焼き菓子、大進化。
こんにちは、食文化研究家のスギアカツキです。クリスマスケーキを選ぶ時季になりましたが、ますます絶好調な菓子専門店と言えば、「シャトレーゼ」。
今では国内800店舗、海外9カ国170店舗を展開する大チェーンに成長し、今年のクリスマスケーキは用途や人数に合わせた48種類ものアイテムが登場しています。
先日私は一足先にシャトレーゼのクリスマスケーキの試食会に参加してきたのですが、そこでケーキ以上に感動したのが、“焼き菓子のリニューアル”でした。
そこで今回は、その中でもズバ抜けておいしかったレーズンサンド「シャトー・レザン」に注目して、その進化ぶりや魅力についてご紹介したいと思います。
※「シャトー・レザン」は洋酒が入っているためお子さんやアルコールに弱い方はご遠慮下さい
シャトレーゼにとっては、記念すべきお菓子
まずはレーズンサンドの基本情報から。商品名は、「シャトー・レザン」。価格は1個140円(税込)です。
はじめて登場したのは2019年10月で、シャトレーゼ創立65周年を記念して発売されました。
実はこのネーミング、シャトレーゼの社名の語源(フランス語でシャトー=城と、レザン=ぶどうを合わせ、「ぶどうの城」という意味で付けられた)を起用していて、創業者の思い入れがひと際大きいお菓子なのです。
そんな特別な存在であるシャトー・レザン。2023年11月17日のリニューアルで磨きをかけたポイントを2つご紹介していきましょう。
改良点①レーズンの漬け込み方
シャトー・レザンには、2種類のレーズン(ゴールデンレーズン種、フレームシードレス種)が使われています。
従来品からのこだわりは、それぞれの食感や風味を生かすために、レーズンの特製に合った洋酒をブレンドして漬け込んでいるという点。
小粒のゴールデンレーズンには、ブランデー、ホワイトラム、葡萄の蒸留酒を、大粒のフレームシードレスには自社関連ワイナリー直送樽出し白ワイン、果実感あふれる青りんご酒が使われています。
そして今回の強化ポイントは、「漬け込み方」にあり。レーズン自体を柔らかくせずにお酒などを入れ漬け込んで数日置いたものを使用する旧製法を改良して、お酒などが中に浸透しやすいように、レーズンをお湯でじっくり戻すひと手間増やしたのです。
その結果、お酒やレーズンの香りがより立つ味わいに進化。以前から同商品を食べていた私にとっては、一口食べて違いに気がつくほどでした。
改良点②クッキー、クリーム、レーズンのバランス
そしてもう一つの強化点は、サブレ、クリーム、レーズンの調和です。
パワーアップしたレーズンに合うよう、クリーム部分にはベルギー産クーベルチュールホワイトチョコレートと北海道産バターがふんだんに使用されています。
そしてクッキーは、クリームとの相性を考慮して、通常より少し粗目の小麦粉の風味も生かすように、じっくり焼成されています。
楽しいのは、食べる日によって味が変わっていくこと
オススメの楽しみ方は、購入直後と数週間置いてからの食べ分けです。日が経つにつれて熟成感が増していく食べ心地の変化を、ゆっくり味わうことができます。
同商品の弱点をあえて探すとすれば、他店の同類商品でおなじみのスライスアーモンドが使われていないことくらいでしょうか。これについては好みの問題もありますから、評価は人それぞれでいいと思います。
高品質で1個140円は、シャトレーゼ方式だから
シャトーレザンでもっとも感動したのが、他店では到底真似できないようなコスパ力。契約農家から仕入れる新鮮な素材を使い、自社工場でお菓子を製造し、全国のチェーン店でダイレクトに販売する「シャトレーゼ方式」だからこそ実現できることなんだとか。
この強みは近年の海外進出拡大によって、優れた原材料の調達力にもますます磨きがかかっています。シャトーレザンは、シャトレーゼの強みを実感しやすい超名品であると言ってもいいでしょう。
最後にシャトー・レザンのトリビアを一つ。シャトレーゼは同商品を山梨を代表するお菓子にしたいという願いを込めて、談合坂のサービスエリアではあえて「ぶどうの城」という名前で販売しているそうです。
<文・撮影/食文化研究家 スギアカツキ>
スギアカツキ
食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。ビューティーガール連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)好評発売中。著書『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)が発売中。Instagram:@sugiakatsuki/Twitter:@sugiakatsuki12
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