美しい自然とおいしいグルメを満喫できる能登半島へ行きませんか?
能登半島は、北陸地方の地図で日本海に突き出るように伸びた独特な形をした半島です。荒々しい日本海と、半島により区切られた穏やかな富山湾が生み出した美しい自然をたくさん楽しめて、おいしいグルメもそろう旅を思う存分満喫できる素敵な所です。
今回は能登半島の豊かな自然の風景と、能登半島でぜひ味わいたいグルメをご紹介します。
千里浜なぎさドライブウェイ:車で砂浜を走れる稀有な場所

能登半島の豊かな自然の風景、最初は日本海側の入口にあたる羽咋(はくい)から。
地図で見ると直線的な長い海岸線が続くこの地には砂浜が点在していますが、羽咋にある千里浜(ちりはま)は世界的にも珍しい砂浜のひとつです。

通常、砂浜の上を歩くと砂が沈んで足を取られてしまいますが、千里浜の砂はとてもきめ細かく車やバスが走っても全く沈みこみません。そのため一般車両が砂浜を自由に走れる「千里浜なぎさドライブウェイ」として通行できるようになりました。
無料開放されており、波が高いなどの悪天候時を除いて全長8キロにも及ぶ砂浜を気持ちよくドライブできます。
※編集注:初出時、「2013年3月までは有料道路」との記載がありましたが誤りでした。訂正してお詫びいたします。
氷見・雨晴:立山連峰と海の絶景、寒ぶりに温泉も!

続いては富山湾側の入口から。
氷見(ひみ)は富山湾を代表する漁港のひとつ。冬の寒ぶりが有名ですね。『忍者ハットリくん』などの作品を描いた漫画家 藤子不二雄A先生の出身地でもあります。

氷見からは富山湾越しに立山連峰を望めます。
立山連峰の絶景が見られることで良く知られているのは、氷見のすぐお隣、高岡市にある雨晴(あまはらし)海岸。天候に恵まれると、小さな島と一緒に富山湾と立山連峰を望めますので、お天気の良い時はぜひ立ち寄ってください。
和倉温泉:能登を代表する温泉地で、のんびり過ごせます

鉄道で能登半島へアクセスする場合の入口となるのが、JR七尾線の終点となる和倉温泉駅。ここからのと鉄道に乗り換えると、さらに能登半島の奥へ行くことができます。富山県側の氷見からも高速道路(能越道)でアクセスできます。
和倉温泉は、開湯1200年を越える歴史を持つ古湯。しらさぎが傷を癒すため泡立つ海の中に舞い降りていたことから、和倉温泉の湧口が見つかったというしらさぎ伝説が今に伝わります。
海沿いを中心に大きな温泉旅館が点在していますので、能登半島を観光する際の拠点とするのにぴったりですね。総湯など観光客が利用できる共同浴場もありますので、能登観光の行き帰りに日帰り入浴で立ち寄るのもいいでしょう。
能登金剛/巌門:断崖絶壁が続くダイナミックな風景を見下ろしたり、見上げたり

能登半島の日本海側は外浦と呼ばれます。羽咋から海沿いに奥に進んでいくと、断崖絶壁が続く能登金剛と呼ばれる場所に着きます。
ここは長い歳月をかけて日本海の荒波が岩を削ったことで、ダイナミックな絶景が造り出されました。

巌門(がんもん)は、能登金剛を代表する絶景のひとつで巨大な岩の下部が洞窟になっています。

断崖の上から絶景を眺めるのもいいですし、春から秋の間に運航する能登金剛遊覧船に乗って海から断崖を見上げるのもお薦めです。
遊覧船からは、機具岩(はたぐいわ)や福浦港にある日本最古の木造洋式灯台も見ることができます。
富来:世界一長いベンチを見て、海の幸に舌鼓

巌門から海沿いに進んだ所にある志賀町富来(とぎ)。ここには増穂浦海岸に伸びる砂浜を望める長いベンチ「サンセットヒルイン増穂」があります。
ベンチの全長は460.9メートル。1989年に完成した時は、世界一長いベンチとしてギネスブックにも公認されました。
現在はスイスにある1000メートルを超えるベンチが世界最長となったものの、名前はそのままで観光スポットとして紹介されています。西向きに面しているため、夕方になると日本海に夕陽が沈む美しい風景を楽しめます。

ちなみに世界一長いベンチのすぐそばには、道の駅 とぎ海街道があり、ここでは季節限定でおいしい海鮮丼が食べられます。旅の途中に立ち寄るのもいいですね。
能登金剛/関野鼻:小説・映画の舞台になった断崖絶壁と不思議な形の岩に注目!

