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回転寿司での迷惑行為がもたらす悪影響…飲食店がアイデンティティを失い、つまらないも

時刻(time):2023-02-22 15:07源泉(Origin):δ֪ 著者(author):kangli
世間を騒がせている回転寿司店での迷惑行為。 他の客がオーダーした寿司を取ったりわさびを乗せたり、醤油さしに口をつけて直に飲んだり……とさまざまな問題行為を撮影した動画が公開され、大きな批判を呼んでいます。 筆者は一連の事件の当初に問題点を指摘していましたが、限度を超えた迷惑行為は、回転寿司店のみならず、「飲食業界全体」に悪影響を及ぼしか

世間を騒がせている回転寿司店での迷惑行為。

他の客がオーダーした寿司を取ったりわさびを乗せたり、醤油さしに口をつけて直に飲んだり……とさまざまな問題行為を撮影した動画が公開され、大きな批判を呼んでいます。

筆者は一連の事件の当初に問題点を指摘していましたが、限度を超えた迷惑行為は、回転寿司店のみならず、「飲食業界全体」に悪影響を及ぼしかねません。

飲食店がアイデンティティを失い、つまらなくなる恐れ

筆者は飲食店にとって最も大切なことは、おいしさではないと考えています。おいしさを語る前に担保されるべきことは「安心と安全」です。飲食店は食品衛生法に則って、利用者に健康被害を及ぼさないように配慮して営業しています。迷惑行為をした人は、法律で定められた飲食店の食品衛生を意図的に損なわせたといっても過言ではないでしょう。

また、飲食店は、ただ単に料理を食べたりドリンクを飲んだりするだけの場所ではありません。

回転寿司は日本発祥の画期的な食のエンターテインメントですが、当事案のようなことが起きれば、回転寿司は“回転する”ことができなくなり、そのアイデンティティを失うことになりかねません。

他にも、自分で料理などを取るブッフェは、「好きなときに、好きなものを、好きなように」取れるという、非日常的な空間を提供していますし、ファインダイニングも、最近ではカウンターガストロノミーが人気となっており、キッチンとダイニングの距離がとても近いのが特徴です。

迷惑行為を予防しようとすれば、これらの躍動的で感動的なプレゼンテーションは廃止せざるを得なくなってしまいます。そうなれば、ダイニングシーンは単調となり、つまらないものになるのは火を見るより明らかです。

なお、影響を受けるのは、“表現方法”だけではありません。

牛丼店の紅生姜、ラーメン店のコショウや辣油、ファミリーレストランのドリンクバーやセルフサービスのコーヒーショップ、カジュアルダイニングの箸やカトラリーなど、飲食店には共用物がたくさんあります。

もしも悪意ある行為を未然に防ごうとすれば、これら全てを撤去するしかなくなる可能性もあるでしょう。スタッフに伝えて持って来てもらうことになりますが、客にとっては利便性が損なわれ、飲食店にとってはスタッフの負荷が高まってしまいます。撤去しないとすれば、防犯カメラを設置したり、監視スタッフを巡回させて都度注意するしかありませんが、今よりも余計にコストがかかってしまうでしょう。

表現方法が制限されたり、利便性が損なわれたりすれば、飲食店を利用する客も不利益を被ってしまいます。マナーが悪い客のために、しっかりとマナーを守っている客が余計なお金を支払って穴埋めすることになってしまうのです。


飲食店の「安心・安全」を守るために必要なこととは

元来、食は人にとって最も身近な文化であり、飲食店はそれを体感できる身近な場所です。

最近では高画質の写真や動画が手軽に撮影でき、SNSへすぐに投稿することができます。つまり飲食店は、簡単にコンテンツを制作してSNSへ公開できるスポットにもなっているのです。

問題なのは、飲食店への影響や第三者からの視線に考えが及ばず、とにかく目立ちたいというパターン。今回の件は、飲食業界に大きな影響を及ぼしかねない「迷惑行為」であり、これが「イタズラ行為」と表現されることによって、行為が矮小化されることに危惧を覚えます。

「迷惑行為」や「非常識行為」など、許されない恥ずべき行為であるというニュアンスで伝え、迷惑行為を抑止する必要があると考えます。そして、迷惑行為が連鎖しているのは、メディアでの表現が不適切であるがゆえに、迷惑行為の予備軍に誤ったメッセージを送っていることも一因ではないでしょうか。

飲食店は、迷惑行為が起きたなら警察に届け出て、毅然に対応していくべきだと考えます。飲食店にとって最も重要な「安心・安全」を守るという姿勢を見せなければなりません。

日本の食文化は、世界の中でも非常に特徴的であり、世界から評価されている食材や食品もたくさんあります。食育基本法に基づく「第4次食育推進基本計画」では、重点事項に「『新たな日常』やデジタル化に対応した食育の推進」(※)が挙げられていますが、SNSと、飲食店をはじめとした「日本の食文化」との“接し方”の教育にも注力していくべきではないでしょうか。

日本の食文化を体現する飲食店で、常軌を逸した迷惑行為が頻発しているだけに、中長期的な視点に立って、日本人のアイデンティティに日本の食文化をしっかり組み込むことも、喫緊の課題であるように思えてなりません。

※参考:農林水産省「第4次食育推進基本計画」

東龍プロフィール

ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛し、2002年と2007年にテレビ東京『TVチャンピオン』で優勝。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口でわかりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。All About ブッフェ・フレンチガイド。


執筆者:東龍(グルメジャーナリスト)
(エディタ(Editor):dutyadmin)
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