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「女の子ってこんなに悩んでるんだ!」『宮本から君へ』の巨匠が女性の悩みの重さに気づ

時刻(time):2023-08-09 18:44源泉(Origin):δ֪ 著者(author):kangli
『ワールド・イズ・マイン』『宮本から君へ』などで知られる鬼才漫画家・新井英樹が描く衝撃のシスターフッド『 SPUNK‐スパンク!‐ 』(ビームコミックス KADOKAWA)が1・2巻同時発売され話題になっています。 新井英樹 参謀 鏡ゆみこ『SPUNK – スパンク! – 1』 (ビームコミックス) KADOKAWA 奔放でパワフルな夏菜(かな)と、内気な文学少女・冬実(ふゆみ)。2人の新米(

『ワールド・イズ・マイン』『宮本から君へ』などで知られる鬼才漫画家・新井英樹が描く衝撃のシスターフッド『SPUNK‐スパンク!‐』(ビームコミックス KADOKAWA)が1・2巻同時発売され話題になっています。

新井英樹 参謀 鏡ゆみこSPUNK - スパンク! - 1 (ビームコミックス) KADOKAWA

新井英樹 参謀 鏡ゆみこ『SPUNK – スパンク! – 1』 (ビームコミックス) KADOKAWA

奔放でパワフルな夏菜(かな)と、内気な文学少女・冬実(ふゆみ)。2人の新米(しんまい)女王様がSMサロンで出会い、個性をぶつけ合う様を描いた異色作です。

熱く過激な作風で社会的なタブーに切り込み、読者の胸を激しく揺さぶる名問題作を数々と生み出してきた巨匠漫画家が、2人の女の子を主人公として描き、ファンたちを驚かせています。

本記事では第1話をまるっと紹介、後半では新井英樹さんに女王様との出会いや、制作秘話を語ってもらいました。

©新井英樹 参謀:鏡 ゆみこ『SPUNK/スパンク!』ビームコミックス KADOKAWA

©新井英樹 参謀:鏡 ゆみこ『SPUNK/スパンク!』ビームコミックス KADOKAWA








新井英樹 SPUNK/スパンク!







新井英樹 SPUNK/スパンク!







新井英樹 SPUNK/スパンク!







新井英樹 SPUNK/スパンク!







新井英樹 SPUNK/スパンク!







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新井英樹 SPUNK/スパンク!







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新井英樹 SPUNK/スパンク!






新井英樹 SPUNK/スパンク!






新井英樹 SPUNK/スパンク!






新井英樹 SPUNK/スパンク!





新井英樹 SPUNK/スパンク!






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新井英樹 SPUNK/スパンク!







新井英樹 SPUNK/スパンク!







新井英樹 SPUNK/スパンク!







新井英樹 SPUNK/スパンク!







新井英樹 SPUNK/スパンク!







新井英樹 SPUNK/スパンク!







新井英樹 SPUNK/スパンク!






新井英樹 SPUNK/スパンク!






新井英樹 SPUNK/スパンク!






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新井英樹 SPUNK/スパンク!







新井英樹 SPUNK/スパンク!







新井英樹 SPUNK/スパンク!







新井英樹 SPUNK/スパンク!






新井英樹 SPUNK/スパンク!





新井英樹 SPUNK/スパンク!






新井英樹 SPUNK/スパンク!







新井英樹 SPUNK/スパンク!







新井英樹 SPUNK/スパンク!







新井英樹 SPUNK/スパンク!







新井英樹 SPUNK/スパンク!






新井英樹 SPUNK/スパンク!






新井英樹 SPUNK/スパンク!







新井英樹 SPUNK/スパンク!






新井英樹 SPUNK/スパンク!






新井英樹 SPUNK/スパンク!






新井英樹 SPUNK/スパンク!






新井英樹 SPUNK/スパンク!






新井英樹 SPUNK/スパンク!






新井英樹 SPUNK/スパンク!







新井英樹 SPUNK/スパンク!







新井英樹 SPUNK/スパンク!







新井英樹 SPUNK/スパンク!







新井英樹 SPUNK/スパンク!







新井英樹 SPUNK/スパンク!






新井英樹 SPUNK/スパンク!





新井英樹 SPUNK/スパンク!





新井英樹 SPUNK/スパンク!






新井英樹 SPUNK/スパンク!







