場所が変われば食べるものも変わるもの。今回は「ギリシャの朝ごはん事情」について現地在住の筆者が紹介します。
手早く食べられるパンやスナック感覚のパイが充実

ギリシャ人は朝ごはんをちゃんと食べるという人は少数です。夕食がとても遅い時間なので、胃もたれして食欲がわかないのか、朝は何もとらない、もしくはコーヒーだけで家を出る人が多いです。
ただ、筆者が以前に働いていたオフィスでは、出社途中に「クルーリ」というリング形のゴマをまぶしたパンを買い、歩きながら食べたり、オフィスのデスクで仕事をしながらさっと食べる人が多かったです。
クルーリは軽めのサクッとしたパンで、栄養価の高いゴマがたっぷりついているので、時間がない朝に、手早く食べるものとしては適しているのでしょう。軽い食感であっさりしているので、日本人の口にも合うと思います。

他にも、11時頃にやっとお腹が空き、ランチを兼ねたブランチ感覚でよく食される軽食の「ティロピタ」(チーズパイ)や「スパナコピタ」(ほうれん草のパイ)を食べる人も多かったです。


観光客にも人気があるティロピタとスパナコピタですが、アテネ都心部の有名店では昼過ぎには売り切れてしまうことも。チーズパイやほうれん草のパイが一番有名ですが、惣菜系のパイはズッキーニやさまざまな野菜が入ったものなどバラエティー豊かです。
どれも具だくさん、滋味に溢れていて、ひと切れ食べるだけでかなりお腹いっぱいになります。宿泊施設に朝ごはんがついていなければ、これらを買って食べてみるのもおすすめです。
朝ごはんにぴったりなヨーグルトやフルーツもおいしい

なお、少数派ですが、シリアルやナッツ、ハチミツをかけたヨーグルトとフルーツなど、ヘルシーな朝食をとっている人もいました。これらの食材にはギリシャの名産品が多く、朝食をとらない人が多いのは、本当にもったいないことだと思います。
欧米では、かなり前から人気の高い「グリーク(ギリシャ)ヨーグルト」と呼ばれるものは、水切り製法でヨーグルトの乳清を取り除いたもの。できるだけ水気を切ることで濃厚でクリーミーな味わいとなり、くせになるおいしさです。日本でも十数年前から、複数のメーカーが売り出し始め、人気が定着してきています。
アテネの街中にはヨーグルトバーも多くあります。伝統的なギリシャヨーグルト(牛乳、山羊乳、羊乳)から、夏場に人気のフローズンヨーグルトなどいろいろな種類があり、クルミなどのナッツ類、ハチミツやフルーツのシロップ煮、フレッシュフルーツなど多種多様なトッピングを選べます。
ちなみに、ギリシャは果物がおいしく安い国です。四季を通して国産の甘くてみずみずしいフルーツが市場や青果店に並びます。観光のオンシーズンの夏季ならば、チェリー、メロン、スイカ、モモ、イチジク、ブドウなどがおすすめ。旬に応じて豊富な種類のものが次々と出回ります。
日本のギフトショップなどにある高品質のマスクメロンと同じようなメロンや、10kgほどの大きなスイカがたいてい1玉5ユーロ前後で買えます(※約816円/1kg 約0.5ユーロ。オーガニックのものは少し高め)。
ギリシャを何度も訪れている日本の友人は、日本ではとんでもなく高価なメロンとほぼ同様のメロンが安価で味わえると、半玉を街中で買ってホテルなどで食しています。
ギリシャを訪れたら、ぜひ朝ごはんにギリシャ名物のクルーリやパイ類、そしてヨーグルト、フルーツを食べてみてください。
※レートは2023年11月17日時点のもの
日本の出版社で記者職を経験後、2000年よりフリーランス。2005年、国際会議コーディネートの仕事でギリシャに長期滞在、2007年よりアテネ在住。観光情報や食文化、動物保護、政治経済情勢などを日本の雑誌、ウェブサイトに執筆。テレビ、ラジオ番組への電話出演も多数。All About ギリシャガイド。
執筆者:有馬 めぐむ(フリージャーナリスト)