子ども時代に体育で練習した「縄跳び(なわとび)」。ダイエット効果が高い有酸素運動として、大人やアスリートからも人気のフィットネスです。
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- 【大人のなわとび】「二重跳び」のコツと、できない人のための練習方法
- ダイエットに効果的な「なわとびトレーニング」。“二重跳び”で脂肪燃焼&体力をつける
全身運動であるなわとびは消費カロリーが高く、体脂肪を落とす、脂肪燃焼をはじめとして筋肉を鍛える、体力をつける、健康維持など多くのメリットが期待できます。運動不足の人なら筋肉痛になるほど、ランニング並みに負荷の高いエクササイズなのです。最近ではマンションや室内でも簡単にできるよう、ロープがない「エアなわとび」用商品も登場しています。
なわとびはどこの筋肉を鍛え、どんな効果をもたらすのでしょうか。トレーニング用ロープの長さや基本のやり方をはじめ、1日の回数や跳ぶペース、痩せたい人向けのトレーニングメニューも解説します。
なわとびの効果と鍛えられる部位
体幹を鍛え、特に太もも&腰の強化につながるなわとびは体の47種類ほどの筋肉を使う全身運動であり、上半身をまっすぐに保って跳ぶことで、下半身と体幹を鍛える体幹トレーニングとして活用できます。
また、跳躍の動作と着地時の姿勢により酷使される、大腿四頭筋(太ももの表側の筋肉)や腰の上部が鍛えられます。つま先で跳び続けるため、ふくらはぎの引き締めにも効果が期待できます。

もちろん有酸素運動であることから、脂肪燃焼、持久力アップ、心肺機能の向上にもつながります。
なわとびのメッツ(運動強度)はランニングより高い
なわとびのメッツ(運動強度)は、8.0~12.0程度とされています。メッツとは身体活動の強さを、安静時を1.0としてその何倍に相当するかで表す単位です。
走る速さで異なりますが、時速8キロでのランニングのメッツが8.3程度。なわとびは、ゆっくり(毎分100ステップ未満)跳んで8.8、速く(毎分120~160ステップ)跳んで12.3程度に相当します(独立行政法人 国立健康・栄養研究所 2012年「改訂版 身体活動のメッツ(METs)表」を参照)。
つまり、ただ跳ぶだけで安静時の8~12倍と、ウォーキングやランニング以上のカロリー消費が期待できるのです。
座位:書く、デスクワーク、タイピング 1.3 METs 食事をする:座位 1.5 METs 入浴:座位 1.5 METs シャワーを浴びる:タオルで拭く、立位 2.0 METs ストレッチ:ゆったり 2.3 METs 子どもの世話:幼児、全般 2.5 METs 水中歩行:楽な労力、ゆっくり 2.5 METs ベッドメイク:リネンを交換する 3.3 METs 掃除:カーペットやフロアの掃き掃除、全般 3.3 METs 階段を降りる 3.5 METs 散歩 3.5 METs 体操:全般 3.8 METs 階段を上る:ゆっくり 4.0 METs 部屋の片づけ 4.8 METs レジスタンス(ウェイト)トレーニング:スクワット、ゆっくりあるいは瞬発的な努力で 5.0 METs ジョギングと歩行の組み合わせ(ジョギングは10分未満) 6.0 METs ランニング:マラソン 13.3 METs身体活動基準「METs(メッツ)」&「Ex(エクササイズ)」とは。メタボ予防に効果的な運動量も解説 より メッツが高い運動はケガの危険性も高まる
ただ、メッツが高い運動ほど、体に強く負荷がかかって怪我の危険性が高まるので注意が必要となります。
なわとびにおいて多いのは、膝や腰を痛める怪我です。よほどアクロバティックな跳び方をしない限りそれほど心配はありませんが、無理なく足腰の負担とならない、適度な高さのジャンプを心がけましょう。
あまりに高いジャンプを試みたり、二重とびを続けたりすると、足腰のバネを多用しすぎてその部位に大きな負担がかかってしまいます。

なわとびの基本的な跳び方
なわの長さなわの長さは、片足でなわを踏んでピンと張り、グリップ部分が胸とへその間のあたりにくる程度がベストです。
跳び方の基本跳び方の基本その1は、脇をしっかりと締めること。脇が広がるとなわも広がり、引っかかりやすくなります。跳んでいるうちに脇が広がる人は、タオルなどを脇に挟んで跳び続け、正しいフォームを体に覚えさせましょう。

