セクハラが社会的に問題視されるようになったとはいえ、「今日もセクハラされたらどうしよう……」と穏やかでない日々を送っている女性は現在も少なくないのです。
29歳ITエンジニアのFさんの話。ビルの建て替えで、他部署と同じフロアになったFさんを待っていたのは、同僚からのセクハラでした。(初公開日2018年1月15日 情報は取材当時)
「私にセクハラしてきたXは、部署が違うので仕事上のからみもなく、給湯室や廊下で会ったら挨拶したりする程度の関係。ただの同僚の1人でした。
Xはある日から私の席にやってきて、『なぜこの仕事についたか』『今の仕事で自分は何を成し遂げたいか』と男の夢を語り始めました。私にとっては心底どうでもいい話なので『早く自分の席に戻ってくれないかな~』と祈っていました」
ついに始まったボディタッチ
しかしその祈りは通じず、Xはほぼ毎日、Fさんの席にやって来るようになってしまいました。
「調子に乗って『オレ語り』をするうえに、こっちが少し忙しいときでもお構いなしに居座るんです。空気を読まないタイプだなと思って、『ちょっとミーティングがあるんで』と、いつも急いでいる風を装って逃げました。
それでも懲りずにやってきて、とうとうボディタッチをするようになってきたんです!
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挨拶がわりに肩に手を乗せてきたり、マウスを持つ私の手の上に自分の手を乗せて自分の興味あるサイトを見せようとしたり。立ち去るときに頭を撫でられたことも数え切れません」

ひとりよがりな“キャラクターグッズ”プレゼントの嵐
さらに、勝手にプレゼントを持ってくるようになったX。
Fさんがパソコンの脇に置いていたドラえもんフィギュアを見たのか、マグカップにバッグ、Tシャツに至るまで、ドラえもんグッズをこれでもかと買い集めてはドヤ顔で現れるように。
「『いらない』と強く言っても、『本当は嬉しいのに遠慮してる』と勘違いして、ニヤニヤしながら『いいからいいから』と持って来るんです。しかも頭を撫でながら。このとき、『大ごとにしなければならない』と感じました」
Fさんはこの日の帰りに上司に報告。プレゼントを見せて、困っていることを伝えたところ、セクハラ対応部署の担当者が動き出しました。その日からXに内緒で「撃退プロジェクト」が進行し始めたのです。
迎えた決戦の日!セクハラ同僚Xと直接対決
「セクハラ対応部署からXに、私が迷惑していることを伝えるか、それとも私自身が直接伝えるか、どちらかを選ぶように言われ、私は自分から伝えることを選びました。勘違い野郎なので直接言った方がいいと思ったんです」
そして決戦の日。セクハラ対応部署の担当者とFさんの上司、Xの上司で待ち構えました。呼び出されたXの表情は真っ青で、完全に固まっています。
そして、ドラえもんグッズを返しながら「迷惑です」と伝えたFさん。この日からXの訪問はピタッと止みました。
「その後、会社の女の子たちとの飲み会でこの話をしたら、なんと他の子たちも同じような目に遭っていたことがわかったんです。
同じくパソコンを教えるふりしてマウスの上に手を乗せられた同僚女性は、『気持ち悪い。余計なお世話! って言ってやったわよ』と大笑い。酒の肴にしてやりました(笑)」
自分さえガマンしてやり過ごせば…と思わず、大ごとにすると決めた勇気が、状況を変えたわけです。ただの口説きか、どこか異常な行為か、女性は生理的にわかったりするものですよね。
―私達の身近な「セクハラ」 ―
<TEXT/上田ひろえ イラスト/鈴木詩子>
(エディタ(Editor):dutyadmin)

