女子SPA!で大きな反響を呼んだ記事を、ジャンルごとに紹介します。こちらは、「義実家・家族」ジャンルの人気記事です。(初公開日は2019年12月31日 記事は取材時の状況)
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毎年、年末年始には実家へ帰省する人も多いのではないでしょうか。遠くに暮らす家族に会うのが楽しみな一方で、帰ることが苦痛になっている場合もなかにはあります。
今回は、できることなら年末年始に帰省をしたくない、という美織さん(仮名・33歳)にその理由を聞いてきました。

写真はイメージです(以下同じ)
義理の実家にどうしても帰りたくない理由とは
美織さん一家は東京都在住、夫と5歳と4歳の息子さんと暮らしています。毎年、正月には岡山県にある夫の実家に帰省をするそうで、それが美織さんにとっては苦痛とのことです。
「義母からは、季節ごとに帰ってくるように言われているのですが、子供も小さいし、遠いからという理由をつけてあまり帰っていません。義母からは、しょっちゅう電話がかかってきて『いつ帰ってくるの?』とうるさく言われていますね」
岡山で暮らす義母は美織さんの夫の兄夫婦と同居しているそうです。美織さんが帰省を拒む理由はどこにあるのでしょうか。
「義理の兄夫婦がともに35歳なのですが、子供がいません。このことに義母は最近やきもきしているようで、私に『兄夫婦に子供を作るように説得してほしい』と言ってくるんです」
それは、なんとも厄介な話です。
帰省のたびに義母の要求にイラつく
聞けば、義母はかなりムチャな要求を美織さんにしているようです。
「どうしても孫が欲しい義母は、兄夫婦に『子供はまだなの?』と言っているのですが、『まぁ、そのうち』とかわされているそうです。それで、子供がいる私を巻き込んで、説得をさせようとしているんです。
本人たちの意思もそうですけど、体質のことだってあるかもしれないし、そんな領域に私が簡単に口出しできるはずもありません」
美織さんが言うように、かなりセンシティブな問題です。義理のお母さんは美織さんに具体的に何をしてほしいのでしょうか。
「私の息子達の世話を兄夫婦にさせて、子供のかわいさを教えてあげてほしいと言われました。そのうえで、『子供を作るなら早いほうがいい』『子供がいる生活は素晴らしい』と説得してほしいと」
実際に、美織さんはどのように対応したのでしょうか。
「説得なんかするわけないですよ。結婚して数年たって、子供がいないということは何かしら理由があると思うんです。無責任な発言はできません。義母は兄夫婦の気持ちや事情をわかろうとしてないんですよね」

暴れまくる息子たちで実家は地獄絵図
とはいえ、帰るたびにしつこい義母をなんとかしないといけないのが実情です。
「うるさい義母を納得させるために、『かわいいですよ~』と一言だけ言っておしまいです。義母ははりきって、息子たちを『かわいいわね~』とほめちぎったり、『抱っこしてもらったら』と、息子たちを兄夫婦に押し付けるのですが、やんちゃ盛りの男子2人なので地獄絵図ですね。
そもそも年に数回しか帰省しないので、息子達も義母や兄夫婦になついていません。物を投げつけたり、暴言を吐いたりとひどいものです。障子は破れ家はちらかり、祖母も兄夫婦もぐったりしています」
過剰に孫を愛でる義母に対し、なつかずに暴れる孫たち。美織さんはこの光景をみて、義理の兄夫婦が子供嫌いになるんじゃないかと逆にヒヤヒヤするそうです。状況を想像するだけでも辛い気持ちになりますね。
誰も幸せにならない茶番にぐったり
美織さんの夫はこの状況を見てどう思っているのでしょうか。
「何度も夫にはこの話をしているのですが、『まあ、おかあさんも寂しいんだよ。孫と一緒に暮らしたいだろうし。悪気はないから許してやってよ』と言うだけで間に入ってはくれません。悪気がないのが一番タチが悪いですよ」
怒りはとまりません。
「兄夫婦がもしも不妊で悩んでいたらと思うと、義母の機嫌をとるために『子供はかわいいですよ』と言う自分が嫌だし、何より兄夫婦に申し訳ない気持ちでいっぱいです。誰も幸せにならないこの茶番をいつまで続けるのか、考えるとぐったりします」
美織さんは今度の帰省で、きっぱりと義母のお願いを断ろうと考えているそうです。
「どうせ義母とはそんなに会わないし、東京と岡山は遠いから、まぁ嫌われてもいいかなと思うようになりました」
帰省ひとつとっても、いろんな気苦労があるものですね。
―シリーズ「帰省の悲喜こもごも」―
<文/瀧戸詠未 イラスト/ただりえこ>
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瀧戸詠未
大手教育系会社、出版社勤務を経てフリーライターに。教育系・エンタメ系の記事を中心に取材記事を執筆。Twitter:@YlujuzJvzsLUwkB
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