北海道最大のスノーリゾート「ルスツリゾート」
2021年の「ワールドスキーアワード」の日本ベスト・スキー・リゾート部門で最優秀賞を受賞した北海道のスノーリゾート「ルスツリゾート」(以下、ルスツ)。37のコースがあり、その総滑走距離は42キロにもおよぶ北海道最大規模のゲレンデです。
本記事では広大なルスツに3つあるエリアそれぞれの滑りどころ、見どころをご案内。併せて、ユニークな食事やノンスキーヤーでも楽しめるアクティビティを紹介します。
ホテルと直結、ウエスト

ルスツリゾートのゲレンデはウエスト・尻別岳に連なる橇負山(そりおいやま)と、道路を挟んだ東側に位置するイースト(風防留山、ふうぼるやま)、イゾラ(貫気別山、ぬきべつやま)という3つのエリアに分かれています。まずはホテルに近いウエストからスタートしましょう。

2022~23年シーズンよりフード付きスノーエスカレーターが導入され、ホテルのサウスウイング正面からお手軽にウエスト第1クワッドのリフト乗り場に行けるようになりました。最初はこのリフト沿いにあるホワイトラバーかファミリーで足を慣らし、第2クワッドで山頂に向かいましょう。

山頂からは初級向けレインボー(平均斜度8度、最大13度)の他バンビ、エバーといった2本の中級コースや上級者向けの不整地コブ斜面もあり、幅広い層のスキーヤー、スノーボーダーがお手軽にルスツ名物のパウダーを楽しめる設計となっています。
またこちらのゲレンデは16~20時までライトアップされ、ナイターでとことん滑り尽くすこともできます。

中級以上の方は、レインボーの先にあるジャイアントまで行ってみましょう。ここはウエストエリアでは一番のビュースポット。コースの眼下には雪に閉ざされたジェットコースターや観覧車が見え、最大斜度26度の整地されたバーンを「遊園地に向かって飛び込む」ような不思議な感覚での滑りを味わえます。
【ウエストのコースマップ】

絶景ダウンヒルを満喫できるイースト

ウエストのゲレンデから道路を横断してイースト・イゾラエリアに向かうイーストゴンドラに乗り込み、1号線、2号線と乗り継いで一気にイーストマウンテン山頂まで上りましょう。
ゴンドラの両脇にはイーストティーニュとイーストビバルディという滑走距離2キロを超えるコースがあり、両者とも平均斜度11度のバーンが綺麗に整地されているので初級の方でも快適な滑りが楽しめます。

お天気に恵まれたならイーストビバルディがおすすめ。ここはルスツきってのおすすめ名所コースで、正面の羊蹄山や尻別岳を眺めながらの「絶景ダウンヒル」を満喫できます。
腕に自信のある上級者は最上級コース・スーパーイーストにチャレンジしてみましょう。最大斜度40度、非圧雪のコースで、その難易度はご当地一番。ほとんど崖に近いこの斜面は、上から覗き込むだけでも話の種になりますよ。

イーストゴンドラ山頂駅に着いたら、ゴンドラ降車場所から右に回り込んで「イーストビバルディ」側に出てみましょう。コーススタート地点に立つと、いきなり目に飛び込んでくるのが正面の羊蹄山とその両脇に鎮座する名峰ニセコアンヌプリと尻別岳。北海道の3つの名山とニセコ・ルスツという2つのビッグゲレンデを一望できる贅沢な風景に出会えます。
【イーストのコースマップ】

イゾラで爽快なロングクルーズ

ウエスト、イーストとツアーをして、なんて広いゲレンデだ!と驚くのはまだ早い。イーストからさらに東の奥には広大なイゾラのゲレンデが待っています。ここの魅力はルスツ一番のふわふわパウダースノーとフラットでロングなコース。
イゾラ山頂からはルスツ最長、滑走距離3.5キロの爽快なロングクルーズが楽しめるイゾラグランを筆頭に、2キロ強のスティームボートA、B、そして洞爺湖の眺望を楽しみながら2.7キロを滑り下りるヘブンリービューと、メインだけでも長距離滑走が楽しめる4つのコースが広がっています。
そのどれもがフラットな中級バーンですので、プルークだけでもらくらくダウンヒルが可能。体力のある方なら頂上からノンストップで「イッキ滑り」もできます。

各コースの途中から分岐してルスツ名物のふわふわパウダーを満喫できるイゾラA、B、ヘブンリーキャニオンといった非圧雪ゲレンデや、イースト方向に向かうルートには白樺林の中から正面の羊蹄山を眺めながら滑る「絶景コース」もあり、滑りのバリエーションもお好み次第。
イゾラだけでも北海道の大規模スキー場に匹敵する広さですので、それにウエスト、イーストも含めると一日ですべてを滑りきるのはちょっと厳しいかも。3つのゲレンデをじっくり攻略するには2~3日は必要かも知れませんね。
A:イゾラ第1クワッド降り場

