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猛暑でも窓を開けるのはNG!? 夕食は22時に予約? 日本人が「ギリシャ」に移住して驚いたこと

時刻(time):2023-08-15 20:58源泉(Origin):δ֪ 著者(author):kangli
2023年7月の欧州は、史上最も暑い夏だったようです。ギリシャは連日45℃前後の熱波に襲われ、各地で山火事が多発しました。パルテノン神殿の建つアテネのアクロポリスでは、熱中症で倒れる観光客が続出するため、最も暑い時間帯にクローズしたのは日本でも報道された通りです。 ギリシャはとにかく日差しが強い ギリシャの日差しは強烈で、その暑さはアテネ都心の道

2023年7月の欧州は、史上最も暑い夏だったようです。ギリシャは連日45℃前後の熱波に襲われ、各地で山火事が多発しました。パルテノン神殿の建つアテネのアクロポリスでは、熱中症で倒れる観光客が続出するため、最も暑い時間帯にクローズしたのは日本でも報道された通りです。

ギリシャはとにかく日差しが強い

ギリシャの日差しは強烈で、その暑さはアテネ都心の道路やバルコニーのタイルの上で目玉焼きやクッキーが焼けるほど! 毎夏、注意喚起のため?か、そのような実験動画がアップされたりしています。

人間の体温超えの異常な暑さが続いた今年の7月でしたが、実はアクロポリスなどの遺跡が、最も暑い時間帯に観光客の安全のためにクローズすることは以前からよくありました。遺跡のように直射日光を遮るものがない場所は、本当に危険だからです。

筆者が15年ほど前に日本からギリシャに移住した際、“日本とは違う”暑さだと実感しました。

日本はほとんどの地域が温暖湿潤気候、高温多湿ですが、地中海性気候のギリシャは、日差しはきついけれど夏季の湿度は30%ほど。カラっとしていて30℃を超えても日影に入れば涼しいのです。しかし日の当たる場所はまさに炎天下、長く留まると命の危険にさらされます。

なお、夏季も通常の暑さであれば、朝夕は涼しく、カフェやレストランはテラス席がメイン。日が落ちてから、観劇は遺跡の野外劇場、映画も屋外に設置されたスクリーンで上映されます。

30℃くらいの暑さならば、日影のカフェテラスは爽やかで快適
30℃くらいの暑さならば、日影のカフェテラスは爽やかで快適


住居のバルコニーは広めで、日除けのテントがついており、爽やかなアウトドアリビング空間になります。夏季はそこで食事をしたり、カフェタイム、読書などでくつろいだりします。


猛暑なのに厳重に戸締り!?

住宅の窓に備え付けられている「バジュリ」と呼ばれる白い日除け戸
住宅の窓に備え付けられている「バジュリ」と呼ばれる白い日除け戸


とはいえ、日差しは焼け付くように強いので、住宅の窓には「バジュリ」と呼ばれる日除け用の白い引き戸が設置されています。移住当初、雨の少ないギリシャになぜ雨戸?と思ったら、遮光目的でした(防犯目的もあります)。

そして夏は午前中から近所の家々がみな、戸を厳重に閉め始めるのはなぜ?と不思議に思いました。それは暑さ対策だったのです。

日本では暑くなったらまず窓を開けて風通しをよくしようとしますが、ギリシャではNG。乾燥した熱風や強い日差しが入り、家の中に熱がこもってしまいます。なので、暑くなりそうな日は、窓を開けて風を通すのではなく、日光や外気をシャットアウトするために戸を閉ざすという方法を取ります。

この方法だと外から帰ってきても室内がクールに保たれています。冷房をつけてもすぐに室内を冷やすことができ、日本とは真逆の方法が効果的でびっくりしたものです。


シエスタの必要性

ちょっと休憩中……
ちょっと休憩中……


ギリシャでは、昔から最も暑い時間帯に休憩を取る「シエスタ」の習慣がありました。強烈な日差しによる暑さのため、午後の暑い時間帯に屋外で労働者が作業をすることは、命に危険が及びます。

当然、エアコンのある室内で働くオフィスワーカーは、シエスタは取りませんが、工事現場などの労働者は、涼しい朝7時頃から働き始め、一旦14時30分に作業を止めます。

そして今夏はこの異次元の暑さにより、市民防災省が40℃前後になる日は屋外での労働を正午から17時まで中止するように注意喚起しました。確かにこれは命を守るために必要なことです。

この7月から中欧でも40℃度近くの日が続き、ドイツでは保健所で働く医師団体が、「労働者のために『シエスタ』を導入して南の国々の働き方に倣うべきだ」と提言したそうです。2022年、欧州では熱波により約6万人以上が命を落としたと推定されています。

ディナーを“22時”に予約!?

ギリシャを含む地中海周辺国のディナーの時間帯は非常に遅いです。ギリシャの夏の日没は20時40分頃で、日が落ちるとぐっと涼しくなってきます。レストランはテラス席が多く、18~19時くらいはまだ暑いので、ディナーを提供する飲食店は20時ごろに開店します。

最近は朝から夜までずっと営業しているレストランも多いのですが、一昔前は、レストランやタヴェルナ(大衆食堂)の前で、お腹を空かせた観光客が20時の開店を待っている姿を見かけました。他の国から来た人にとっては遅い開店時間ですが、屋外のテラス席にて、爽やかな外の空気を感じながらのディナータイムは最高です。

でも、筆者は移住した当初、ギリシャ人の友人らと外食の約束をして、「22時に予約したよ」と連絡されたときはびっくり。そんな遅くまでお腹が空いて待てないよ~と思いました。子どもがいる家庭では20時ごろの夕食ですが、あまり夜遅くの食事は健康的ではないので、我が家はこれには倣わず、19時くらいには食事を終えています。

美白に興味なし、初夏はひとりビーチ!?

日本人の女性が美白、美白と徹底的に日焼け防止対策をするのとは対照的に、ギリシャの女性は夏が来たら肌を思い切り焼いて、ブロンズ色の肌を目指します。強烈な日差しなので日焼け止めは必須ですが、白い肌を保ちたい人は少数。肌が白いままだと、バカンスに行けなかったかわいそうな人と見なされます。

車で30分ほどで、青く澄んだエーゲ海のビーチに繰り出せるアテネなので、例年6月頃から週末は海に行く人が増えます。初夏はビーチにひとりで来ている女性が多く、なぜ?と思っていました。

その理由は、ボーイフレンドや友達とビーチに行くとき、青白い肌での水着姿はみっともないからだそう。誰かと出かけるとき、すでにビキニが似合う小麦色の肌であるために、数回はひとりでビーチへ出かけるというわけです。

ともあれ、ギリシャの日差しは強烈ですので、旅する際は、日焼け止め、帽子、サングラス、水は必ず携帯し、直射日光の当たる場所に長く留まらないことが大切です。そして昼間の最も暑い時間帯はホテルで休憩することをおすすめします。

有馬 めぐむプロフィール

日本の出版社で記者職を経験後、2000年よりフリーランス。2005年、国際会議コーディネートの仕事でギリシャに長期滞在、2007年よりアテネ在住。観光情報や食文化、動物保護、政治経済情勢などを日本の雑誌、ウェブサイトに執筆。テレビ、ラジオ番組への電話出演も多数。All About ギリシャガイド。


執筆者:有馬 めぐむ(フリージャーナリスト)
(エディタ(Editor):dutyadmin)
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