▲脇をしっかりと締める
跳び方の基本その2は、体が天井から吊り上げられているような感覚で、体の軸をまっすぐに保つのがコツ。地面を見つめるとバランスが崩れてしまいますので、視線はまっすぐ前方に定めます。もし鏡があれば、フォームを確認しましょう。
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続いて、二重とびの基本のやり方です。
二重とびの基本「二重跳び」は運動強度が高く、心肺能力をアップさせるのに効果的です。二重跳びは、ある程度の回数を連続してできるようにならないとトレーニング効果が得られません。
二重跳びを連続で行えない人は、まず1回跳びから練習二重跳びが1回もできない、あるいは数回しか連続して行えないという人は、まず普通のなわとびを練習しましょう。足を入れ替えたり、走るように跳んだりする方法もありますが、二重跳びに繋げるためには両足を揃えて跳ぶほうが練習になります。
1回跳びが、最低でも100回連続してできるようになったら、次に記述する「ロープなしの二重跳び」に進んでください。
ロープなしで二重跳びを練習してみる二重跳びで必要になるのが「ジャンプの高さ」です。ロープを回す速さではありません。とくに速く回そうとしなくても、ロープが2回地面を叩くまでの時間はそれほど長いものではないでしょう。
また、いくら速く回そうとしても、ロープが得られるスピードの違いはそれほど大きくありません。そのため、ジャンプといっても、せいぜい10cm程度で充分です。
二重跳びではその高さのジャンプを連続して行うわけですが、姿勢を崩したり、場所を動いたりしないように注意してください。そのため、まずはロープを持たず、ジャンプを数回繰り返す練習を行います。

次にロープを使わないジャンプで、跳び上がるときに腰を軽く2回叩いてみてください。手首でロープを回すタイミングと、ジャンプする足の動きをシンクロさせる練習となります。重要なのは一定の速度でジャンプし、腰を叩くことです。
前述の練習方法と矛盾するようですが、フォームを度外視して、とりあえず1回だけでも二重跳びを成功させてしまうのもひとつの方法です。膝が曲がっても、位置が動いてしまっても構いません。1回でも二重跳びができるようになったら、徐々にフォームを直していき、正しい姿勢でも跳べるようにします。
そして、二重跳びの後に動きが止まらないようにします。「1回跳びを数回→二重跳びを1回→1回跳びを数回」という連続動作を繰り返し、少しずつ二重跳びの回数を増やしていけばいいのです。
大人向け「縄跳び(なわとび)」のポイント│前とび・二重とび・三重とびの効果的な飛び方 より
次は、なわとびを使ったトレーニングメニューです。
基本のトレーニングメニュー
「前とび」または「かけ足とび」を3分間×3セット「前とび」は、なわを前に動かし両足で着地するオーソドックスな跳び方。一方、「かけ足とび」は、その名の通り駆け足のように、左右の足を交互に地面に着けます。この3分間では、途中でなわが足にひっかかっても構いません。ひっかかってもすぐに跳び始めましょう。

この基本的な跳び方でも体幹が鍛えられ、おもに脚とウエストの引き締め効果が期待できます。大腿四頭筋、腰の上部、腹筋、お尻の筋肉、ふくらはぎの鍛錬とシェイプアップが可能です。
慣れてきたらもう少し時間を長く設定して、より効果を高めましょう。目安としては週3~4日の頻度で続ければ、2週間後には3分間を5分間に変更しても、体はそれほどきつく感じなくなっています。
「あやとび」または「交差とび」を10回腕を胸の前でクロスし、広げる動作を繰り返す「あやとび」、腕をクロスしたまま跳び続ける「交差とび」は、二の腕の引き締め効果が期待できます。まずは10回を目指しましょう。

「二重とび」は前とびなどよりも高いジャンプを要するため、大腿四頭筋をさらに鍛えることができます。連続はなかなか難しいかもしれませんが、頑張って10回を目指しましょう。

二重跳びで必要になるのが「ジャンプの高さ」です。ロープを回す速さではありません。ジャンプといっても、せいぜい10cm程度で充分です。まずはロープを持たず、ジャンプを数回繰り返す練習を行います。
そして、二重跳びの後に動きが止まらないようにします。「1回跳びを数回→二重跳びを1回→1回跳びを数回」という連続動作を繰り返し、少しずつ二重跳びの回数を増やしていけばいいのです。
「二重跳び」のコツと、できない人のための練習方法。縄跳びが上達するポイントとは より
もう少しハードな運動をしたいなら、「前とび」や「かけ足とび」に、ほかの跳び方を掛け合わせてみましょう。それぞれ10回×3セット。

