食事のマナーに自信はありますか?
デートでフォーマルな店に行った時だけでなく、居酒屋での飲み会でも、ファミレスでも、品のあるふるまいをしたいものです。
「カジュアルなお店では、ついつい所作やマナーなど、気が緩みがちになってしまうもの。でも、こういった場面でこそ品や『育ち』がにじみ出るのです」と言うのは、マナースクール代表の諏内(すない)えみさんです。
「例えば、ファストフード店でカウンターで受け取った飲み物をテーブルに置く際、簡易なカップであってもスッと両方の手が添えられる。帰り際にはテーブルに残ったちょっとした水滴などにも気づき、ペーパーでひと拭きしてから席を立つ。丁寧に分別をして所定の場所に捨てる。
そんな何気ない、さりげないふるまいだからこそ素のあなたが垣間見られ、好感度がグンと上がったり、逆にガクンと下がったりするものなのです」(諏内さん)
ベストセラー『「育ちがいい人」だけが知っていること』で知られる諏内さんは、婚活女性向けの講座や、映画・ドラマで女優のエレガント所作指導をするなど活躍中。今回は、著書『一流女性のあたりまえ』から、わりとカジュアルな店でもやりがちなNGマナーを教えてもらいました(以下、諏内さんの寄稿)。
NG1.席に案内される時、男性に「お先にどうぞ」
「ではお席へご案内いたします」とお店の方が誘導してくださったら、躊躇することなく彼より先を歩いてください。男性に「あ、どうぞお先に」などと譲るということは、特に、レディファーストを重視する洋食レストランの場面ではまったく不要です。エスコートされることに慣れていない女性と思われ、逆に彼に恥をかかせてしまうかもしれませんよ。
NG2.お座敷に背を向けて靴を脱ぐ
和食店では靴を脱いで和室に通される場面も少なくありませんね。あなたは玄関やお部屋の出入り口で、文句のつけどころがないよう美しく、何より正しく上がることができますか?
クルッと方向転換し、後ろ向きになって、お部屋に背を向けた状態で靴を脱ぎ、その後ろ向きのまま上がる……この動作を“あたりまえ”になさっていた女性は猛反省です! このようなマナー違反で粗雑な所作は、あなたの品性を著しく下げます。
きちんと正面を向いて靴を脱いで上がり、いったんかがんで靴の向きを変え、隅に揃える、です。わかってはいる? でもなさっていない? そのような方々にも改めて確認していただきたかったのです。ぜひ日常化してくださいね。
NG3.靴のインソールが汚れている
インソールが剥がれたり汚れていると、フィッティングルーム同様、和室で靴を脱ぐ際に躊躇してしまいますね。また、脱いだ後々まで気になってしまうもの。和室のお店への急なお誘いでも慌てず困らず、いつでもご一緒できるよう、常にケアしておきたい部分です。
格式ある和食店においては、和室での素足はNGとなります。このような場所では夏でもストッキングを着用なさってください。もしくは、ソックスを持参され、玄関など、靴を脱ぐ場所でサッとお履きになっても結構です。ただし、装いのトータルバランスから考えますと、やはりストッキングのほうがよろしいでしょう。
NG4.おしぼりで手を拭きまくる

どちらかのおじさまのように、おしぼりを出された時に額まで拭いてしまう方などはもちろんいらっしゃらないとしても、手首より上まで拭くのは控えたいもの。おしぼりは手のひら全体を丁寧に拭くというより、指先までにとどめておくほうが上品です。手全体の汚れが気になる場合は、お席に着く前に、どうぞ洗面所で洗うようになさってください。
また、使用した部分は内側にしてたたむとよろしいでしょう。これはおしぼりを下げてくださる方への心遣いです。
NG5.割り箸をタテに持って割る
割り箸の扱いでも確実に『育ち』や品がにじみ出ます。あなたは箸留め、帯を破ってしまってはいませんか? また、お箸を両手で縦に持って割ったり、2本のお箸をすり合わせてささくれた部分を削ったりするのも、もってのほか! お箸は横に向けて持ち、淑女らしく手元で静かにそっと割りましょう。
NG6.箸置きがあるのに、器にお箸を置く
お箸置きが用意されたお店では、お食事の途中も終了時も、お箸は必ずお箸置きに戻すようになさってください。ちゃんとご用意があるにもかかわらず、別の場所に置いてしまったりしていませんか? 器の縁部分に置く『渡し箸』はマナー違反です。
NG7.お料理を逆さ箸で取り分ける
多くの方が勘違いしているマナーに「逆さ箸」があります。せっかく彼にお料理を上手に美しく取り分けてあげようとしても、自分のお箸を上下逆にして使ったら、それはマナーを知らない女性と評価され、格下げになっても仕方ありません。きちんとお取り箸を使って取り分けてください。
NG8.左手を小皿のように添える「手皿」
左手を小皿のように添えて召し上がるしぐさ、いわゆる手皿というもの。実に頻繁にお見かけしますよね。実は、こちらは立派なマナー違反です。ところが、「上品」と勘違いしている女性がまだまだ大勢いらっしゃるのには驚きます!
テーブルマナー講座での生徒さんたちにも、プライベートで行ったレストランでも本当に目につきます。また、テレビでも多くのタレントの方がなさっているので、そのような勘違いが生じるのかもしれません。でも、本書をご覧のみなさまは決してなさらないでください。この所作は、上品どころか逆に『下品』なのですから。
NG9.使い終わったお皿を重ねて片付ける
もうひとつご注意いただきたいのが、良かれと思ってなさっているお皿の重ね置きです。食べ終わったお皿を、お店の方が片付けやすいように重ねて隅に置いておく、という光景はたまに見かけますよね。重ねてもまったく構わないお店なのか? もしくは、大切な器を傷つけてしまう可能性を好まないお店なのか?
また、下のお皿の汚れなどが上に重ねたお皿の底面に付着してしまうのはどう考えるのか? お客さまが片付けることをありがたく、助かると思ってくれるお店なのか? はたまた彼への気が利く女子力アピールなのか?
純粋な親切心からだとしても、そのお店のランクなどをよく考えてからなさってください。
NG10.ビュッフェで他人の分まで取ってくる
立食パーティやビュッフェの場面で、勘違い女性が張り切ってなさってしまう“気が利く女子”のアピールがあります。それは、ご親切に他人の分まで取ってきてさしあげること。
ビュッフェのルールとは、ご自分が好きなお料理を、ご自身が召し上がれる量だけ取るというもの。人の分までも取っていらしたらこれはマナー違反となります。ましてや、洋式であるビュッフェという空間で、男性の分をいそいそと運ぶなどはもってのほか、となるわけです。このマナーを知らずに、気が利く、心遣いのある女性を演じても、実は滑稽な姿となってしまうのです。
ですから、もし「お、ありがとう! 気が利くねぇ」などとおっしゃる男性がいらっしゃったら、“一流女性”のパートナーにはふさわしくない方、ということになるでしょう。
<文/諏内えみ>
諏内えみ
「マナースクール ライビウム」「親子・お受験作法教室」代表。大ベストセラー『「育ちがいい人」だけが知っていること』、『一流女性のあたりまえ』、『「良縁をつかむ人」だけが大切にしていること』など著書多数。「Salon the SUNAI」では、美しい立ち居振る舞いや会話、テーブルマナー講座が人気。映画やドラマでの女優のエレガント所作指導を始め、「王様のブランチ」「ホンマでっか!?TV」「あさイチ」「ぐるナイ」などテレビ出演も多数。
(エディタ(Editor):dutyadmin)


