生まれも育ちも関東だと、田舎への帰省に憧れるもの。しかし、関東育ちの人が帰省を経験すると慣れない方言に苦戦するようです。
今回は、言葉の勘違いで恐怖を抱いてしまったという、女性のエピソードをご紹介します。
名古屋出身の夫の実家へ初帰省
生まれも育ちも東京という金子美穂さん(仮名・31歳)は、同じ大学の先輩だった彼とゴールインしたばかりの新婚さん。そんな新婚の美穂さんは先日初めて、夫の実家である名古屋に帰省したそうです。
「生まれてからずっと都内で過ごしてきたので、夫の実家がある名古屋に帰省するのを楽しみにしていました。帰省するという響きがもう素敵ですよね。東京以外にも居場所があるような感じで。
ちなみに、名古屋の実家までは電車で2時間程度ですが、お互い仕事をしている事もあって帰省は年に2回にしようと結婚前に決めていました」
初めての名古屋に興奮!
3日間の帰省初日は、初めての名古屋に大興奮だったそう。
「名古屋に着くと、夫が観光地や自分の出身校などを案内してくれて。名古屋と東京ってこんなに空気感が違うんだなと思いながら、夫と手を繋いで歩く時間は幸せでした。特に名古屋港の辺りの雰囲気が素敵でしたね」
美穂さんは、初日から夫の育った名古屋を好きになったそう。しかし名古屋を満喫するぞと思った矢先、美穂さんは体調不良になってしまいます。
「夫の実家に到着した夕方には、身体がフワフワしていました。結婚して初めての帰省だったので、義母さんが豪華な夕飯を用意してくださっていたのに……」
「チンチンになってる」義父母の言葉に衝撃

美穂さんは玄関からリビングへ入らず、直接2階の角部屋に案内してもらうことに。義母が布団を敷いてくれて、そのまましばらく横になることになったそうです。
「夫も『大丈夫? ゆっくり寝てなよ』と心配してくれました。名古屋観光で結構歩いたので疲れもあって、その後すぐ眠ってしまいました」
美穂さんが目を覚ますと、部屋には夫の代わりに義父母がいます。
目覚めた時は、まだ頭がフワフワしていた美穂さん。そんな中、そばにいた義父が美穂さんを見て「こりゃ、ちんちこちんだら」と言います。義母も「美穂さん、ちんちんになっとるがね」と続けたそう。
「私、姉妹で育ってきたので『ちんちん』という慣れないワードを大人が発言していることに対して、異常に反応してしまって……。
義父母の話し方も正直、語気が強くてもともと苦手だったんです。熱も高かったし、あの時はまるで怖い夢を見ているかのようで。恐怖を感じて、涙が出ました」
後日調べてみると……

東京育ちの美穂さんにとって、初めての帰省での発熱と慣れない義父母の方言はただただ、“恐怖”だったと言います。
「結局、帰省最終日にようやく熱が下がり、東京に帰ることになりました。義父母には迷惑を掛けてしまって申し訳なかったです」
東京に帰り、元気になった美穂さんは名古屋の方言について調べたそうです。
「『ちんちん』や『ちんちこちん』って、名古屋では『熱い』とか『すごく熱い』という意味の方言だったんです。それに名古屋弁は優しく喋っても、少し怒っているように強く聞こえるみたい。
自分が育った環境と夫の家族が違い過ぎて戸惑うことも多いですが、年に2回の帰省を続けていきながら、少しずつ名古屋弁にも慣れていきたいです」
義娘である美穂さんを気遣い、支度や看病してくれる心優しい義父母。美穂さんが名古屋弁に慣れ、義父母と打ち解けるのも時間の問題でしょう。
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<取材・文/maki イラスト/ただりえこ>
(エディタ(Editor):dutyadmin)