新井英樹 SPUNK/スパンク!






新井英樹 SPUNK/スパンク!





新井英樹 SPUNK/スパンク!






新井英樹 SPUNK/スパンク!







新井英樹 SPUNK/スパンク!







娘が苦労した時期に、なんにもできないことがショックで


――女の子たちを主人公にしようと思ったきっかけはなんだったのでしょうか?

新井英樹(以下、新井):『なぎさにて』(小学館)を描く時に、今までと違うものがやりたいって話をしたら、コミックビームの担当編集者に「1人の作家が今までと違うものを描こうと思ったら10年かかる」って言われた。それから約10年経って、今やってるのが『SPUNK‐スパンク!‐』。

20年近く家に引きこもって表に全然出てなかったから、今までやろうと思ってないことを全部やれる限りやろうって思って、女装してみたり。そのあたりから女の子を描き始めた。

50過ぎるとどこの店行っても年上になっちゃうし、女の子を口説きたいとか遊びたいとかもなくて、でも好奇心だけは強いからあれやこれやと話を聞くと、女の子ってこんなに悩んでるんだ!っていうのが結構あって。男以上にきついなと。男の子がやることといったら悩むこと以外にないと思ってるから、男の悩みを聞いてもゲラゲラ笑って済ませちゃうんだけど(笑)。

なんで俺こんなに悩んでる女の子たちのことが気になってるんだろうって考えて。一時期、娘が学校で苦労した時期があって、それまで漫画で結構えらそうなことを描いてたのに、なんにもできないってことがわかって結構ショックというか。これはもうしょうもないな自分、と思った。

こんなの娘にも言ったことないけど、今にして思えば、実はそのあたりから「女の子頑張れ!」っていうのを描き始めた気がする。心病んだり苦しんでる子たちと連絡とって「頑張れ」って伝えたり。親として照れがあるから、娘にできない分そうしてるのかなと。

新井英樹さん

新井英樹さん

悩む女の子たちの後押しになるようなものが描きたい


――娘さんや身近な女の子たちへのエールが始まりだったんですね。

新井:周りの女の人たちは、自分のことをフェミニストだと一応言ってくれる。あんな漫画ばっかり描いてるけど(笑)。

聞けば聞くほど見れば見るほど、男社会だよなあと思う。実際に女の子たちの悩みって、“男ののんきな悩み”って敢えて言うけど、それに比べて重いなって。この年になった爺さんが漫画を描いて元気づけるっていっても、余計なお世話だって言われそうだけど、女の子たちの後押しになるような、楽になるようなものが描きたいと思った。「何やったっていいよ」って。世間がそれを大目に見るような。

彼女たちが苦しい原因は、今のこの世の中が「抜け」が悪すぎるからっていうのが多分にある。だから、「抜け」がよくなる考え方ができるような漫画を描けないかなって漠然と思った。これは罰しないといけないみたいな、すぐに人を裁く世の中になってるけど、そこ全部流しちゃえよっていう感じにできたらいいのかなって。

今まで、例えば『ザ・ワールド・イズ・マイン』とか『キーチ!!』とか、社会とか世界とかを舞台にしてやってたけど、こないだ誰かが「お金のことを別にすれば、人間の悩みの8~9割は人間関係だ」って言ってて。だとしたら、人間関係うまくやるっていう話を書くのは、世界平和に繋がるんじゃないかと(笑)。

新井英樹『真説 ザ・ワールド・イズ・マイン1巻』(ビームコミックス)KADOKAWA

新井英樹『真説 ザ・ワールド・イズ・マイン1巻』(ビームコミックス)KADOKAWA








対象的な2人の主人公、わかりあえないまんま互いを認める


――言いたいことをため込む冬実と、思いついたことをすぐ口にする夏菜。冬実は、夏菜が「上から目線」であると感じてイラついてしまう。この主人公たちの関係性に関しても、2人の噛み合ってない感じがすごく自然で、それを悪いものと描かれていないですよね。

新井:それが結構やりたくて。『SPUNK‐スパンク!‐』を読んだ何人かに「シスターフッド」って言われたから、よくわかんなくて調べた(笑)。パートナーが同性であっても異性であっても、お互いが完全にわかりあえるってことがない以上、わかりあえてないと友情がないっていうのは嘘だと思う。わかりあえないまんま認めることはできる。