かけ足とびは、左右の足がついて計1回とカウントします。部分的なシェイプアップも期待でき、動きに変化が生まれるので楽しく取り組めるはずです。
こちらもおすすめ:「なわとび」の効果と正しい跳び方、効果を高めるコツ、トレーニングメニュー
なわとびトレーニングメニュー ステップアップ!編
基本の跳び方をインターバル形式で行う
まずは、普通に両足で1回ずつ前に跳んでみましょう。縄跳びは走るのと同様、あるいはそれ以上に足首や膝へ負担がかかります。だらだらと長時間行うより、ボクサーのように3分跳んで1分休むインターバル形式がおススメです。

両足で跳び続けるのに飽きてきたら、片足ずつケンケンで跳んでみたり、腕を交差させて跳んでみたりして下さい。「右足2回、左足3回」のようにリズムを変え、変化をつけて跳んでみるのも、全身のコーディネーション能力と巧緻性を高める効果があります。
2重跳びで瞬発力と持久力を強化1回ずつ跳ぶことに慣れてきたら、2重跳びに挑戦しましょう。瞬発力と持久力の強化に大きな効果があります。

コツは、肘を体に引きつけて上体を真っ直ぐに保ち、手首を素早く回転させること。それほど高く跳ぶ必要はなく、せいぜい10~15センチほどで充分です。着地の衝撃を和らげるために膝を緩めますが、大きく膝を曲げてしまうと回数をこなすことができません。なるべく、体が1本の棒になったような姿勢を保ちましょう。
さらに瞬発力を高める3重跳びに挑戦2重跳びを何回も連続して行うレベルになれば、呼吸法やスタミナも大事な要素になってきます。それとは別に、瞬発力のさらなる強化のため、3重跳びにも挑戦してみましょう。

いきなり1回跳びから3重跳びに行くのではなく、1回跳びを数回、2重跳びを数回、そこから3重跳びへと移行していきます。当然ですが、2重跳びよりは3重跳びの方が高く跳ばなくてはいけません。また、手首の回転もさらに速くする必要があります。難易度は高いですが、楽しみながらやってみて下さい。
ジムやジョギング前のウォーミングアップに最適
ジャンプが競技の重要な要素となるフィギュアスケーターをはじめ、さまざまなスポーツ界のプロアスリート選手たちが、ウォーミングアップになわとびを活用していることが知られています。
ウォーミングアップには、じんわり汗をかいて体があたたまるくらいの運動が必要です。運動に取り組む前に全身をあたためてほぐし、体をうまくコントロールできるようにならなくてはいけません。
その点、なわとびは全身の筋肉運動、かつ有酸素運動であり、場所も時間も取らないので効率よくウォーミングアップできます。単独の運動としてだけでなく、運動前の動的ストレッチにも取り入れてみましょう。
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ギネス世界記録を次々ゲット。縄跳びに人生を賭けてハマった男のストーリー(前編)
誰もが子どもの頃に一度はやったことのある遊びでありスポーツでもある縄跳び。その縄跳びに“プロ”がいることを、皆さんはご存知だろうか。“縄跳道場師範・SADA”がその人。今年の6月20日に放送された『マツコの知らない世界 ギネスワールドレコーズの世界』(TBS系)に出演、番組中で自身の持つ「30秒間10m縄跳び」の記録を更新。その勇姿を見たという方もいるだろう。国内でも数少ない縄跳びのプロパフォーマーであり、縄跳びの指導者でもあるSADAさんは現在、縄跳びのギネス世界記録™を3つ持つ。
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3つの縄跳びのギネス世界記録™保持者である縄跳びプロパフォーマーのSADAさん。前編ではSADAさんが縄跳びと出逢ったキッカケやスポーツとしての縄跳びの素晴らしさ、これから縄跳びをはじめる人のための縄跳びの跳び方などをお訊きした。

後編ではギネス世界記録に挑戦するに到った経緯やSADAさんが縄跳びを通じて伝えたいこと、これからの夢について訊く。ひとたび話しはじめると、とまらないSADAさんの熱すぎる縄跳び愛。はたして彼にとっての縄跳びとは。
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[監修者プロフィール]
後藤迪廣(ごとう・みちひろ)
全国の地域・教育機関へ向けてなわとびの検定や大会を主催している特定非営利活動法人「日本なわとびプロジェクト」の理事を務める。名古屋市のパーソナルトレーニングジム「スリムアップ」代表。名古屋、尾張地区でトレーナーとして活動中。高齢者のダイエット、運動初心者への運動指導、スポーツ選手へのトレーニング指導など、個人・法人を問わず幅広い顧客を対象にプログラムを提案している。【公式HP】http://slim-up.net/
<Text:藤岡千夏(H14)/Photo:Getty Images>