富来からさらに海沿いを奥に進むと、再び断崖絶壁が続く関野鼻へ出ます。
関野鼻にあるヤセの断崖は、映画化もされた松本清張氏の小説『ゼロの焦点』の舞台として一躍有名になりました。思わず足がすくむような絶壁を一度は目の前で見ておきたいものです。

そして関野鼻から国道249号線を輪島方面に進むと、どこかで見たことがあるような不思議な形の岩が現れます。
剱地権現岩(つるぎじごんげんいわ)という正式名称がありますが、その形からジブリ作品『となりのトトロ』に登場したキャラクターの名前を取り、通称「トトロ岩」と呼ばれています。すぐ近くに車を止めるスペースもありますので、立ち寄ってみるといいでしょう。
總持寺祖院:曹洞宗の総本山で寺社建築に目を見張る

能登金剛を後にして外浦を奥に進みます。輪島市の門前地区にあるのは總持寺祖院(そうじじそいん)。
創建700年を越える曹洞宗の大本山です。

山門や法堂など見ごたえのある寺社建築の数々に思わず目を見張ります。
輪島:輪島塗の産地で、朝市の賑わいを楽しむ

門前から外浦を奥に進むと、外浦で一番大きな都市、輪島の中心部に着きます。
輪島は輪島塗や朝市で知られた街。朝市通りで毎朝開催される(第2水曜、第4水曜など定休となる日あり)朝市では、たくさんのお店が並び、地元の形や観光客でにぎわいます。

ちなみに輪島はマジンガーZやキューティーハニーなどを描いた漫画家 永井豪先生の出身地。朝市通りの中に永井豪記念館があり、数々の人気作品の歴史に触れることもできますので興味がある方は立ち寄ってみるといいでしょう。
白米千枚田:海に向かって広がる美しい棚田を望む

能登半島の代表的な風景として紹介されるのが、白米千枚田(しろよねせんまいだ)。輪島の中心部から外浦を奥に少し進んだ所、日本海に面した丘陵地に棚田が造られています。
今でも現役の棚田で多くのサポーターが参加して米作りを継続しています。2011年には世界農業遺産にも登録されました。

稲が実る風景も見ごたえがありますし、最近では畔(あぜ)にライトを並べて千枚田全体をライトアップするイベントも行われています。
上時国家:能登を治めていた豪農の暮らしに触れる

白米千枚田からさらに外浦を奥へ進んだ曽々木地区にあるのが上時国家と下時国家。平家の血筋を引き、能登を治めていた豪農が暮らしていた屋敷が残っています。現在は上時国家のみが当時の暮らしをたどれる資料館として公開されています。
能登最大級の茅葺き屋根の建物とあわせて、ゆっくり見学するといいでしょう。
見附島:軍艦のような独特な形をした島に注目!

日本海側が外浦と呼ばれるのに対して、能登半島の富山湾側は内浦と呼ばれます。
内浦にある景勝地のひとつが見附島。砂浜のすぐ先にそびえるように立つ三角形の独特な形から「軍艦島」の通称があります。

白米千枚田と同じく能登を代表する風景のひとつに数えられています。砂浜のすぐそばに島があり、潮が引くと島まで続く岩場が姿を現します。
隣の恋路海岸から続く砂浜は「えんむすびーち」と名付けられ、縁結びの鐘も置かれています。
聖域の岬(珠洲岬):日本三大パワースポットの地で絶景に出会う

能登半島の最先端に近い珠洲(すず)岬の沖合は、北から流れる寒流・リマン海流と南から流れる暖流・対馬海流がぶつかる場所。
自然界のパワーが集結するポイントとして、富士山(静岡県・山梨県)、分杭峠(ぶんくいとうげ、長野県)とあわせて、日本三大パワースポットといわれています。
その珠洲岬にあるのが聖域の岬と呼ばれる場所。

聖域の岬にはブルーバードと呼ばれる展望台(有料)があり、ここからは真っ青な珠洲岬沖の海と、ランプの宿で知られる「よしが浦温泉」の建物が望めます。

また急坂を下りていくと、青の洞窟と呼ばれるスポットも見学できます。洞窟全体を照らす青い光と海への切れ目から差し込む外の光が幻想的ですね。
禄剛埼:能登半島最先端で、最果てを感じましょう

能登半島の最先端となるのが禄剛埼(ろっこうさき)。明治時代に造られた禄剛埼灯台があり、沖合を航行する船の安全を支えています。
最寄りとなるのは道の駅 狼煙(のろし)。道の駅から歩いて数分で灯台がある広場に出ます。

広場を見回してみると東京や上海、ウラジオストック、北京までの直線距離を示す標識があります。その数字の値を見て遠い所まで来たことを実感できるでしょう。
ちなみに禄剛埼の緯度は北緯38度を超えていて、同じ緯度の街を探すと福島県の郡山市が該当するとのこと。能登半島が南北に長いことを改めて実感できますね。
能登丼:能登ならではのグルメをおいしくいただきましょう!

世界農業遺産に登録された能登は、海の幸や山の幸が豊富。そんな能登の食材を使い、お店が工夫をこらした丼を「能登丼」と定義して積極的にアピールしています。
地元の食材を使った料理のPRは良く見かけますが、能登丼では料理だけでなく、お箸や食器も能登にゆかりにあるものを使うというこだわりがあります。Webサイトにまとめて紹介されていますので、気になったお店をチェックして食べに行くのもいいでしょう。
美しい自然とおいしいグルメを堪能できる能登半島をご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。「能登はやさしや土までも」という言葉もあり、のんびりとした旅を楽しむには最適な場所です。半島そのものが大きいので何度かに分けてポイントを絞ってゆっくり巡ってみてください。
能登半島MAP

能登半島は南北に長い半島のため、移動距離が想定以上に長くなります。移動時間には余裕を持ちましょう。
※ちなみに小松空港から、能登半島の最先端・禄剛埼まで片道約200キロあります!
執筆者:村田 博之(名所・旧跡ガイド)