実際に人と会って仲良くしてて、嫌なところが見えたり知ってたりもするけど、いちいちそれがあるからもう付き合えませんっていうことはない。そういうことを当たり前のように面白く描ければいいなって。

新井英樹 参謀 鏡ゆみこ『SPUNK - スパンク! - 2』 (ビームコミックス) KADOKAWA

新井英樹 参謀 鏡ゆみこ『SPUNK – スパンク! – 2』 (ビームコミックス) KADOKAWA

SM女王様のエピソードがあまりに面白くて


――今回の作品では、プロの女王様・鏡ゆみこさんが「監修」ではなく「参謀」という形で参加されています。鏡ゆみこさんとの出会いは?

新井:新宿2丁目を取材した流れでたまたま会うことになって。2丁目でお店のオーナーをやってる男の子に「新井さんに紹介したい人がいる」って言われたのが、ゆみこさんだった。ゆみこさんに会うなり、映画好きだし音楽好きだし「おもろいわこの人!」ってなって、今まで誰にも言ったことないんだけど、自分から「友達になって」って初めて言った。それで連絡先を交換したんだけど、ゆみこさんは「すぐに連絡返すのはやめよう」って思って半年くらい放っておいたらしい(笑)。

――さすが女王様!(笑)

新井:半年くらいして飲みの席で会って、ゆみこさんのサロンに行ってみることになった。それから一年半くらいは、周りでプレイが始まっても「はあ…」って言いながら、自分は完全に外野だし、不謹慎だから笑っちゃ悪いなと思って我慢してた。オーナーの友達として来てるから笑っても許されてる、みたいなのも恥ずかしいし。でも、ある時我慢できずに笑っちゃったら、「笑っていいんだよ!」って言われて「そうだったんですか!?」って。

吉田恵輔監督(新井英樹原作映画『愛しのアイリーン』監督)を誘って連れ立って行ったら、えらい好奇心が強い人だから「あれもやりたい、これもやりたい」となった。そしたら、初めてゆみこさんがニヤッと笑って「じゃあ新井さんもだね」って(笑)。

結構いろんなコースをやられて。それでも別に漫画に描きたいっていうわけではなかった。ただゆみこさんのエピソードがあまりにも面白かったんで、「面白いなあ、人間って!」って思うことが続いて。そのうちに「描いてもいいんだったら、もし俺でよければ描きたいけど」って言った。最初はレポート漫画にするって話から入ったけど、それだと、ゆみこさん本人が「昔はよかったっていう回顧録になるのは面白くないね」って。だったら、若い女の子を主人公にしようってことになった。映画「Mad Max Fury Road」(邦題「マッドマックス怒りのデスロード」)みたいなのを描きたいと、編集の清水さんに話を持ちかけた。

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント

月刊コミックビーム編集担当・清水(以下、清水):1番最初にお話いただいた時は、女の子2人ともう一人男の子もいて、3人組で戦うっていう設定でした。

新井:男社会クソ食らえ!で戦う設定。SMの道具を利用した形で、徹底的にB級っぽく返り血を浴びてる2人がかっこいいからやりたいっていう話から、徐々に今の形になっていった。







監督2人で1本の映画を撮ってるみたいで大変


――「参謀」であるゆみこさんと綿密な打合せをしながら作品を作られているとのことですが、どのような苦労がありますか?

新井: 2人で作ってると、映画監督2人で1本の映画を撮ってるみたいな状態になったりして、それが大変(笑)。

ゆみこさんも映像関係の仕事の経験があるので、「ここの構図が」とか「この展開が」って提案とかもくれて。フェティッシュっていわれるものに詳しいのはゆみこさんで、「ここはこうしたほうが反応がいい」っていうのはおそらく正解なんだけど、それを追いかけていくと、漫画としては、ここで大ゴマとれないし、絵の大きさのリズムがあるし…っていう押し引きがあったりもして。

せっかくふざけた感じにしたいのに「監修」っていう言葉を使うと固くなっちゃうから、「参謀っていうのはどう?」って俺から言った。でも参謀の仕事ってどこまでだろう?ってお互い探り探りで(笑)。今回びっくりするくらい人の意見を取り入れてる。セリフを一言一句作ってからネームを起こすって初めてで。最初にそれをやったのが第4話だった。これはこれで面白い!って。ただし……きつい(笑)。

