急な暑さと湿度がこたえる季節、夏バテしない体をつくる運動法…「暑熱順化」の訓練とは

時刻(time):2023-06-16 20:30源泉(Origin):δ֪ 著者(author):kangli
暑熱順化とは…暑さに慣れる体づくりの方法 暑熱順化(しょねつじゅんか)とは、体を暑い環境下に少しずつ慣らしていくことです。運動による方法と、エアコンなどによる環境温度の設定を見直す方法の2つに大別でき、数日~2週間ほどかけて完成すると言われています。 人間の体は外気温に対して体温調節を行っており、約37℃に保たれるようになっていますが、急激な

暑熱順化とは…暑さに慣れる体づくりの方法

暑熱順化(しょねつじゅんか)とは、体を暑い環境下に少しずつ慣らしていくことです。運動による方法と、エアコンなどによる環境温度の設定を見直す方法の2つに大別でき、数日~2週間ほどかけて完成すると言われています。

人間の体は外気温に対して体温調節を行っており、約37℃に保たれるようになっていますが、急激な温度変化にさらされると体温調節機能がうまく働かなくなります。体の中に熱がこもってしまうと熱中症リスクも高まってしまうため、水分補給・塩分補給などはもちろん、温度変化に対応するための体づくりもあわせて行うことが重要です。

熱をこもらせない体づくり…運動で汗をかきやすい体質

運動によって暑さに慣れるという方法は、運動生理学的にもさまざまな研究からその効果が立証されています。暑い環境下での運動は体内の血流が増加し、皮膚から熱を発散させる能力が高まります。この状態を維持することで適切な発汗が促され、暑いときにも体温を調節する機能が効率よく働くようになります。

おすすめは早朝の運動。比較的涼しい時間帯にウオーキングやジョギングなどで一度しっかり汗をかくようにし、その後シャワーなどでさっぱりすると、体も心もしっかり目覚めることができ、暑さ対策にもつながります。夏は明るい時間帯が長いのでこれを活用しない手はありません。

朝の時間がどうしても取れないという人は夕方以降に時間を見つけるようにしましょう。適度に水分補給・塩分補給をしながら、汗をかくことを意識して運動を行うようにします。

運動は10分程度からでも大丈夫です。強度が強くなればなるほど暑熱順化は早く完成するといわれていますが、個人の体力レベルや運動習慣などに照らし合わせ、無理なく続けられる強度で行いましょう。夕方のお買い物に歩いて出かける、自転車を利用するといった日常生活の中で体を動かすことでも活動レベルは上がります。

環境を見直し、外気温との温度差を小さく設定する

暑さに慣れるという点では、運動そのもので体を慣らしてしまう方法と、環境を見直す方法が考えられます。外気温は暑いのに室内は長袖を着るほど涼しい設定温度になっていると、外に出たときに暑さに耐えられず、体が疲弊してしまうことも考えられます。

節電対策としてもエアコンの設定温度を熱中症などにならない範囲でやや高めにし、扇風機などを上手に利用して暑さに慣れることが望ましいでしょう。

早朝や夕方以降は自然の風を室内に取り入れて過ごすこともいいですね。その他にもグリーンカーテンを作る、窓際に風鈴などを置くといったことも耳から涼しさを感じるよい方法です。

暑さに慣れるための運動時も、水分・塩分補給はしっかりと

暑さに慣れるための運動でも、水分補給はしっかり行いましょう。特に心がけてほしいことが水分とともに塩分補給を忘れないということ。汗をしっかりかいて暑さに体を慣らしていくため、汗で失われた水分とともに塩分を補給しないと血液中のミネラルバランスが崩れ、脱水状態や体調不良などを引き起こしてしまいます。

また緑茶や紅茶、コーヒーなどにはカフェインが含まれているため、水分補給を目的として過度に飲むことは避けましょう。飲み物についてはスポーツドリンクなど塩分を含むものや麦茶などカフェインの入っていないもの、ミネラルウォーターなどを準備しておくとよいでしょう。

熱中症は進行すると命に関わることになるので、事前に対策をとり、無理をしないようにすることが大切です。一方で、健康に問題がない方は、夏の厳しい暑さに適応するためにも、できるところから暑熱順化対策を取り入れたいものです。適度に汗をかく運動習慣をつけて、暑さに強い体づくりを目指してみてください。

西村 典子プロフィール

20年以上に渡り、スポーツ現場でのトレーナー活動に従事する日本体育協会公認アスレティックトレーナー。NSCA公認ストレングス&コンディショニング・スペシャリスト。選手へのトレーナー活動だけでなく、幅広い年齢層を対象としたストレッチ講習会やトレーニング指導経験も豊富。スポーツ傷害予防や応急処置などの教育啓蒙活動も行い、毎日の健康づくりに役立つ運動に関する情報発信を精力的に行っている。


執筆者:西村 典子(アスレティックトレーナー)
(エディタ(Editor):dutyadmin)
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