
ワールドカップはワインと共に! 【ワインナビゲーター・岩瀬大二】
4年に1度のサッカーの祭典……などと前置きの説明を書く必要もないだろう。いよいよ6月14日(現地時間。日本では15日(金)深夜0:00)、「2018 FIFA ワールドカップ ロシア」が開催される。さまざまなワインと“なにか”のペアリングを提案してきた当コラム。今回はワインナビゲーターの岩瀬大二さんにサッカーとのペアリングを紹介していただこう。

ハラルト・シューマッハー(当時西ドイツ)、レイ・クレメンス(イングランド)がファーストアイドルで、その後も、ダサエフ(ロシア)、シュマイケル(デンマーク)、チェフ(チェコ)、ヒルデブランド、ノイアー(ともにドイツ)とGKを追いかけ続けてきた。
縁あってJリーグの取材をする機会もあって、各チームの練習でもGKを中心に試合を追いかけ、GKコーチとディスカッションという……全然、簡単な紹介ではなくなった、どころかどんどん脱線している(苦笑)

開幕は公式シャンパーニュで乾杯!


ちなみにナポレオンの名言。「勝ったときには祝福のためのシャンパーニュが必要だ。負けたときには癒すためのシャンパーニュが必要だ」。
サウジが波乱を呼ぶか、ロシアが好調な滑り出しとなるかという結果はともかく、どちらのチームにとってもシャンパーニュは必要かもしれない。そして決勝の舞台もシャンパーニュにふさわしいだろう。すべての試合で勝者と敗者のドラマが交錯するが、そのどちらへのリスペクトもこめて、シャンパーニュと共に迎えたい。
サッカーの注目カードはワインも注目の対戦
開幕戦の翌日には早くもサッカーファン注目のカードが控える。ポルトガル対スペインのライバル対決という大一番だ。華やかなスペインサッカーと色気を発散するポルトガルサッカー。ワインも同様に両国とも素晴らしい。いろいろワインはセレクトできるが、より近いもので選ぶと個性がわかりやすい。

日本ワインはもちろん選手が活躍する国も揃えて
そして日本時間19日(火)21時にはいよいよ日本代表の登場。強豪コロンビア相手だが、ここは勝利を祈ろう。さて、今回日本が入るグループHはポーランド、コロンビア、セネガルとワイン生産とは縁遠く、それぞれの国のお酒も日本ではなかなか入手しづらい。となればもちろん日本ワインと行きたいところだが、せっかくの日本代表、もっとやらかしてしまおう! ということで選手の出身地、そして現在活躍するリーグのワインでひいきの選手を応援するなんていかがだろう。GKの東口は大阪出身。ここはユニークな都市型ワイナリーが多い。槙野は広島出身。こちらも『三次(みよし)ワイナリー』といういい造り手がいる。

鹿島から選出の植田は熊本出身。ここは美しく親しみやすい「デラウェア」をはじめとする『熊本ワイン』がいい。
そして海外。長友はトルコ。こちらも日本ではまだ輸入量は少ないがワイン大国の一つ。プチ自慢として筆者はイスタンブールで、ガラタサライ対ベシクタシュという熱狂のダービーマッチを観戦したことがあるが、その時の主目的はワインの取材だった。この機会にぜひトルコワインを味わっていただきたい。

ドイツ、スペインとこれもワイン大国のリーグに所属する選手が多い中、本田のメキシコ、吉田麻也のイングランドもワインはうまい。こうしてみると日本代表の多国籍化はワイン好きとしても楽しいものだ。
あの英雄の最後とこれからを焼き付けろ!
サッカースペイン代表であり世界的スタープレイヤーのイニエスタ。今回が最後のワールドカップの舞台だが、衝撃的なニュースがその前に入ってきた。なんとスペイン一筋の彼が日本を次の人生の舞台にするというのだ。そしてこれはワイン好きにもインパクトがあった。というのもイニエスタは『ボデガ・イニエスタ』というワイナリーを生まれ育った地元で設立し、このワインの評判がいいのだ。決して高級な芸術品ではなく、彼の人柄のようにどこか優しく気さくで、でも、彼のピッチ上のプレイのような喜びもある。
以前から日本でも販売されていて注目をしていたが今年3月、輸出部長のホセ・ラモンさんが来日され、じっくり飲みながらお話しできる機会を得た。ワインそのものはもちろん、ボデガの背景、イニエスタがこのワイン、ワイナリーにかける想いなどを軸に、今まで知っていた情報をアップデートできたが、何よりもワインを通してまたイニエスタの優しさなど、故郷への想いを強く感じた。ホセ・ラモンさん自身もこの故郷出身。ドイツの大学で学び、世界を旅して、ドイツ語、英語などの語学、世界での体験をお土産に故郷に戻り、イニエスタにジョインした。
「ドイツは学ぶ環境としては素晴らしかったけど、なにもなくても僕はやっぱりこの村が好き。イニエスタは素晴らしいチームで素晴らしい仕事をしています。この村には英語を話せる人はいないんですよ。僕の経験とスキルがここで役に立てること。これもイニエスタが地元でこうしたワイナリーを設立したからできること」

最後の大会を見ながらのテーブルに用意したいアイテムは?
それは、イニエスタ自身が忘れられないゴールの場面を名前にした「ミヌートス116」だろう。ブランコ(白)とティント(赤)の2種。この「ミヌートス116」は、直訳すると「116分」。サッカーファンなら歓喜の声をあげるかもしれない。2010年南アフリカ大会、ヨハネスブルグ、スペイン対オランダによる決勝戦。激戦というよりもイエローカードが続出する削りあいの死闘はPK戦までもつれこむかという延長後半11分。つまり通算116分目。センターライン付近で自らの華麗なパスで起点となり、最後は右45℃、静かに弧を描くトラップから見事なゴール! これが決勝点となりスペインに栄冠。この彼の中でも最高のシーンを名前にしたワイン。それだけでなにか、飲んだだけでも気持ちが揺れ動く気がする。
写真提供(一部):PIXTA
この記事の筆者:岩瀬大二(ワインナビゲーター/酒旅ライター/MC)
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