星野リゾートといえば「星のや」というのは、ちょっと前の話。施設数をみると、1番多いのは温泉旅館の「界」、2番目が今回紹介する「OMO(おも)by 星野リゾート 」となっていて、さまざまなカテゴリーのブランドが展開されています(ちなみに「星のや」は施設数でいうと3番目)。
開業が続く「OMO by 星野リゾート」
OMOは、2018年に北海道の旭川、続いて東京の大塚にオープン。その後は動きがありませんでしたが、コロナ禍真っ只中の2021年から続々と開業。2023年4月3日現在の施設数は、北海道から沖縄まで12施設に上り、2023年4月6日には「OMO7高知 by 星野リゾート」が、2023年4月25日には「OMO5熊本 by 星野リゾート」が開業予定です。

OMOのブランドコンセプトは、「テンションあがる『街ナカ』ホテル」。交通の便がよい都市部に位置し、ホテルを拠点に街歩きを楽しむ旅を想定した宿泊施設で、手頃な価格帯でユニークな滞在ができる客室や館内に加え、OMOブランドの共通サービスである「Go-KINJO(ごーきんじょ)」など元気をもらえるサービスがあるのも魅力です。
2023年2月にOMO全施設を踏破したガイドが、その魅力とおすすめの理由を徹底解剖します。

リアルな対話や交流etc…「旅の楽しさ」を再確認させてくれる
コロナ禍の出口が見え、旅へ出かける人が増えています。非日常の世界に触れ、新しいものや人との出会いに刺激を受け、帰宅後も生活にハリが生まれるのが旅の醍醐味。
他方、旅の計画にはパワーが必要なので、「どこかへ行きたい」と思いながらも一歩が踏み出せない人も多くいます。
OMOでは、「Go-KINJO(ごーきんじょ)」をはじめとしたユニークな滞在を通じて、旅先での体験や交流のワクワク感、未知のものと出会ったときのトキメキを思い出すことができます。
コロナ禍で忘れていた「あんなことに挑戦したい」「やっぱり、リアルで人と会うのはいいなあ」といった気持ちが自然が沸き起こる、心が高揚し前向きになる……まさに、そんな旅の効能を感じられるホテルです。

その地ならではの「通な過ごし方」がプライスレス!
OMOでは、街全体を1つのリゾートとして捉え、徒歩圏内のご近所を深く味わうサービスを提供しています。人との交流や新しい発見にあふれた滞在は、パワーチャージにぴったりです。
例えば館内にある「ご近所マップ」では、スタッフが足で稼いだ飲食店情報や、ガイドブックにはない穴場店舗を紹介。自分好みの通な過ごし方をサポートしてくれます。

ご当地の魅力をテーマにした講座などが開催されるパブリックスペース「OMOベース」は、気軽に寛げるラウンジ。星野リゾートのセンスが光る内装も楽しい!


さらに街を知り尽くしたご近所ガイド「OMOレンジャー」が、さまざまなテーマで歩いて周辺を案内する「ご近所アクティビティ」も無料で開催(※一部有料)。ホテルにいながら、あるいは街を散策しながら、旅先を深堀りして楽しめるので、身近な場所でも発見がたくさんあります。


施設名にある「数字」の謎とは? 泊まらなくてもOKのカフェ併設ホテルも
OMOのホテル名をよく見ると、例えば「OMO7大阪」というように、ホテル名に数字が入っています。これはサービスの幅を示す目印です。
「OMO3」は宿泊に特化したベーシックホテルで、「OMO5」以上になると宿泊者でなくとも利用できるカフェが併設されています。「OMO7」はレストランもあるフルサービスホテル。数値が大きくなるほど施設が充実してきます。

よくOMOの前で、「星野リゾートの施設だ。どんな感じだろう?」と中を伺う方を見かけますが、数字が「OMO5」以上のホテルは、泊まらない人も利用可能なカフェ(一部にはレストランも)があるので、お茶や食事を目的に立ち寄ってみるのもいいかもしれません。
施設ごとに特徴あるデザインのパブリックスペースは見学するだけでもワクワクしますし、スタッフの英知が詰まった「ご近所マップ」は散策の参考になります。


ちなみにOMO3の施設にカフェはありませんが、「OMO Food & Drink Station」という24時間セルフサービスで食べ物や飲み物が購入できるコーナーがあります(宿泊者限定)。
コンビニとは一味も二味も異なるこだわりの品ぞろえで、お土産にもできる、手軽でセンスあるご当地商品も販売。時間により商品のラインナップが変わるので、筆者は滞在すると何度も足を運んでしまいます。購入したものは、デザインも楽しいパブリックスペース「OMOベース」でリビングのように寛ぎながら食べることもできます。


サービスもデザインも、それぞれの施設に個性がある
同じ数字のOMOなら、他のホテルブランドのように滞在価値が横並びかといえば、実はそうでもないのがOMOのちょっと分かりにくいところです。建築から星野リゾートが関わった施設は、OMO5東京大塚、OMO7大阪、OMO5熊本、OMO5沖縄那覇の4つのみ。


OMOの開業が加速化した背景には、コロナ禍で開発が止まった、あるいはリブランドしたなど、既存ホテルを再生した施設が多いことがあります。再生案件の場合、客室などのハード部分は元の設計を生かして運営をするため、一部を除きハード面の統一感はあまり感じられません。
「旅のワクワクを感じる」というコンセプトを共通軸に、施設ごとに個性があると思ってチョイスするのがおすすめです。

例えば京都には、OMO3京都東寺、OMO5京都三条、OMO5京都祇園、という3つのOMOがありますが、立地が異なるだけではなく、客室やパブリックスペースのデザインも、それぞれの個性があります。ご近所の魅力とあわせて、ハード面もホームページで確認して、自分好みの滞在をアレンジしてみてはいかがでしょうか。



また、OMOで準備されているアメニティは必要最低限のものだけです。パジャマは200円でレンタル(※OMO7旭川、OMO7大阪は大浴場があるため無料)ですし、基礎化粧品は自動販売機やショップでの購入となります。普段使い慣れたものを持参することも検討を。
「星野リゾート=星のや(贅沢・高級)」というイメージでOMOを訪れると、期待とのギャップが生まれることもあるので注意が必要です。

ただ最近はプラスチック削減など環境への配慮から、高級ホテルを含む多くのホテルで「アメニティは必要なものだけ」という考えが主流になっています。宿泊側も「旅で存分に贅沢」から、「楽しむからには環境にも配慮を」という気持ちで旅をするのが今風でスマートです。
いかがでしたか? OMOは、コンセプトを理解すれば、老若男女問わず旅の醍醐味を味わえ、他にないユニークな体験に満足できるホテルです。
どこかへ行きたいけれど、一歩が踏み出せない人は、お近くのOMOへ滞在してみては? ご近所アクティビティに参加して、スタッフおすすめのガイドブックにないグルメを楽しむうちに、旅のワクワク感を思い出すことができるかもしれませんよ。



なお、アクティビティは無料・有料問わず予約が必要です。枠が少ないものや早めに予約が必要なものもあるので、Webで確認しあらかじめ予約をしておくと安心です。
ぜひOMOブランドを体験し、旅の醍醐味を味わってみてくださいね。
執筆者:村田 和子(旅の準備・お得・便利ガイド)