糖質を制限したら痩せた、でも老けた。健康になるためのダイエットが、不健康を招いてしまう。こんな失敗にはもうサヨナラ。『“血糖値”を制して脂肪を落とす!』(Gakken)で医学的に正しく体を整えましょう。
著者は糖尿病専門医の薗田憲司先生。Instagramでも大注目の“血糖おじさん”です。
糖質は制限せずに、コントロールする
「厳しい糖質制限よりも、食を楽しみながら続けられる糖質コントロールを!」。これぞ本書が掲げるダイエット。「糖質コントロール=血糖コントロール」でもあります。
具体的には「1日の血糖値の変動がゆるやかになって安定すると、減量中の筋肉の減少が抑えられ、食欲もコントロールできて太りにくくなる」という仕組み。糖質制限もカロリー制限もなし、おやつもOKなのに確実に痩せる。1日の食事モデルをさっそく紹介しますね。

意外にゆるい「血糖コントロールダイエット」
1日3食しっかり食べて、脂肪もストレスもたまらない。上がるのは自己肯定感だけ、という最高の食事方法がこちらです。
8時
①朝たんぱく質
12時
②食前コーヒー
③昼食は半分カーボラスト
15時
④ちょい糖質おやつ
19時
⑤夕食はダラダラ食い
⑥夕食後にお皿洗い
⑦12時間のおやすみ断食
最高にゆるくて効果絶大な理由を、本書から抜粋して解説します。
ゆるい「血糖コントロールダイエット」まとめ
・早朝は血糖値が下がり、血糖を補う糖新生で筋肉が分解されやすい状態。朝食のたんぱく質が昼食、夕食での血糖値スパイクを予防。
・コーヒーに含まれるクロロゲン酸が食後の血糖値の上昇をゆるやかにし、カフェインが交感神経を活性化。脂肪を燃やしやすくする。
・たんぱく質のおかずを先に食べると血糖値の上昇がゆるやかになる。ごはんとおかずを交互に食べたい人は、糖質の半分をラストに回す。
・おやつに糖質を10gほどとることで、夜の爆食いを防ぐ。
・食事に時間をかけて、血糖値の急上昇を抑える。よく咀嚼すればDIT(食事誘発性熱生産)のエネルギー消費量がアップ。
・食事でとった糖質を脂肪に変えないために、家事や軽い散歩をする。血糖は体を軽く動かすだけで筋肉に送られ、エネルギーとして消費される。
・12時間のおやすみ断食で脂肪燃焼のエンジンを起動させる。ただし長時間断食は血糖値が下がりすぎるので注意。
いかがですか。理由を解明してみると、なるほどと納得するのではないでしょうか。食べる順番さえ気をつければ、かなりバラエティ豊かに食べられますよね。
血糖コントロールと空腹の秘密

お腹がすくとまっさきに食べたくなるのが、ごはんやパン、お菓子などの甘いもの。これらは糖質メインの食材です。
糖質は瞬時にエネルギーとして使われますから、当然といえば当然。本書でも「低血糖になると体は『エネルギー不足だ!』と感じ、空腹感に襲われて食欲が駆り立てられる」と解説。そこで一気に糖質を補給すると血糖値が急上昇し、また急降下する、という「血糖値スパイク」に陥るのです。
だからこそ「血糖値をゆっくり上げてゆっくり下げる」「胃を長くふくらませておく(腹持ちをよく)」が必要となるのですね。
さらに「何をどんな順番で食べるかによって、胃腸での消化の速度や血糖値の上がり方が変わってくる」といいます。難しいことはさておき、「たんぱく質と食物繊維ファースト」という食べ順を心得てほしいところ。
でも、たんぱく質や野菜から食べても、サラダのドレッシングが油たっぷりだと台無しなのでは? と疑問に思ったあなた。実は、この油がいい仕事をしてくれるのです。
「油の脂質も、酢も、食後血糖値の上昇の抑制を助ける」と本書。ほどほどの量のドレッシングで、前菜のサラダをいただきましょう。
朝食を食べる、食べない、どっちが正しい?

朝食抜きダイエットというのも、一時期話題になりました。朝食を抜いて胃腸を休ませる、というのが根拠ですが、はたして正しいのはどちらでしょうか。
本書による回答は「血糖コントロールダイエットには、朝食をとる1日3食のほうが有利」。ただし、朝は食欲がないという人は「食事を少量ずつ数回に分けて食べる『分食』を試してみてください」と本書。
プロテイン、オートミール卵がゆなど、軽めたんぱく質がおすすめだそうです。他、コンビニ食としてプロテインバーやギリシャヨーグルト、もち麦おにぎりを活用するのも可。
人生の目標は「痩せる」ことではなく「健康美」
ダイエットというと、ついつい糖質を敵のように扱ってしまいがち。けれども糖質はエネルギー源で、いわば体のエンジン。人生の目標は「痩せる」ことではなく、「健康美」ということも、本書から学べます。
「診察では伝えきれない食事改善や運動の方法を患者さんにお伝えし、モチベーションを上げるため」に、情報発信に勤しむ“血糖おじさん”。本書と一緒に、永遠の健康美を手に入れようじゃありませんか。

【薗田憲司(血糖おじさん)】公式サイト
糖尿病専門医。年間4000件以上の外来を担当。糖尿病の父を持ち、自身も学生の頃より食事改善を実践。外来では患者1人にかけられる時間が限られているため、多くの糖尿病患者やダイエットに悩む人に役立つ情報を発信したいとの思いから、Instagramで情報発信を始め、SNS総フォロワー30万人を突破。血糖値とダイエットの関係性や食事のアドバイス、糖尿病の最新事情などを発信している。近日、自身のクリニックを開業予定。
<文/森美樹>
1970年生まれ。少女小説を7冊刊行したのち休筆。2013年、「朝凪」(改題「まばたきがスイッチ」)で第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)を上梓。Twitter:@morimikixxx
(エディタ(Editor):dutyadmin)




