2019年10月31日の火災で、正殿を含む9つの施設が焼失してしまった首里城。今年の10月31日で4年がたちますが、現在はどうなっているのか。観光で訪れる人も、少なからず気になるところではないでしょうか。今回は、沖縄在住の筆者が実際に訪れて目にした、「首里城の今の姿」をお伝えしたいと思います。
首里城正殿の現在の姿に思わず拍手!
首里城を愛してやまない筆者、実はあの火災以来、変わり果てているであろうその姿を見る勇気がなく、正殿エリア内に入れずにいました。しかしながら今回、一歩足を踏み入れその目の前にある光景に、思わず拍手を送りたくなるほど感激しました。

あの頃の正殿と御庭(うなー)はもちろんありませんが、そこにはスタイリッシュなイラストが! なるほど、この手があるのか。このすてきな仕掛けの中に、再建中の首里城が眠っているかと思うと、一人の沖縄県民としても、とても楽しみな気持ちが湧いてきました。首里城正殿は、2026年までの復興を目指しているそうです。
今しか見られない、再建工事と絶景

「見せる復興」を銘打っている首里城では、正殿再建の工事を実際に見学することができます。ガラス張りの見学エリアが設けられているので、ぜひ訪れてみてください。

見学エリアへ行くには、北殿の建設予定場所の外側に設けられた見学デッキ通路を利用しますが、そこからの眺めが最高なので、ぜひ見てみてください。那覇市内から慶良間諸島までを一望できる絶景は、今しか見られません。
正殿在りし日の姿を思わせる展示物

見学エリアの入り口付近では、首里城正殿の屋根の上にあった龍の飾り、「龍頭棟飾(りゅうとうむなかざり)」が展示されています。その破壊具合に、火災のすさまじさを想像してしまいますが、これも再建途中の今だからこそ見られる貴重な展示。

その他の展示品は、首里城復興展示室で見学することができます。また、同エリア内にある「世誇殿(よほこりでん)」では、首里城ムービーを上映中。琉球王国の歴史と首里城正殿跡の魅力を紹介しています。
復元工事から生まれた記念グッズ

首里城の復元工事から生まれた新たな首里城土産が、2023年9月から発売されています。これは、復元工事で使用される木材の加工過程で発生した「国産ヒノキの端材」を活用したもの。ヒノキ独特のさわやかで温かな香りにいやされます。ぜひ、“今の首里城”を見学した記念に。
首里城復興モデルコースもオススメ

復興が進む首里城をしっかり巡りたい人は、「首里城60分 ぐるっとガイドツアー」に参加するのもおすすめ。解説員に案内してもらえますので、復興の様子に加えて、琉球王国の歴史や文化などについても詳しく知ることができます(毎日開催、1人1000円)。
また、効率よく首里城を見学したいという人は、「首里城復興モデルコース」を利用して、巡ってみるのもオススメです。今回ご紹介した首里城の復興の様子が見学できるエリアを含めたコースは、D「見せる復興」見学コース(有料区域含む)となります。
2026年の正殿復元を目指し、首里城の再建工事は着々と進んでいます。工事だけでなく、復興へ向けた取り組みもさまざまな形で行われています。ぜひ、今だからこそ見られる首里城の姿を見学しに来てみてくださいね。
大手出版社で情報誌編集に携わり、退社後シンガポールへ。現地日本人向け情報誌編集部を経て、帰国後は沖縄へ移住。シンガポール、沖縄での経験を生かして、2007年よりフリーランスの編集&ライターとして、主にアジアと沖縄をテーマとしたガイドブック・雑誌・書籍・ウエブ媒体などで活躍中。All About シンガポール・沖縄ガイド。
執筆者:稲嶺 恭子(ライター/エディター)