最近良くも悪くもなにかと話題になっている「食用コオロギ」。パンに入れたメーカーや給食に使った学校がネット上で物議を醸しているが、投稿の多くが否定的な意見だ。
確かに見た目も完全に虫だし、いくらパウダーにしたところで想像するとあまりいい気分にはならない。しかし、そんなネガティブなイメージのあるコオロギを超一流シェフが調理したらどうなるのか?
世界一美味しいサステイナブルフード Winter 2023

そんな疑問を解決してくれそうなイベント「世界一美味しいサステイナブルフード Winter 2023」が開催されていたので、行ってみることに。

ここではシェフの井口和哉氏が、開催元のFurure Protein Farmを通じて出会ったサスティナブル食材たちを卓越した技術と想像力を駆使して、目の前で仕上げる。
数々の超一流店で修業をした井口シェフが作り上げるコオロギ料理なら、もしかするとネガティブなイメージを持つ人でも絶品に感じるものにしてくれるかもしれない。
コースは全11品

コースは全11品で、コオロギ以外にも海藻を使った「ヴィーガンキャビア」や、でんぷんを使った「サステナブルエビ」など、いま話題のサステイナブルフードが盛りだくさんの内容になっている。

注目のコオロギは「ヨーロッパイエコオロギ」という品種で、ペットとしても飼育されているようだ。それに旬の野菜や、大豆バター「ソイレブール」、キユーピーから販売している加熱用液卵風プラントベースフード「HOBOTAMA」を合わせた一品。どんな味がするのかまったく想像がつかない。
誰もが食べたくなるビジュアル

見た目だが、温野菜にクリーム状のソースがかかっており、非常に美味しそう。コオロギが入っていると言われなければ、誰もが食べたくなるビジュアルである。

気になる味だが、トムヤムクン風の濃厚かつあっさりとしたソースが非常に野菜と合い、とても美味しい。しかし、食べれば食べるほどコオロギ君の顔が脳裏をよぎり、食べながら混乱してしまうという謎の状態に。
味はとても美味しいのだが、箸をつけられたのも「一流のシェフが直接提供してくれた」という、コオロギのネガティブなイメージに匹敵する美味しさを期待するポジティブ要素があるからこそできたことを考えると、やはりコオロギ単体で提供されても拒否感を覚えてしまうことは当たり前だ。
現段階で高い評価を出せる食材ではない

また、料理として美味しく仕上げられたのもシェフの技術があるからこそ。コオロギ単体でも食べさせてくれたのだが、確かに一部のメディアで「陸のエビ」と報じられたように海老っぽい感じや香ばしさはある。
しかし、お金を出して食べたいと思うほど美味しいかというと答えはNO。将来的に物凄く美味しくなる可能性はあるのかもしれないが、現段階で高い評価を出せる食材ではないと感じた。
絶賛できる料理がたくさん

ただ、このイベント「世界一美味しいサステイナブルフード Winter 2023」では前述したとおり、多くのサステイナブルフードが提供されており、その中には「これはマジでウマい」と絶賛できる料理がたくさんあった。
例えばゲノム編集技術を利用した「22世紀ふぐ」は、ふぐとは思えないほどの肉厚さで、シェフの技術で旨味を引き出したソテーは絶品。22世紀ふぐは催事販売でも人気で、サステイナブルフードでもちゃんと美味しいものを提供すれば一般に受け入れられることを証明するような商品となっている。
マイコプロテイン

また、もうひとつ面白いと思ったのが「マイコプロテイン」という食材。こちらは菌類からつくられる代替たんぱく質で、宇宙でも育てられることで注目を浴びている食材だ。今回提供されたのはエノキから作られたもの。

味は旨味がかなり強く、加工方法によっては肉のような弾力ある食感にしたり、逆に柔らかくしたりと応用もかなり幅広い。原料もキノコなどの菌類で受け入れやすいので、こちらも将来的には一般に受け入れられるサステイナブルフードになる可能性を強く感じた。
コオロギが一般食化するのは遠い未来
https://twitter.com/yamasan15588510/status/1630932703335047168
むしろこのように「一般ウケするサステイナブルフード」を応援してあげれば、わざわざコオロギを使わなくても良いのではないか? と思った今回のイベント。
どうしてもコオロギを食べなければいけないぐらい世の中が世紀末状態になってしまったなら仕方がないが、まだまだコオロギが一般食化するのは遠い未来になりそうだ。