ダイエットやボディメイクなどカラダづくりに取り組んでいると、「糖質制限している」「夜は炭水化物を少なくしたほうがいい」などという話を耳にするかもしれません。
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糖質や炭水化物を制限すると体重が落ちやすくなることは、大手のボディメイク専門パーソナルトレーニングジムなどが大々的に宣伝したことで、一般にも幅広く知れ渡るようになりました。
しかし、ここで疑問点がひとつ。「糖質」と「炭水化物」はなにが違うのか。また、「糖質」と「糖類」の違いや、「糖類ゼロ」「糖質ゼロ」の区別など、知っているようで知らない人は多いかもしれません。
今回は初心者のために、「糖」について少し踏み込みながら解説します。
炭水化物と糖質の違いとは
まずは、炭水化物と糖質の違いについて。簡単にまとめると、炭水化物>糖質>糖類という順で小さく分類されることになります。
炭水化物炭水化物は、たんぱく質・脂質と合わせて3大栄養素と言われます。
多くの方はご存じの通り、お米やパン、麺類などが炭水化物に分類され、カラダのエネルギーとして使われる栄養素です。
食品に記載されている栄養成分表示には、エネルギーやたんぱく質、脂質とともに炭水化物量が記載されています。

もしかしたら、「炭水化物」=「糖質」と思っている人がいるかもしれません。しかし、正確には炭水化物と糖質は異なります。
糖質とは、「炭水化物」の中から「食物繊維」の分を取り除いたもの。つまり、糖質は炭水化物の一部ということになります。このことから、糖質制限と炭水化物制限では内容が異なることが分かるでしょう。
糖質にはでんぷん、糖アルコール、オリゴ糖などがあります。そして炭水化物のエネルギー源は、この糖質が担っているのです。

炭水化物と糖質のほかに、「糖類」というものもあります。糖質と糖類はどう違うのでしょうか。
糖類は、糖質から多糖類・糖アルコールを除いたものと分類されます。「糖質」は糖類や多糖類(米や小麦、イモ類に含まれるデンプン)、糖アルコール(天然の甘味料キシリトールなど)などをまとめたもの。そして「糖類」は糖質の一部で、糖質から多糖類・糖アルコールなどを除いたものと言えます。
さらに糖類は、単糖類(ブドウ糖、果糖など)と二糖類(砂糖など)に分けられます。

糖質の種類が分かったところで、次はよく耳にする「糖質制限」と「低炭水化物ダイエット」の違いを探っていきます。
炭水化物=糖質&食物繊維ということは、低炭水化物ダイエットは食物繊維も制限するということなのでしょうか。
低炭水化物ダイエットと糖質制限の違い
ダイエット方法のひとつに「低炭水化物ダイエット」と「糖質制限」があります。炭水化物や糖質の違いを知らなければ、同じものだと勘違いしやすいかもしれません。
先述の通り炭水化物と糖質は異なるものですが、実際にはほとんど同じ扱いとして取り組まれているのが現状です。
低炭水化物ダイエットと糖質制限ダイエット。はっきりとした違いの定義は今のところないですが、糖質制限ダイエットのほうが糖質量の制限が厳しい傾向にあります。低炭水化物、糖質制限、低糖質、ローカーボ(ロカボ)などの言葉は同じような意味で使われていることが多く、食事から糖質を減らしてダイエットをすることを意味しています。
「炭水化物抜きダイエット」と「糖質制限ダイエット」の違いは?│管理栄養士の食トレ学
エネルギー源の摂取を抑えるためには、炭水化物ではなく糖質を制限する必要があります。なぜなら炭水化物に含まれる食物繊維は、エネルギーとしては使われず体調を整えるために必要なものだからです。
そのため、糖質制限のために炭水化物を一切摂取しなくなってしまうと、食物繊維が不足して腸内環境の悪化などに繋がるのです。
食物繊維が不足するとどうなる?食物繊維の主なはたらきとしては、腸内環境を整える、便秘改善、血中コレステロール濃度の低下など、さまざまあることが分かっています。
不足によるデメリットとしては、便量が少なくなる、腸内環境の悪化により便秘につながる、場合によっては糖尿病・虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞、虚血性心不全)などの生活習慣病にかかるリスクが高まる可能性もあります。
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食品の栄養成分表示をチェックしよう炭水化物は控えるにしても、食物繊維はできるだけ摂取したいところ。その場合は、食品の栄養成分表示をチェックしてみましょう。
栄養成分表示を見てみると、以下のようにそれぞれの量が細かく記載されていることが多いのです。
―――――――――――――――
炭水化物 ○○g
-糖質 ○○g
-糖類 ○○g
-食物繊維 ○○g
―――――――――――――――
炭水化物量が多くても、食物繊維が豊富なのであれば、糖質をそれほど気にすることなく食べることができます。
できるだけ糖質を抑えたいというときは、炭水化物の量ではなく、糖質の表示部分をチェックしてみるとよいでしょう。

食品や飲料に「糖類ゼロ」「糖質ゼロ」と書かれているものもあります。この2つはどのような違いがあるのでしょうか。ここまでの内容で理解されている方が多いかもしれませんが、具体的には以下のような分類になります。
糖類ゼロ=糖類である単糖類(ブドウ糖、果糖など)と二糖類(砂糖など)が入っていない 糖質ゼロ=糖質である単糖類(ブドウ糖、果糖など)と二糖類(砂糖など)、多糖質、糖アルコールなどが入っていない糖類ゼロの場合は、多糖類や糖アルコールなどが含まれています。そのため、ストイックに糖質制限したいという人は、糖類ゼロよりも糖質ゼロを選んだほうが良いということになるわけです。

健康に気をつけたい(けれどビールは飲みたい)人の間で人気なのが「糖質オフ」や「糖質ゼロ」のビール飲料。
「ゼロ」と「オフ」では意味が異なり、「ゼロ」の記載があるものは、糖質が100mlあたり0.5g未満のもの。
「オフ」は、一般の同等製品と比べたときに25%以上の軽減があり、さらに100mlあたり2.5g以下(飲料系)のものを指します。
「オフ」は範囲が広く、注意が必要です。厳格に糖質を避けたいときには「ゼロ」と記載されたものを選ぶようにしましょう。
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栄養素について学ぶことはダイエット成功への近道
改めて確認すると、言葉やイメージだけが先行したまま糖質制限を行っていた方は多いかもしれません。食事はカラダづくりの基本。栄養素をしっかり理解することは、ボディメイク成功のカギを握るものです。
食事管理を行う際は、しっかり栄養素について学んでから取り組むようにしましょう。
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[著者プロフィール]
和田拓巳(わだ・たくみ)
プロスポーツトレーナー歴16年。プロアスリートやアーティスト、オリンピック候補選手などのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療院での治療サポートの経験もあり、ケガの知識も豊富でリハビリ指導も行っている。医療系・スポーツ系専門学校での講師や、健康・スポーツ・トレーニングに関する講演会・講習会の講師を務めること多数。テレビや雑誌においても出演・トレーニング監修を行う。運営協力メディア「#トレラブ(https://tr-lv.com/)」などで多くの執筆・監修を行い、健康・フィットネスに関する情報を発信している。日本トレーニング指導者協会 JATI-ATI
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<Text:和田拓巳>