食器も、店主の好きな陶芸家・川瀬竹春(ちくしゅん)の陶磁器、永楽保全の骨董など、貴重な器を使っている。
ビュルゴー家のシャラン鴨のおいしさを堪能できる、唯一無二の「鴨せいろ」
そばのメニューの中でまずおすすめしたいのは、「鴨せいろ」(写真下)。
「国産の鴨も含めていろいろ試しました。その中で、つゆにうまみがしっかり出ながら、肉そのものがジューシーさを保って味が残ったのがこの鴨だったんです。だしもおいしく、肉もおいしい。しかも、つゆはクリアで臭みがない」と店主。
鴨の強い香りで、つゆが鴨の風味に圧倒されるような味わいではなく、鴨のうまみと鰹だしのうまみが調和した繊細なひと品。写真に写っている鴨の身は一部で、椀の中にはしっかりしたボリュームの鴨肉が隠れている。焼きネギは、鴨の脂身部分を軽く炙った時に出た鴨脂で焼いてあり、ネギの甘みとトロッとした食感が楽しめる。「鴨せいろ」は、高級食材の潜在能力を余すところなく堪能できる、こちらの店の看板料理だ。
活け車海老の天ぷらが楽しめる「天ぷらそば」、クリーミーな豆乳坦々も味わいたい!

こだわりの素材の筆頭は国産の活け車海老。入手しやすい種類の海老で代用することなく「本物の車海老を出したい」という店主の強い気持ちは、口に入れた時の海老のたまらない甘さ、しっとり・ねっとりとした食感を体験すれば納得できるだろう。

天ぷらに添えられた塩にも工夫が。パウダーのようなテクスチャーで、塩味がまろやか。天ぷらにしっかりまとわせても塩辛くなることがなく、素材を引き立てる。これは、沖縄県産の天然塩に乳糖をわずかに加えてミキサーで攪拌したものだ。

こちらは、店主の友人である中国料理のシェフに頼んで作ってもらったという自家製芝麻醤(チーマージャン)と香辣醤(シャンラージャン)に、濃厚な豆乳を合わせたもの。和のだしのうまみも加わり、ほんのりピリ辛でクリーミーなつけ汁だ。
ほっくりやわらかい「にしん炊いたん」、 極上の食材と技が活きる一品料理
名料理人が手掛けるそば店だけあって、一品料理にも厳選した食材を使い、繊細に調理されている。
身欠きにしんをぬるま湯につけてから、うろこ、小骨、血合いなどを丁寧に取り除き、にしんそのものの味を損なわないようにさっと炊く。メニューには「にしんそば」もラインナップされているが、にしんは別盛りで供され、そばにのせて食べるかどうかはお客の好みに任せている。

隠し包丁の入った一切れは、鰹のお腹の部分。しっかりと脂ののった部位で、そのままでは醤油をはじいてしまう。身と醤油がしっかりと絡むようにと、店主の丁寧な仕事が施されている。

シャラン鴨は一羽まるごと仕入れて店でさばいているため、「鴨せいろ」で使うムネ肉以外の部位を、別のひと皿として供しているのだ。シャキシャキの水菜の食感と、香り高い椎茸が、シャラン鴨独特のうまみを持つささ身の味わいとマッチングする。
まるで“そばのポタージュ”! そばの風味がギュッと凝縮された濃厚トロトロなそば湯
そば湯は苦手、そば湯をおいしいと思ったことはない、という方も、こちらの店のそば湯はスルーせずぜひトライしてほしい。
それもそのはず。そばの茹で汁に、打ったそばの切れ端を入れてしっかりと煮詰めてから供しているのだ。もちろん、選び抜いたそばを使っていることもそば湯のおいしさにつながっているだろう。茹で汁をそのまま供するのがそば湯だ、とそば湯に一家言ある方もぜひ一度味わってみてほしい。料理人の創意は、食事の最後の最後まで行き届いている。
2020年の賑わいを予感できる注目エリアで、特別なそばを味わう!
『神宮の蕎麦』の店名は、明治神宮の「傍(そば)」であることにもかけたネーミングだ。

【メニュー】
▼そば
せいろそば 1,000円
粗挽きせいろ 1,200円
おかわりせいろ(薬味・そばつゆなし) 800円
豆乳坦々せいろ 1,500円
鴨せいろ 2,800円
天ぷらせいろ 2,800円
かけそば 1,000円
にしんそば 2,000円
天ぷらそば 2,800円
▼一品料理
にしん炊いたん 1,000円
水菜とシャラン鴨と椎茸の煮浸し 1,000円
お造り 時価
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税込です
神宮の蕎麦
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前2-3-30 神宮前ベーシックビル1F03-6434-7234
11:00~16:00(L.O.15:30)、17:00~21:00(L.O.20:00)
月曜 ※不定休あり

この記事の筆者:nobiko(ライター)
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