イゾラには2つのビュースポットがあります。その1つがイゾラ第1クワッドを降りた山頂付近。ここからは前述のイーストビバルディとは少し違うアングルでのニセコアンヌプリ、羊蹄山、尻別岳の勇姿を眺望できます。
B:ヘブンリービューのコース右手

もう一つが山頂からヘブンリービューを少し滑った地点(下記イゾラのコースマップ参照)。斜面の先には白く光る洞爺湖とその周辺を取り巻く有珠山ほか外輪山のダイナミックな風景が一望できます。
【イゾラのコースマップ】

ユニークなゲレ食&ディナー

ルスツのランチといえば「とろとろたまごのオムライス」を筆頭にゲレンデ内に点在するレストランに数多くのメニューがありますが、今シーズン話題となっているのが「かまくらバーベキュー」。イーストエリアの「スノーアクティビティランド」に作られている特設のかまくらの中でジンギスカンセットを食べるという、なんともユニークなスタイルの「ゲレ食」です。

自社ルスツファーム産の羊肉をオリジナルのタレに漬け込んだ「羊蹄ひつじのジンギスカン」を北海道産野菜やおにぎりと一緒にジンギスカン鍋で焼き上げ、自社農園ルスツファーム産のアロニアベリーを使った風味豊かなタレでいただきます。
このセットに付いている「アロニアのドリンク」との相性も抜群。気の置けない仲間とビールを片手に「昼からジンギスカンパーティー」を開催すれば、あっという間に時間が過ぎていきますよ。

ランチがユニークならディナーもユニークに! ノースウイングの1階にある「オクトーバーフェスト」では店内のステージにたつクマちゃんバンドと女性シンガーの人形が演奏する音楽ショーを楽しみながらテーマパーク的雰囲気の中で食事ができます。
ステージの回りにはバイキングスタイルの料理コーナーが並び、道産牛ステーキや揚げたての天婦羅といったバイキングの定番に加えて山盛りのカニや新鮮な魚介を盛り付ける「勝手丼」といった北海道ならではメニューも充実。人形たちが歌う異国情緒たっぷりのアルペンソングを聴きながら子どもも大人も一緒になって楽しいディナータイムを過ごせます。
ルスツリゾートで「北海道の冬」を遊ぶ
1. ハイテンションのスノーラフティング
ルスツリゾートではスキーやスノーボードを滑らない方でも楽しめるように、スノーモービル、犬ぞりといったアクティビティが用意されていますが、その中でもイチオシがスノーラフティングです。
ベテランガイドさん運転のスノーモービルに牽引されたボートはラフティング専用ゲレンデを疾走。アップダウンのあるコースで体が跳ねる、急ターンの回転で強烈な横Gがかかり、右から左に目まぐるしく景色が流れゆく……。
「雪原を走るジェットコースター」のようなスピード感と爽快感を味わうことができるこのハイテンションのアクティビティは、スキー・スノーボードの時間を削ってでもぜひ体験しておきたいものです。

滑り疲れ、遊び疲れたら温泉とサウナでリラックスタイムを。ノースウイング 6階にある「ルスツ温泉・・ことぶきの湯」の露天風呂は、お肌に優しいナトリウム-炭酸水素塩泉(中性低張性高温泉)の温泉です。チェアに腰かけたり「寝湯」で横たわって入浴でき、昼は雪景色を見ながら、また夜は冬の星空を眺めながらまったりとした温泉に身をゆだねるというリッチな時を過ごせます。
サウナマニアの方には2022年にリニューアルしたサウスウイング1階「サウスウイング大浴場」がおすすめ。こちらでは室内のサウナストーンに水をかけて熱い蒸気を発生させる「セルフロウリュ」ができ、従来のドライサウナよりも湿度が高いため心地よくリラックスできます。

ホテルを覆うガラスは、そのサイズが縦13x横50mと世界最大規模。ルスツの夜もふけ、午後8時30分よりその巨大ガラスをスクリーンにしてプロジェクションマッピング映像が投影されます。
その名も「KAMORI WONDER LIGHTS」。アイヌの楽器・ムックリの響きとともに映し出されるアイヌの物語と北海道の自然をテーマにした幻想的な映像は、昼に見た絶景とはまたひと味違う「旅の風景」として皆さんの脳裏に刻み込まれることでしょう。
※本記事の内容は2023年2月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
【ルスツリゾート の基本情報】
宿泊施設:
ルツリゾート ホテル&コンベンション、ウェスティン ルスツリゾート、The Vale Rusutsu、ログハウス・コテージ
ゴンドラ・リフト料金:
1日券 大人8800円、シニア65歳以上・中高校生 6600円、子ども(4~12歳)4400円
営業期間:11月中旬~4月2日(営業期間はシーズンによって変更あり)
住所:北海道虻田郡留寿都村字泉川13番地
電話:0136-46-3331
アウトドアアクティビティの予約、問合せ:アクティビティデスク 0136-46-3332
その他:札幌市内主要ホテル、新千歳空港から送迎バスあり。要予約。
執筆者:大谷 修一(北海道ガイド)