子どもが生まれたら、そこから始まるさまざまな育児方針の波を乗り越えなければなりません。
最初にぶち当たるのが「母乳派」「ミルク派」。母乳神話が根強い日本では、母乳で育てるのがベストという考え方もまだ根強い一方、病院がミルクメーカーと提携して、出産後すぐからミルクを勧めてくる場合もあるそう。
瀬戸あすかさん(仮名・30歳)が出産した病院は「スパルタ母乳派」の病院でした。
出産した病院は「スパルタ母乳派」だった
「まずは安全に出産することだけを考えていたので、母乳派とかミルク派とかは何も知りませんでした。なので、産後の病院の『スパルタ母乳派』の方針に驚きました」
瀬戸さんが出産した病院では母乳育児がスムーズに進むように、普通分娩の場合は産後すぐから母子同室、帝王切開の場合でも1日おいてすぐに母子同室になります。その後、授乳指導がガッツリ行われます。
「初産なので、産後すぐは母乳は出ないですが、3時間おきに子どもを起こしておっぱいを吸わせ、親子ともに母乳育児の習慣をつけさせる方針でした。夜も3時間おきに看護師さんがパトロールしにきて、赤ちゃんも自分も寝ていると起こされ、赤ちゃんを起こしておっぱいを吸わせるように指導されます」
赤ちゃんにも個人差があるだろうに、寝ている赤ちゃんをたたき起こしてまで母乳を与える練習をさせる病院は、かなり徹底しています。
ですがこの方法を実践しても、なかなか母乳が出なかった瀬戸さん。教わった母乳マッサージをしてみましたが、効果がなかったそうです。
地獄のおっぱいマッサージに絶叫!
するとある日、瀬戸さんはひどい目に遭ってしまいます。
数日たっても母乳が出なかった瀬戸さんは、いつもダメ出しばかりする、感じの悪い女性看護師に呼び出され、胸のマッサージを強行されます。

「いつも嫌味な感じの看護師さんに、いきなりおっぱいを掴まれグイグイ捻られたんです。痛すぎて叫び声をあげました。『このくらいしないと、母乳出ないわよ!』という看護師にブチ切れて、『こんなに痛い思いをするならもう母乳出なくていいです!!!』とその場を去りました」
あまりに強くねじられたため、急な刺激に胸じゅうがジンジンと痛くて腫れあがったようになってしまった佐原さん。その夜は痛みで眠れなかったそうです。朝になったら看護師に怒りのクレームを入れようと思っていたそう。
怒り心頭になるも、翌日まさかの…
けれどその翌日、驚くことが起こります。マッサージの刺激が強すぎたのか、次の日から急に母乳が出すぎるほど出るようになりました。

「ひどい態度と扱いに文句を言おうと思っていたのに、母乳が出てしまったので文句が言いにくいですよね。その後は出すぎて困ってしまい、母乳パッドが手放せなくなりました」
ひどい態度だったものの、痛さMAXの母乳マッサージのおかげで母乳が出まくってしまった瀬戸さんは、結局そのまま卒乳まで完全母乳で育てたそうです。
「母乳が出すぎて詰まることも多く、乳腺炎で高熱を出したり苦労しましたが、母乳で育てられたのはよかったかなとは思います。けれどあの痛さと、こちらの気持ちに寄り添わず、グイグイとすごい握力でわたしの胸をひねった看護師への恨みは忘れられません」
結果オーライとはいえ、産後のデリケートなママには、丁寧に接してほしいものですね。
―シリーズ「出産・子育てでの“許せない一言/行動”」―
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<文/塩辛いか乃>
塩辛いか乃
世の中の当たり前を疑うアラフィフ主婦ライター。同志社大学文学部英文学科卒。中3繊細マイペース息子と20歳年上の旦那と3人暮らし。乳がんサバイバー(乳房全摘手術・抗がん剤)。趣味はフラメンコ。ラクするための情熱は誰にも負けない効率モンスター。晩酌のお供はイオンのバーリアル。不眠症。note/Twitter:@yukaikayukako
(エディタ(Editor):dutyadmin)