――そこまで話し合うんですね! 打合せだけで、かなり時間がかかるのでは。

新井:めちゃくちゃかかる。今までと違う頭の使い方してる感じがある。最近は2人とも学習してきて、「これをやると喧嘩になるんだ」って引くようになった(笑)。あまりにも詰めてやりすぎると余白や遊びの部分がなくてきついから、まず必要なとこだけ決めようと。意見が分かれた時は、清水さんに「今こんな状況だから立ち会って欲しい」って頼んだ。まさに海の回(第11話)とかね。清水さんの意見を聞いて、「それそれ! 第三者から見て、こう思うんだよ!」。「俺が言ってるわけじゃないから!」って(笑)。冬実の「言いたいことを言ってる」ってセリフは、清水さんのアイディアだよね。

清水:「海に行って大雨の中で喧嘩するって話を描きたい」ってところから始まって、じゃあどういう経緯で?っていうのを話し合いました。大勢で行くはずだったけど、どうして他のメンバーが来れなくなったのかな、お腹を壊したからかなって。そうやって展開をみんなで話し続けて、新井さんのA4用紙のメモがちょうど5枚埋まると32ページの漫画になるんです(笑)。

新井:あの回では、自分がゆみこさんたちに浜辺に埋められて水をかけられてる写真が資料として送られてきた(笑)。





強烈な“白線エピソード”は実話ベース


――夏菜が「どーん!」という口癖を言うきっかけとなった第1話のエピソードは強烈でした。

新井:あれは俺のオリジナル。でも白線の部分は、40代の時のゆみこさんの実体験のエピソードがベースになってて。白線の上を「落ちちゃいけない」ってルールで歩いてたら、向こうから同じように白線の上をおじさんがやって来て、目が合って。おじさんに「白線?」って言われたって(笑)。むちゃくちゃ面白い。漫画にする時には必ずそのエピソードを描こうと。

――それがあの形になったんですね。

新井:白線の上で出会った返り血浴びた女の人が、目の前でトラックにひかれるっていうのはフィクションだけど(笑)。第1話ですごい好きなのは、女の人がひかれてバシャァっとなった後に、すぐ「はい、その夏に初体験済ませました」って(笑)。あれ、すごく心地いいって思った。多分昔だったら、目の前での事故がショックで立ち直るための話になるのに、このキャラならこのテンポでいけるだろうって。倉科(第1話に登場するマゾのヤクザ)が夏菜をスカウトしたのも、そういう意味で「この子だったらいけるな」って思ったんだろうなと。

ゆみこさんの歴史のソフトな部分を使って作ったキャラクターが、夏菜。やっぱりギャルって最強だなと。俺も今目指すところはギャル(笑)。この先、経済的にも国自体がひどいことになった時に、余裕で乗り越えるメンタリティなのがギャルだなと。諦めずに乗り切れそう。

あのぺニバンのエピソードも、ゆみこさんの実話のまんま。男は「俺、女王様彼女にしてるけど全然平気」って言ってたんだけど、やっぱり最後の最後で我慢がきかなくなって、「俺、器でかいぜ」っていうのが、守り切れなくて決壊する。

――あのシーン、大好きです(笑)。彼氏の前でぺニバンを付けたら、彼氏に「もう無理」って泣かれる。切ない別れの場面なのにすごい笑っちゃう。

新井:ちょうどペニバンエピソードの打ち合わせをゆみこさんのお店でやってる時に、元バリバリヤンキーの女王様がいたから、「この状況だったらなんて言う?」って聞いてみたら、「マジかー」って言うって。その後会った女王様も、「これは女王様あるある」って言ってた(笑)。

清水:あの一枚絵、めちゃめちゃ面白いですよね。その後も会話が続くんだけど、ペニバン越しに喋ってるから、ペニバンが見切れてる(笑)。

新井:面白くなればいいやって。(この作品は)俺のもんじゃないっていう意識がどこかにある。本になって人の目に触れるようになったら、「鏡ゆみこさん、すごいんすよ!」ってみんなに言いたいと思ってた。

©新井英樹 参謀:鏡 ゆみこ『SPUNK – スパンク! -』ビームコミックス KADOKAWA
<文/藍川じゅん>
80年生。フリーライター。ハンドルネームは永田王。著作に『女の性欲解消日記』(eロマンス新書)など。



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