
西麻布のモダンなビルに潜む、看板も暖簾もない肉の楽園
衰えを知らない肉ブームだが、「霜降り和牛」は少し脂がくどい…と、罪悪感なくヘルシーに食せる「赤身肉」や、熟成させることで柔らかい食感を手に入れた「輸入牛」へと嗜好が変わりつつある。ここに、増殖する赤身ラバーをたった一切れで虜にしてしまう「極上の和牛」が味わえると、オープン当初から話題の絶えない隠れ家がある。




目の前で焼かれる圧巻の肉劇場と、巨匠のDNAを受け継いだ日本料理の掛け合い
お客の予算に合わせてオーダーメイドで構成される「お任せコース」は、全12品。うち3~4品は、和牛が部位や調理法を変えて登場する。
こだわりの無添加ウニは、青森県大畑産。その身の厚さに、言葉もでない。甘くなめらかな口どけの奥から、寒天によせられた長芋がシャリシャリと涼やかな音を立てる。そこにオクラのとろみ、マイクロトマトのフレッシュさが加わって、柔らかくもハッキリとした食感の妙が完成する。

透き通った赤紫色の正体は、金時草を煮出しただしをゼリーで固めたもの。みずみずしい食感のおひたしは、噛むほどにぬめり気が口内をコーティングする。
「あぁ、食べ終わってしまいたくない」と、心の中で呟きながらひと口。酒と昆布で6時間煮込んだアワビの柔らかさたるや!

長野県・天竜川の上流を泳ぐ鮎は、肝に全く雑味がない。理由は意外にもそのルックスからうかがえた。「小顔だけど、身はふっくらとしているでしょう。これは、栄養価が高くて新鮮なコケをたべて育った証拠なんです」と常安さん。良質なコケを貪欲に求め泳いだグルメな鮎は、脂ののりが良く、ほどけるほどに口当たりが軽い。

七輪の上を可憐に踊る、極上の黒毛和牛タン

ヒレやイチボ、ザブトンといった希少部位からテールまで、あらゆる部位を使いこなす常安さんがこの日用意してくれたのは、焼き物のなかでも人気高い部位の一つ「黒毛和牛タン」である。


「ここまで厚みのあるタンは、硬いのでは」と、恐る恐る口へと運ぶ。サクッと繊維がほどけて驚くのも束の間、さらりと甘い脂のジュースが溢れだす。

「実は、同店の開業前に『焼肉しみず』へ研修に行っていたんです。肉と魚では包丁の使い方から、筋肉の強さ、脂の質、保管方法までまるで違う。火の入れ方ひとつですごく柔らかくなるんです。あと、肉は冷凍のものではなく、必ずフレッシュなものを取り扱っています」。
鮮度に温度、焼き方。すべての条件が揃えば、分厚いタンもほどけるように柔らかく仕上がるのだ。
ハラミやシャトーブリアンだったら一体……。概念を覆す食感の体験に、異なる部位への期待が膨らむ。
おいしさを突き詰めた先に見えたもの

撮影:平瀬夏彦
【メニュー】
お任せコース 20,000円~
日本酒 グラス600円~
ワイン グラス1,200円~
※価格はすべて税別
常(とわ)
〒106-0031 東京都港区西麻布4-11-25 モダンフォルム西麻布ビル2階03-6433-5680
18:00~(最終入店時間目安22:00)
日曜

https://r.gnavi.co.jp/14rs4get0000/
この記事の筆者:植木祐梨子(ライター)
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