
外苑前は自分の学び舎(まなびや)。だから離れがたい場所
『ミシュランガイド東京 2010』から7年連続で三つ星に輝いた日本料理の『青山えさき』が、山梨県の八ヶ岳山麓への移転のため、惜しまれつつ閉店したのが2016年12月。その『青山えさき』で10年間研鑽を積み、うち7年間は副料理長を務めてきた若林浩次さんが2017年11月、『日本料理若林』をオープンさせた。場所は同じ外苑前エリア。

フロアは2名掛けのテーブル席が6卓。奥には4名まで入れる個室が1室ある。厨房が見える窓を設けたスタイルに、『青山えさき』をなつかしく思い出す人も多いだろう。厨房の明るめの照明や壁面の間接照明、廊下側の自然光とのカクテル光線が、フロアに繊細な陰影と落ち着き、心地よさをもたらしている。
多彩な調理法を組み合わせた、“ワインにも合う和食”


ドレッシングには、酢の代わりに温州みかん果汁を使用。無農薬の果実を皮ごと搾っているので甘みとともに爽やかな苦みもあり、鮮烈な味わい。「さまざまな調理法を組み合わせるのが好き」という若林さんのチャレンジングな姿勢がよくわかる一皿だ。
皿の向こうに、北国の早春の景色が見える

桜の花色に蒸しあげられた桜マスの手前には、雪溶けをイメージしたなめらかな蕪のソース。その後ろには、芽吹きをイメージさせるチーマ・ディ・ラーパ(イタリア菜の花)とインゲン。食用花の花びらが風に舞ったように散らされ、皿全体から春風が吹いてくるようだ。
蕗の薹ソースは香りを最大に引き出すため、味噌を練り上げた最後の最後に蕗の薹を入れているという。口中で広がる香りとほろ苦さが、桜マスの繊細でやわらかな身質を引き立てている。

『青山えさき』伝説の、「北海道きんきの煮付け」が復活!





炊き込みご飯に添える味噌汁に使用しているのは、若林さんの故郷の秋田・湯沢市で作られている「吟醸孫左エ門味噌」。温度変化で発酵が進む天然醸造の味噌なので、ごく少量ずつ取り寄せて最適な熟成度のものを使う。味わったお客さんから「この味噌を分けて欲しい」といわれることも多いという。
「料理には人柄が出る」ことを、師匠から学んだ
神奈川県内の料理店で修業を積んでいた若林さんが、憧れていた『青山えさき』の門を叩いた時、驚いたのは江﨑新太郎さんの対応だった。応募すると「ほかにどの店を受けているのか」を気にする料理店が多いなか、江﨑さんは全く違っていた。「できるだけ多くの店を受けてみるといい。そこから得られるものがきっとあるし、その結果、ここがよければまた来なさい。そしてほかの店で感じたことを教えてほしい」。その探求心に驚き、さらに深く心酔するようになった。
本格和食に対して「堅苦しそうで敷居が高い」というイメージを抱いている若い年代の人は、この店を訪れると、そのイメージとのギャップに驚くだろう。と同時に本格和食の奥深さ、新たな魅力にも開眼するに違いない。
撮影:平瀬夏彦
【メニュー】
おまかせlunch 3,500円、5,000円
※サービス料込、税別
おまかせdinner 5,500円(ショートコース)、7,000円、9,800円
※サービス料別、税別
日本料理若林
〒107-0062 東京都港区南青山4-9-3 VIVRE AOYAMA2F050-3312-8779
ランチ(木金土のみ)12:00~15:00 (L.O.13:30) 、ディナー 18:00~23:00 (L.O.21:00)
日曜、祝日

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この記事の筆者:桑原恵美子(ライター)
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