Q. 結局、体に一番いいのは何時間睡眠ですか?
心身の健康を保つために大切な睡眠。睡眠時間を削るのは体によくありませんが、たくさん寝るほどよいというものでもありません。体にいい睡眠時間の目安と考え方について、お答えします。
Q. 「睡眠時間を削るのは体に悪いことだと思いますが、寝すぎもよくないと聞きました。結局何時間くらい眠るのが一番体にいいのでしょうか?」
A. 死亡率が低いのは「6.5~7.4時間睡眠」。時間だけでなく質も重要です
日本の成人男女約10万人の睡眠時間と死亡危険率を10年間にわたって追跡調査した結果によると、死亡率が最も低かったのは、男女とも睡眠時間が6.5~7.4時間の人たちでした。
睡眠時間がこれより短い人も長い人も、死亡率が高くなる傾向にあります。アメリカやヨーロッパで行われた同様の調査でも、おおむね同じような結果が報告されています。これらの調査結果をもとに厚生労働省は、健康のために6~8時間の睡眠をとることを勧めています。
しかし、このような疫学調査の結果が、すべての個人に当てはまるとは限りません。短時間あるいは長時間の睡眠を続けている長寿の方もいます。その人の年齢や取り巻く環境、精神的あるいは肉体的状態によっても、必要な睡眠時間は左右されます。
これらのことを考えると、その時のその人に必要十分な睡眠時間が、一番体にいい睡眠時間といえます。もちろん、睡眠は「時間」だけでなく「質」も重要なので、こちらにも気をつけなければなりません。
日本を睡眠先進国にするため、正しい快眠習慣の普及に努める専門医。日本医師会、日本睡眠学会、日本コーチ協会所属。医師とビジネス・コーチという2つの仕事を活かし、医学・生理学と行動計画の両面から睡眠の質の向上に役立つ情報を発信している。
執筆者:坪田 聡(医師)